カスタム侍女無双~人間最弱の世界に転生した喪服男は能力をいじって最強の侍女ハーレムをつくりたい~

藤原キリオ

文字の大きさ
63 / 421
第三章 黒の主、樹界国に立つ

61:囚われし王はただ嘆く

しおりを挟む


■セイヤ・シンマ 基人族ヒューム 男
■23歳 転生者


「良かったのですか? あそこまで放出して」


 走りながらミーティアがそう言う。
 ぶっちゃけやり過ぎた感はある。
 でも急ぎだったしな、吟味する時間もないし。


「まぁいいさ。カオテッドに行けばどれも補充出来るものばかりだ」

「ん、また迷宮で稼ぐ」

「だな」


 ネネも満足気にそう呟く。
 少しでも集落の人たちの手助けが出来たから嬉しいんだろう。


「ご主人様はお金持ちですっ! 大盤振る舞いですっ!」

「樹界国の民の為にありがとうございます、ご主人様」

「やめてくれ。金をばらまいたわけじゃないし、元凶を排除したわけじゃない。だろ?」


 そう、何も解決していない。
 一時凌ぎで物を投げ捨てただけだ。
 援助というには心許なすぎる物を。


「重税で巻き上げた金はズールって自称大司教に流れてるんだろ?」

「おそらく、ですが。金に汚い男と評判でしたので……」

「そいつは山賊退治・・・・の対象だ。だから減った物資はそいつから貰うとするよ」


 やってる事は国と軍を使った″賊行為″だからな。
 ミーティアは自国民だから躊躇するかもしれんが、俺は殺すつもりだ。


「え? 大司教様は山賊なのです? 退治するです?」

「ん……山賊は退治するもの。これは常識」

「そうなのですか!」


 年少組が微笑ましい会話をしている。
 だが内容は教育に悪いものだな。
 ポルを連れていくか、ますます悩ましくなってきた。
 村に寄るならポルは置いて、三人で王都に行ったほうが良いかもしれん。


■ディセリュート・ユグドラシア 樹人族エルブス 男
■502歳 ユグドル樹界国前王 ミーティアの父


 不甲斐ない。
 そう思わない日などない。

 息子フューグリスに政変を起こされての強制退位。
 辛苦を共にした宰相ゲルルドの裏切り。
 それ以来、儂は妻ロージアと共に『罪滅の塔』に幽閉されたままだ。

 漏れ聞く話に、ロージアと共に嘆くばかり。

 ミーティアは『神樹の巫女』の座を追われたばかりか、『日陰の樹人』の呪いを受けた。
 そして国外追放という名目で売られたらしい。
 さらには長女のユーフィスが『神樹の巫女』を名乗っているという。


「私の教育が悪かったのですわ……ミーティアを優先しユーフィスを蔑ろにしたのかもしれません。だからあの娘は……」

「儂とて同じだ。フューグリスの偏った思想を更生させられず、ゲルルドの思惑にも気付けなんだ」


 毎日のように傷をなめ合う。反省と後悔の日々。
 罪滅の塔とはよく言ったものだ。
 消えない罪は滅するはずもなく、ただ捕らえ続ける。


 息子たちの悪行はそれだけに留まらず、国を乱し続けている。
 他種族への弾圧、重税、さらには奴隷化。
 我らが命たる森の伐採。

 それらを耳にした時はさすがに血の気が引いた。
 耳を疑ったし、怒り以上の感情が心を支配した。
 どうにかしてここを出なければ、どうにかして止めなければ。
 声が枯れるほど叫ぶ日がしばらく続いた。

 なぜそんな事が出来る?
 誰が聞いたとて、失策だと分かることだ。
 自らの意思で国と共に滅ぼうとしているとしか考えられん。
 そんな事も分からないほど愚かだと言うのか。

 怒りを通り越して悲しくなる。
 自分自身も、息子たちも全てが憐れになる。


 そんなある日、扉の鉄格子から覗いたのはユーフィスの顔だった。


「ごきげんよう、お父様、お母様」

「ユーフィスっ! 貴様っ!」

「ユーフィス! 貴女は自分が何をしているのか分かっているのですか!」


 儂らが何を言おうと、不気味な薄ら笑いをやめようとしない。
 もはや別人。どんな言葉も届かないと感じてしまった。


「そうそう、ご報告がありますの。国外に追放したミーティアがカオテッドで見つかったらしいですわ」

「!?」


 それは儂たちが心配していた事の一つ。
 今や唯一と言っていいだろう、希望を託したい子供の存在。


「残念ですわね、せっかく国を出たら殺されるよう手配していたと言うのに、おめおめと生き延びるなんて」

「なっ!?」


 しかしその口から出たのは信じがたい事実。
 まさか実の妹を殺そうと画策するとは……!
 そして更なる言葉が儂たちに投げかけられる。


「でもご安心下さい。今度こそきっちり始末しますわ。前回と違って【宵闇の森】に手配したはずですもの。確実に殺してくれる事でしょう」

「っ! よ、【宵闇の森】だと!? 貴様、やつらと手を……!」

「止めなさいユーフィス! 貴女、自分の妹を……!」


 なぜ【宵闇の森】がユーフィスと繋がるのだ!
 あれだけ尻尾を掴ませんかった闇組織がなぜここで出て来る!
 まさかフューグリスやゲルルドも……!


「そうそう、最後にお伝えしておきますわ。そろそろ神樹を伐採しようかと思いますの。そういう″神託″が下りましたのでね。一応、『神樹の巫女』様には言っておきませんと」

「ばかなっ……!」

「な、なんて事を……!」


 ではごきげんよう、そう言うと、ニヤリと気味の悪い笑みを浮かべ、ユーフィスは離れていった。
 儂らは鉄格子を掴み、声を上げ叫び続けた。
 その声は誰に届くこともなく、やがて項垂れる事しかできなくなった。

 【宵闇の森】を使って実の妹を殺す。
 樹神の依代たる神樹を伐る。

 過ちを続ける子供を止めることは出来ないのか。
 滅びゆく国を止めることは出来ないのか。
 この部屋にただいるだけの儂らに何が出来ると言うのか。


『創世の女神ウェヌサリーゼ様を崇めよ、そしてその使徒に協力せよ』


 ミーティアの最後となった神託を思い出す。
 これが切っ掛けと言っても過言ではない。

 今、この状況を打破できるのは神しかいない。
 儂らに出来るのは神に祈ることしかない。

 樹神ユグド様は廃れた創世教の女神様を上位に置かれた。
 この神樹の危機という状況にあって、儂らが祈るべきは樹神様だけではないのかもしれない。

 ならばどうか。
 樹神ユグド様、創世の女神ウェヌサリーゼ様。
 何卒この国をお救い下さい。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜

昼寝部
ファンタジー
 2XXX年、X月。  俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。  そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。  その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。  俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。  これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。

スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!! スティールスキル。 皆さん、どんなイメージを持ってますか? 使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。 でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。 スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。 楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。 それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。 2025/12/7 一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

処理中です...