カスタム侍女無双~人間最弱の世界に転生した喪服男は能力をいじって最強の侍女ハーレムをつくりたい~

藤原キリオ

文字の大きさ
134 / 421
第六章 黒の主、パーティー会場に立つ

129:そうだ、亀を武具にしよう

しおりを挟む


■ジイナ 鉱人族ドゥワルフ 女
■19歳 セイヤの奴隷


「どうしよう……」


 私は庭に建てられた鍛冶場で一人、そう呟く。
 腕を組み、色々と物の置かれた鍛冶場をぐるぐると歩く。

 大迷宮の探索から帰って、私の仕事量は多すぎた。
 ご主人様からあれもこれもと注文が来て、どうにも手が足りない。
 カンストされた<鍛治>スキルを持ってしても、私は多肢族エメリーさんのように腕が四本あるわけじゃないし、結局は自分一人で考え、二本の腕で打つしかないのだ。


 思えば探索に出る直前にもエメリーさんから注文が入り、寝不足のまま探索に出発したのだ。
 まぁ魔法槌に夢中になってその前日もろくに寝てなかったわけだが。

 あの時は気合いでエメリーさんの投擲武器とハルバードを打ったが、結果的にそれが『亀』退治に繋がったと思うと頑張って良かったと思える。
 無茶ぶりに答えて良かったと。
 エメリーさんに言われなければ鎖や鎌なんて打たなかっただろうし。

 ……まさか″釣り″に使われるとは思わなかったが。


 そして迷宮から帰っても急ぎの仕事だ。

 ひとつはお酒。
 ポルちゃんのおかげでお酒を造る事自体は異常な速さで出来るようになった。
 普通に造る分には、もはや私は知恵を貸すだけでいいだろう。
 あとはツェンさんが勝手にやると思う。

 ただ以前言われた蒸留酒に、改めて挑戦して欲しいとは言われている。
 どういうものかと話を聞けば、要は完成した酒を鈍く温める事で、より強い酒を生み出すのだそうだ。
 その為の『じょうりゅうそうち』という物が欲しいらしい。

 詳しい原理も教えてもらったが、どうすればいいか見当もつかない。
 もういっその事、酒の中の水を飛ばすような魔道具を製作依頼した方が早いんじゃないかと思う。
 あ、そう言ってみようかな。

 そもそも蒸留したところで、長い間寝かせる必要があるらしいし、まぁそこはポルちゃんがどうにか出来るのかもしれないけど、少なくとも今度開くパーティーには間に合わないんじゃないかと思う。
 私もお酒にばかりかまけている暇もないし。


「よし! お酒は考えないようにしよう! うん!」


 一つクリアだ! いや、クリアしてないけど後回しだ!


 それと二つ目の急ぎ仕事。これはもう鍛治だ。
 迷宮探索で手に入れた素材。
 カオテッドの誰も手に入れた事のない、未知のドロップ素材。
 これが手に入ったからには、装備に活かさないわけにはいかない。

 私としても酒造りより鍛治が好きという事もあり、こちらの事ばかり考えている。
 ご主人様からの注文は『全ミスリル武具の更新』だ。
 とてつもない大仕事。

 つまり探索前日に急いで打ったエメリーさんのハルバードも造り直しとなる。
 たった一回でお役御免とは……なんとも悲しい。
 勿体ないので応接室にでも飾ってもらおう。


 さて、素材を使ってミスリルより強い武器を造るとなれば、当然【炎岩竜】の素材を使うことになる。
 そこで問題になるのが、その硬さだ。
 甲羅と牙と鱗、どれを加工するにせよ、手持ちの工具では無理。
 この工具もミスリル製だし、私の【攻撃】も<カスタム>されているとは言え、サクサク加工出来るものではない。

 なので、まずは工具を造るところから始まる。
 使うのは四階層のお宝で手に入れたアダマンタイトヘルムだ。
 この全組合員が泣いて欲しがる貴重で見目麗しい兜を、贅沢にも溶かし、工具として造り上げるしかない。


 なんということだろう。こんな素晴らしい武具を非情にも私は炉にぶち込もうとしている。
 最後にペロペロクンカクンカしておこう。
 さようなら、私のアダマンタイトヘルム。
 残念ながら私たちでは君を活かせなかった。
 だってみんなホワイトブリムかシニョンカバーだから。
 ご主人様は「蒸れるから嫌だ」って言うし。
 ごめん。そしてこれからは私の工具として第二の人生……いや、アダマン生を頑張ってほしい。


 さて、そんな悲しい別れと、新たな出会いがあり、私の工具は生まれ変わった。
 ナイフ、ノミ、ヤスリなど。見る角度によっては緑っぽくも見える鈍い黄金の輝き。
 素晴らしい。アダマンタイト素晴らしい。
 どれ、さっそくひとペロ・・・・―――


