カスタム侍女無双~人間最弱の世界に転生した喪服男は能力をいじって最強の侍女ハーレムをつくりたい~

藤原キリオ

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第二章 黒の主、混沌の街に立つ

27:カオテッド到着の御一行

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■ネネ 闇朧族ダルクネス 女
■15歳 セイヤの奴隷


 カオテッドに入る為の第二防壁はとても高く、見渡す限りに広がっている。
 私は故郷の集落とイーリスしか知らないけど確実に一番大きい街。
 イブキやミーティアによれば王都と変わらない規模の街だと言う。

 少し不安もあったけどサリュが手を握ってくれる。
 真っ白で元気なサリュは私と正反対だけど、年齢も同じだし背丈も同じくらいなので友達というよりは姉妹に思える。
 まぁ私もサリュも今まで友達も姉妹も出来たことがないから、あくまで私の想像。


 街への入口となる壁門には長い列が並ぶ。
 やはりと言うか商人や組合員が多い。
 最後尾につく私たちは奇異の目で見られるが、そんなの誰も気にしない。


 やがて検問の順番が来た。
 衛兵は鎧を着こんだ猫人族キャティアンだ。
 ご主人様が基人族ヒュームで、私たちは皆武器を持った侍女服だから警戒される。


「え、Aランク組合員!?」


 しかし組合員証を提示すれば問題ない。
 改めてイーリス迷宮を制覇して良かった。
 ご主人様の奴隷にしてもらい、一緒に戦えて良かったと思う。
 その成果がこの組合員証で、これがあるから虐められずにすんなり門をくぐれるんだと思う。


 足を踏み入れた【混沌の街 カオテッド】。
 広い通りは石畳が敷き詰められ、人も多いし馬車も通っている。
 建物は密集してどれも背が高い。見上げ続けると首が痛くなりそうだ。
 色々な屋台が並び、美味しそうな匂いが漂う。
 通りに面したお店も、どこも華やかで賑やかで、都会ってこういう所なのかと見回してしまう。

 どちらからともなく握った手に力が入る。
 サリュも不安を感じているんだろうか。
 これだけの人混みだと私も少し怖い。


「はぐれるなよー。店を見るのはいつでも出来るんだから」


 ご主人様が振り返りそう言う。
 私やサリュに言ってくれているんだろう。
 私たちは「はい」と返事をする。
 思わずクセで「ん」と言いそうになるが、ご主人様にそう返事をするとエメリーに注意されてしまう。
 目下、侍女勉強中。


「とりあえず中央区の迷宮組合に行くぞ」

「拠点変更手続きですね。ご主人様、その後のご予定は。迷宮に潜るのでしょうか」

「迷宮は少し後だな。まずは家を見ようかと思う」

「家、ですか。宿ではなく?」


 どうやらご主人様はカオテッドに家が欲しいらしい。
 確かに大迷宮に挑むのであれば、宿に泊まるよりも拠点があったほうが良いだろう。
 それに、以前エメリーたちに「家とあれこれを準備したら夜伽を頼む」と仰られたらしい。
 家を得るのは想定の範囲内。
 だけどカオテッドに来て、いきなり家を探すとは思わなかったようだ。


 ……夜伽か。

 私は相手させてもらえるのだろうか。
 小さいし真っ黒だし肌は透けているし、他種族から見れば闇朧族ダルクネスは不気味だと思う。
 私が熊人族クサマーンとかを見てもカッコイイとは思えないのと同じだ。
 ご主人様は私を呼んでくれるだろうか。

 また少し不安になる心を、握ったサリュの手が暖かくしてくれた。


「家は最優先で確保したい。それと生活を整える為に家具や雑貨を買う。装備も整えたいから服飾店と武器屋も探さないといけない。迷宮はそれからだな」

「五つの区画から家・雑貨・家具・服飾・武器と店を探すとなると……地図が欲しくなりますね」

「足で探すだけでは何日かかるか分かりません」

「食料や魔道具も必要です。家をどの区画に持つかでも変わってきそうですが」


 ご主人様の計画に、エメリー・イブキ・ミーティアが意見する。
 こうした光景を見るたびに普通の「主人と奴隷」という関係性ではないと思う。
 多分「主人と侍女」でもないと思う。


 私たちはご主人様に「奴隷であり侍女であり共に戦う仲間であるように」と言われている。
 最初に聞いた時、とても難しいと思った。
 考えた末に、奴隷のように従い、侍女のように気配り、奉仕し、戦友のように信頼し合うものだと思うようにした。
 そんなに外れてないと思う。
 外れてたらエメリーが注意してくれると思う。

 だからエメリーたちがご主人様と意見を交わし合うというのは侍女であり戦友でもある態度。
 奴隷としてはダメなんだろうけど、それをご主人様は望んで下さっている。
 まぁ私とサリュはいつも何も言えないんだけど。
 あの三人がしっかり者だから。


