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第八章 黒の主、復興の街に立つ
191:【黒屋敷】選抜メンバー発表!
しおりを挟む■ネネ 闇朧族 女
■15歳 セイヤの奴隷
「今日、本部長たちと最終打ち合わせしたから報告するぞ」
夕食の席で、ご主人様がそう切り出した。
四階層の案内。他のクランを連れて行って、私たちが行った時の探索の証明をしたいと。
私たちだけの証言だとマップが正しいのかとか、出て来る魔物は本当かとか色々あるみたい。
ドロップ拾って来てるんだから信用してよ、と思わないでもない。
でもまぁ迷宮組合としては確認が必須なんだろう。ここ本部だしね。
「出発は明後日の朝一。参加クランは俺たち【黒屋敷】の他、【魔導の宝珠】【風声】【震源崩壊】【獣の咆哮】に決まった」
『おおー』
結局Aランク全部かー。どこか行けないクランとかあっても良さそうなのに。
ずっとリッチを倒せずに三階層で頑張ってた人たちだから、どうしても四階層を見たいって事かな。
予定が入っていようがどうしても行きたいと。
「これだけ大人数での探索だから、やはり人数制限が出た。一クランにつき一パーティー、つまり六人まで。うちもこれに合わせる事にした。心配はされたけどな」
あー、うちも六人しか行けないのか。
それでも三〇人だもんね。相当多い。すでに探索しづらい。
でも六人だけで二四人を案内しつつ、守りつつって結構難しい気がする。
もうこの時点で亀と戦う事はなくなったね。……まぁあんまり戦いたくないんだけど。
「そんなわけでうちから出す六人を発表します!」
ざわ…… ざわ……
『ごくり』
「まず俺!」
そりゃそうだ。ご主人様が居ないわけがない。
クラマスだし最高戦力だし。むしろ居なかったらみんなから大顰蹙だよ。
「二人目、エメリー!」
「かしこまりました」
「エメリーには四階層のマッピングもしてもらう。連中の様子次第だが新規エリアに行く可能性もあるからな」
これは順当。エメリーはご主人様に次ぐ戦力だし、近距離から遠距離までこなせる。
マッピングが出来るのもエメリーしか居ないし、選ばれて当然。
「三人目、イブキ!」
「ハッ! ……ほっ(小声)」
「イブキは魔剣使いとして他のクランから期待されている部分も考慮してだ。イフリートだと四階層は相性が悪いんだが、そういった手前、連れて行くことにする」
なるほど。魔剣持ちって言うのはそれだけで強さの象徴みたいなものらしい。
逆に連れて行かないと「あの魔剣持ちは居ないのか?」と言う事になる。
エメリーが魔剣持ちだってのは知られてないし。メルクリオ以外。
「四人目、サリュ!」
「はいっ!」
「三階層突破の為にサリュを連れて行かないわけにはいかない。防御面を考えればシャムシャエルなんだが、サリュの実力はすでに知られてるしな」
これも順当。リッチを倒すのにはサリュの聖なる閃光連発が一番早いし、四階層探索で他のクランが苦戦する事を考慮すると、回復役としてシャム以上に優秀だからね。
サリュおめでとう。
「五人目、ネネ!」
「! はい」
「ネネにはいつも以上に斥候を頑張ってもらう事になるぞ。大人数での探索だからカバーする範囲が広くなるだろう。ネネ以外にそんな広範囲を察知するのは不可能だから頼りにしている」
良かった……よっし、がんばろう。
エメリーもイブキも<気配察知>持ってるし、サリュも<嗅覚・聴覚強化>があるから、斥候なしかと思った。
必要だとしても<アイテム鑑定>があるアネモネかと。本当に良かった、選ばれて。
「六人目……なんだが、普通であればミーティアを選ぶ。ここまで後衛がサリュしか居ないし、一番火力があるのがミーティアだからだ」
「ありがとうございます。でもそう仰るという事は、私はお留守番でしょうか」
「連れて行けない理由は、【神樹の長弓】を隠したいという事だ。誰もミーティアの弓が神器だとは知らない。知られればその経緯から、神樹が休眠状態だと知られる事もありうる。樹界国にとっても痛手だ。だからミーティアの神器は秘匿とする」
「承知しました。お気にかけて頂きありがとうございます」
ミーティアなしかー。火力だけ見ればご主人様に次ぐんだけど。
確かにミーティアが【神樹の長弓】を使う所は、訓練場を含めても誰にも見せてないはず。
【天庸】戦でも店の中で一発射っただけみたいだし。これは内緒なのかー。
「というわけで、六人目はウェルシアだ」
「わ、わたくしですか!? フロロさんではなく!?」
「単純に魔法使いとしての強さや巧さならフロロなんだが、四階層を考えると<水魔法>が有利だ。ポルでもいいんだが、前衛過多の状況を考えれば純魔の方が役割として分かりやすい」
あそこは地形も魔物も熱いのばっかだからね。確かに<水魔法>……って言うか氷が欲しくなる。
フロロは<土魔法>だけだし、耐性持ちの魔物もいたしね。
「えー、あたし行けないのかよー、イブキが選ばれた時点でそうかなーとは思ったけど」
「私も行きたかったー」
「こら、ティナ、我がまま言うんじゃありません」
「我は留守番で良いぞ。庭の手入れもしないといけないからな」
「た、盾役はいらないんですかっ!? 私全然行けますけどっ!」
「備忘録の為に私かマルティエルのどちらかをお傍に置く事は……」
「でもサリュちゃんの方が強いでござるし……」
「ふふふ……私、いらない子……」
「残念だけど仕方ないわねー、私はまだろくに戦えないし」
「わわ私はお留守番でだだ大丈夫です、はいっ」
みんな一緒に行きたい人が多いみたい。やっぱそうだよね。
でもこれご主人様が決めた事だから。
……イブキが少しドヤ顔している。私も真似しよう。ふふん。
「おそらくだが、少なくとも十日は掛かると思う。その間、屋敷は十三人で回してもらう事になるぞ。エメリーが居ないからって何事も疎かにする事のないようにな」
『はい』『はーい』
「リーダーは、ミーティア、フロロ、シャムシャエルの三人に任せる。皆は三人の指示に従ってくれ」
『はい』『はーい』
エメリー抜きでみんなちゃんと出来るのかな?