 ―――ガラッ

「ジイナ、この杖なんですg……貴女また……」

「ひぃっ! エメリーさん!? ち、違うんです! これは鍛治の出来をチェックして……」

「はぁ、見なかった事にしましょう、その代わり―――」





 数日後、私は死にもの狂いで完成させ、ご主人様にお渡しした。
 夕食の席で、それが皆に配られる。


「えー、ジイナが頑張って造ってくれました! 貰った人はジイナに感謝するように!」

『はい』


 いや、もうホント大丈夫なんで、感謝とか。
 皆の期待の視線が痛いんで勘弁して下さい。
 まぁ満足のいく作品にはなりましたけど。


「まずはツェン! 【ドラゴンファング】!」

「おおおっ! すげえ! ジイナありがとうな!」


 ツェンさんの拳用武器は、ご主人様たっての希望で【炎岩竜の牙】から造った。名付けもご主人様だ。
 手首まで覆うガードから二本の牙が突き出ている。それが両手分で二個。
 手に当たる部分、ガードの裏地にはトロールキングの【暴巨人王の皮】を使用。外観は白く美しい。


「次にネネ! 【ドラゴンダガー】!」

「ん! ジイナ、ありがと! カッコイイ!」

「さらにヒイノ! 【ドラゴンソード】!」

「まぁ、私がこんな武器を。ありがとうね、ジイナちゃん」


 ネネちゃんのダガーとヒイノさんの直剣は【炎岩竜の鱗】から。それとミスリルも混ぜている。
 鱗は一枚だけだったが、その大きさは私の胸くらいまであった。
 黒く輝く剣になって、ご主人様の黒刀とお揃いのように見える。


「ヒイノには盾もだな。【炎岩竜の小盾】!」

「まぁまぁ! 綺麗な盾ですね! 本当にありがとう、ジイナちゃん」

「ドルチェにも盾だ。【炎岩竜の中盾】!」

「きたーっ! ジイナさん、ありがとうございますっ!」


 盾は【炎岩竜の甲羅】からだけど、盾の大きさに削って丸めてってやったら、傍目には甲羅だと分からなくなってしまった。
 つるんとした光沢のある黒い盾だ。地味に縁取りとかにタイラントクイーンの【鉄蜘蛛の甲殻】を使ったり、裏側のベルト部分にはトロールキングの【暴巨人王の皮】を使ったりと細かい。


「次にエメリー、【騎士王の斧槍】と名付けた。それが四本!」

「ありがとうございます、ジイナ」


 エメリーさんの目が「内緒ですよ」と言っている。ナンノコトカナー。
 ハルバードはデュラハンの【首無騎士の槍】に、トロールキングの【暴巨人王の斧】を小さく加工した上で合体させた。
 何気にこれが一番手間が掛かっている。少し余ってたアダマンタイトの鉱粉とかも混ぜたし。
 炎岩竜に比べれば強度はないけど粘りがあるし、ミスリルハルバよりは確実に上だ。

 ちなみに【首無騎士】と【暴巨人王】で【騎士王】にしたらしい。
 私の提案した【暴虐騎士の斧槍】は厳ついからと却下された。
 エメリーさんには合ってると思ったのだが……あ、いえ、なんでもないです。


「あとはポルだな。あー……【不死王のくわ】!」

「おおお! ありがとうなのです!」

『不死王の……鍬……?』


 渡すご主人様も、見ているみんなも「なんじゃそりゃ」って顔してる。造った私もそう思う。
 リッチのドロップの【不死王の杖】に水魔石を取り付けて貰い、ポルちゃんが魔法を使いやすくしてもらった。
 その上で、【炎岩竜の鱗】を鍬の刃に加工して組み合わせた。
 接合部分には魔力伝導率の高いミスリルも使っている。

 見た目は禍々しい捻じれた形状の杖の先端に青い魔石が付いていて、さらに黒い鍬の刃が先端付近から出ている感じ。
 とても農工具とは言えない禍々しさだ。

 杖に鍬の刃をつける案は以前も出たが、普通の杖だとポルちゃんが攻撃した時に折れてしまうという問題があった。
 <カスタム>されている上に魔物も硬いのとかいるからね。


 しかしリッチは、この杖で組合員相手に肉弾戦をする事もあるらしい、とメルクリオさんが言っていたそうだ。重装備の戦士を薙ぎ払うとか。

 もちろんリッチの攻撃力自体も高いんだろうけど、杖もそれに耐えうる強度があるという事だ。
 実際に見てみると、黒っぽい木材に見えて全く別の素材らしく、詳しくは分からない。
 ともかく打撃武器としての強度と、強力な魔法触媒という面を併せ持っているというわけで、これを利用した。


 利用した先がくわだった事についてはリッチに申し訳なく思う。
 リッチもまさか自分の杖が鍬になるなんて思いもしなかっただろう。
 不死王かわいそう。


「あとはウェルシアの杖を何とかしたいと思ってる。一応頼んでは来たけど、みんなも何かの機会で魔道具屋とか行った時には掘り出し物とか探して来てくれ」

『はい』

「お心遣いありがとうございます。どうぞご無理をなさらず」


 ふぅ、これで一段落かな。
 みんなに渡せて良かった。喜んでもらえたし。
 頑張ったかいがあったなあ。


「あ、ジイナ、ちょっと手伝って欲しいことが―――」


 また追加ですか、ご主人様――っ!?


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜

昼寝部
ファンタジー
 2XXX年、X月。  俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。  そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。  その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。  俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。  これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。

スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!! スティールスキル。 皆さん、どんなイメージを持ってますか? 使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。 でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。 スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。 楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。 それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。 2025/12/7 一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

処理中です...