「ん? ネネ、あの屋台気になるのか?」

「! ……はい」

「少し小腹が減ったな。屋台で済ますか」


 私がキョロキョロしてるのを見られたらしい。
 良い匂いの屋台を凝視してたのも……。
 なんとなく気恥ずかしい。そして申し訳ない。
 ただでさえ街の人たちに変な目で見られているのに、屋台で買い食いなんかしたら余計に目立ってしまう。

 ご主人様はイブキに買いに行かせ、私たちに配る。
 甘辛いタレのオーク肉の串焼きには肉の間に野菜も挟まっている。肉・野菜・肉・野菜・肉だ。
 焼きたてのそれは熱々で、タレの香ばしい匂いが口の中を涎でいっぱいにする。

 ご主人様が一口食べて「美味い!」と言ってからみんなで食べ始める。
 これはエメリーが言い出したことらしい。
 本来、奴隷も侍女も主人が食べ終わってから食事をするもの。しかも奴隷は主人の食べ残しをもらう。
 でもご主人様はそれを嫌がったらしく、ならばせめて最初の一口はお先に、となったらしい。

 肉を頬張り、串から引き抜くように外す。
 美味しい。やっぱオーク肉は柔らかいしジュワってなる。
 タレの甘辛さが後を引く。どんどん食べたくなる。


「ミーティアは屋台で買い食いとかしたことあるのか?」

「いえ、お恥ずかしながら初めてです。新鮮ですしとても美味しいです」

「うん、この屋台は正解だな。買いだめして<インベントリ>に入れておいてもいいかもしれん。ネネ、手柄だな」

「! ……はいっ」

「サリュも良さげな店あったら教えろよ? 一番鼻が良さそうだからな」

「はいっ! がんばりますっ!」


 私はサリュと見つめ合い、笑いあった。
 あまり上手く笑えないけど。
 ほっぺたにタレが付いてると言われ、また少し恥ずかしくなった。


 大通りをひたすら進み、中央区へと続く第一防壁に辿り着いた。
 やはりここでも検問があり、組合員証を提示すると驚かれる。
 それでもすんなり通ることはなく、第二防壁よりは厳しい。
 目的を聞かれ、違法な物の持ち込みがない事を確認される。

 中央区は迷宮組合の自治領扱い。
 だから私たちはボロウリッツ獣帝国を出たことになる。
 国境を兼ねている防壁だから厳重なのも当然だ。

 同じカオテッドの街なのに区画をまたぐだけで毎回こんな審査されるのかと思ったけど、住民証をとればカード状のそれを見せるだけで通れるらしい。
 確かに南西区に住んでて北東区に買い物に行くことだってあるだろうし、そうなると二か所も検問があるわけで、不便に感じるだろう。
 安全性を考えればその方がいいのかもしれないけど、やっぱり同じ街なのだからある程度自由に行き来したいとは思う。

 あー、それで取り締まりが難しくなって【混沌の街】とか言われてるのかな?
 闇組織も何組もあるって噂だし。怖いところも多いんだろう。
 なるべく近づきたくない。
 とりあえず<危険察知>を使っておこうかと思う。


 大通りを進み、カオテッドの中心までやって来た。
 そこには街で一番大きな建物かもしれない砦のようなものが建っていた。


「これ、迷宮組合か。すごい大きさだな」

「大迷宮への入口も中にあるそうです。組合が迷宮を押さえている象徴のようなものですね」

「なるほど、他国に手出しはさせませんよ、ってアピールか」

「迷宮が氾濫を犯した際の防衛も兼ねているそうですが」

「氾濫か。ホントに溢れるものなのかね」


 堅牢な砦の入口は大きく開かれている。
 入るや否や、組合内で飲み食いしていた組合員に絡まれるけど、いつものように投げ飛ばして気絶させた。
 不思議なことに道を歩いても変な目で見られたり悪口言われるだけで済むんだけど、組合とかになると手を出して来る輩が多い。
 私たちは「手を出されたらやり返して良い」と言われているので、逆に組合の方が有り難かったりする。
 だって気絶させればもう五月蠅くないし。

 ふと受付嬢さんを見ると、唖然としている。
 騒いでいた組合員も大人しくなり、青ざめている人もいる。
 ご主人様を嘗めた目で見るからそうなるんだ。全く。

 さて、とご主人様が受付に近づこうとした時、静かになった組合で唯一の声がかけられた。


「もし、汝の運命を我に占わせてもらえないか?」

「ん? 占い?」


 ローブを着たその女の人は、顔の右半分が白い仮面で隠れていた。
 フードから覗く髪は淡い緑で肩のあたりまで伸びている。
 スラッとした背丈でスタイルが良い。
 顔が半分見えないのに、とても美人だと思ってしまった。


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