ツェンとか大丈夫かな?
「エメリー、イブキ、ネネ、サリュが居ないから警備も迷宮の斥候役も足りなくなる。アネモネとツェンは二人一緒に迷宮に行ったりしないように。どちらかは警備を頼む」
「はーい」「ふふふ……はい」
「ティナは家事をお手伝いしながら、迷宮でCP稼ぎを頼むな。多分ツェン以上に迷宮に行くことになるぞ」
「はいっ! やった!」
「ポルは畑の世話に加えて、ラピスのサポート。もちろん家事も頼む」
「はいです!」
「マルティエルもユアが迷宮に行く時には付いて行くように。まだお前もレベル低いからな」
「了解でござる!」
「ドルチェは家事と迷宮に加えて、『ガッバーナ服飾店』との繋ぎだ。連絡は密にとるように」
「は、はいっ、ありがとうございますっ!」
「ラピスもなるべく迷宮に行きつつ、少しずつ家事を習うように」
「はーい」
「ユアはアネモネと協力して錬金第一。あとはやっぱり迷宮でレベル上げだな」
「わ、分かりましたっ!」
「ジイナとヒイノは、鍛治と料理をしつつ、なるべく皆をフォローしてくれ。ある意味生命線だから頼むぞ」
「「はいっ」」
「ミーティア、フロロ、シャムシャエル、そんな感じで頼む。庭とか総合神殿もまだ中途半端だから、そっちもやりつつ、全体に目を向けるように心掛けてくれ」
「「「はい」」」
なんだかんだでみんな忙しそう。ご主人様の指示も多い。
六人が居ない状態で、あれもこれもやるってなると、意外と人数が足りないんだなぁ。
「それとこれは『出来れば』といった所だが、四~六人程度で二泊三日くらい、二階層を探索して欲しい」
『!?』
「六人が居ない十日ほどの間で、さらに人数を減らすのですか?」
「俺たちが出掛けて数日経ち、減らしても問題ないと判断できたらでいい。判断と人選はリーダーの三人に任せる。目的は鍛治用のミスリルの採掘、そして錬金用の素材の採取。つまり二階層の山岳と森に行って欲しい」
なるほどなー。ジイナとユアの仕事用の材料か。
私たちが二階に行っても他のクランと一緒だと素材採取なんて出来ないだろうしね。
かと言って、帰ってくるまで待ってると魔導王国にすぐ行くはめになるかもしれないし。
同時にやるしかないか。まぁ鍛治も錬金も急ぎじゃないんだろうけど。
「判断は三人に任せるが、何なら十三人全員で行ってもいいぞ。ただしその場合は屋敷の警備をちゃんと頼む事。【八戒】に指名依頼とかでも構わん。探索日数も二泊じゃなくて四~五泊とかでもいいし、そこら辺は任せる。よく考えてくれ」
『おおー』
十三人で二階層ピクニック……!
それはそれで面白そう。私も参加したい気もする。
まぁ私は四階層に行くんでそっちは行けませんけどね。ふふん。
さっそく留守番組で盛り上がり始めた。
ツェンやティナはすでに全員で行く前提で話している。
それをフロロやミーティアが宥めている。数日は様子を見よう、それから判断しようと。
みんなそれぞれ与えられた仕事があるしね。行くにしても準備とか予定調整とかちゃんとやらないと出掛けられない。
それをご主人様がちょろっと提案しちゃったもんだから、フロロは「余計な事を言いおって」とご主人様を睨んでいる。
リーダーの三人がますますまとめるのが大変になりそう。ご愁傷さまです。
さて、私たちは明後日からの探索に向けて、明日は準備の一日になりそうだ。
ヒイノにいっぱい料理を作ってもらわないと……あ、熱々の料理を<インベントリ>から出していいのかな?
ユアにもポーションいっぱい作ってもらいたいんだけど……あれ、そんな余裕あるのかな?
なんかちょっと不安になってきた。
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