カスタム侍女無双~人間最弱の世界に転生した喪服男は能力をいじって最強の侍女ハーレムをつくりたい~

藤原キリオ

文字の大きさ
249 / 421
第十章 黒の主、黒屋敷に立つ

240:獣帝国最強、迷宮でイキり始める

しおりを挟む


■ガブリオル 獅人族ライオネル 男
■39歳 Sランククラン【赤き爪痕レッドスカー】クラマス


 迷宮の情報を買った俺たちは、さっそくとばかりに探索を開始する。

 【黒屋敷】とかいうクランの情報を仕入れるのも仕事のうちだが、もう一方の【黒曜樹】の確認の方が重要だ。
 基人族ヒューム如きの情報ならば一日で集まる。しかしジジイの話じゃ【黒曜樹】は四階層だからな。

 いくら俺らがSランクだとは言え、一度目の挑戦で【黒曜樹】の元まで行けるとは思わねえ。
 それで行けるとか言うヤツは迷宮組合員を辞めるべきだ。
 俺たちは強者であるからこそ迷宮の恐ろしさを知っている。

 簡単には辿り着けねえからこそ、十年経った今でもそこが″最前線″なのだろう。
 だからこそ大人しく情報を買ったのだ。


 とは言え金で手に入る情報は三階層まで。
 四階層は最近になって到達したばかりとかで、ろくな情報がねえときた。

 ひとまずは三階層を目指し、カオテッド大迷宮の感触を得る。
 その上で四階層を目指す算段だ。


 クラン総勢十八名による探索を開始。
 俺は剣士だから最前線だ。隣には【不動】の異名を持つ盾戦士、熊人族クサマーンのプサーンが並ぶ。


「やはりダンバーよりも厄介だな。カオテッドは。魔物の質、罠、広さ、どれもこちらの方が上じゃないか?」

「まぁな。だが問題ないだろ? 二階層なんてまだまだ楽だ」


 プサーンの言う通り、このカオテッド大迷宮は頭一つ抜けている感がある。
 確かに俺たちが今までに挑んだどの迷宮よりも難易度は高いのだろう。

 俺たちは獣帝国内の迷宮を五つも制覇した実績を持って、それに加えて賄賂や後ろ盾の権力などもあり、Sランクになった。

 巡った中の一つがダンバー大迷宮だ。
 しかしそこは四階層で断念。制覇とはならなかった。苦い思い出だ。

 獣帝国内の大迷宮はダンバーの一つしかねえ。だからここが俺たちにとって二つ目の大迷宮挑戦となる。
 情報を仕入れる中でカオテッドの難しさはある程度分かっていた。
 それでも実際に探索してみると全く違う印象を受けるものなのだが。


「探索はしないでいいんスよね? 最短で潜るだけだから楽っちゃ楽ッスけど。変な【領域主】と当たらないで済みますし」

「どうせろくな採取も出来ねえだろ。ミスリルだって最奥の山岳の中らしいしな。小遣い稼ぎには面倒すぎる」

「りょーかい。んじゃ『砦』に一直線で行くッス」


 軽口を叩きながら先頭を歩くのは【超覚】の異名を持つクラン一番の斥候、猫人族キャティアンのマイコー。
 その察知範囲の広さ、斥候能力の高さは獣帝国一だろう。
 他国のクソ種族に斥候専門みたいなのが居るが、そんなの目じゃねえ。間違いなく凌駕する。


 マイコーが言った″変な【領域主】″というのがこのカオテッド大迷宮の特徴でもある。
 まず【領域主】自体の数が多い。その上で、最短ルートを通って次階層に行く分には、そこまで強敵とは当たらねえようになってやがる。
 俺らにとっては最高だが、採取を狙う組合員にとっては最悪だろうな。

 この二階層で言えば、三階層に行くには『砦』のウェアウルフロードを倒す必要がある。リポップしていれば、だが。

 しかしルートを外れた所に、それより強い、タイラントクイーンやらワイバーンなんかも出るらしい。
 そんなのと戦わないで進めるのならば、無理に戦おうとも思わない。無駄だからな。


 とは言え、それは二階層まで。三階層は少し様子が異なるらしい。
 強い【領域主】のドラゴンゾンビとは戦わないで済みそうだが、四階層に行く為には確実に『不死城』のリッチを倒す必要がある。リポップしてなきゃ最高だが、その前提で向かうわけにもいかない。

 三階層自体がアンデッド階層と言うから厄介なのだが、リッチは別格だ。
 幸いにして獣帝国パトロンからの資金は潤沢。闇魔法に対する防御を固める意味で、装備はそれ相応のものを選ぶつもりだがそれにしても厳しい戦いになるだろう。


 ちらりと後ろを見る。法衣を纏った鼠人族ラートムの女。
 【聖女】と呼び声の高い、うちの回復役ヒーラー、ウルティマだ。

 おそらくリッチはヤツ頼みになるだろう。
 正直、組合員じゃなくてどこぞの司教にでもなった方が良いほどの腕前だ。
 神聖攻撃魔法も<聖なる弾ホーリーバレット>だけじゃなく<聖なる槍ホーリースピア>すら撃てるからな。

 ウルティマの存在はアンデッド相手には無敵となりうる。
 リッチとは戦った事はないが、アンデッドである以上、まさか<聖なる槍ホーリースピア>が効かないわけがない。


 ……と、色々考えるのは先の話だな。
 今は二階層を突破する事を考えよう。

 とりあえず今回は三階層に到達するのを目標にするか。
 ウェアウルフロードくらいなら楽勝だしな。



■セイヤ・シンマ 基人族ヒューム 男
■23歳 転生者


 屋敷で何やかんややっていたら、バルボッサとズーゴさんたちが来たらしい。
 地下訓練場だな。
 今はちょうどネネとパティが特訓中のはずだ。見学するのもパティのいい経験になるかもしれん。

 しかし訓練場も模擬戦用のだだっ広い空間と、的の遠当て、ボルダリングくらいしかないから寂しいんだよな。
 かと言ってごちゃごちゃ置いてしまうと模擬戦の邪魔になるし。

 うーん、悩ましい。<アイテムカスタム>で付けられる付属設備か、ジイナに何か作ってもらうか……。

 ランニングマシーンとか、筋トレ用の設備とか、この世界だと完全に意味ないし。
 ステータスを<カスタム>すればいいだけだからね。あとレベル上げ。
 プールとか作っても迷宮に泳ぐ階層もないし。まぁおいおい考えますか。


 そんな事を考えながら庭へ行く。そのまま穴の階段を下りて訓練場へ。


「おっ、セイヤ! お邪魔してるぜ!」

「訓練場使わせてもらってます、セイヤ殿」

「どうぞご自由にー。バルボッサは久しぶりだな。これお土産」

「おお、魔導王国土産か! メルクリオとか何もなかったのに律儀だなー」


 メルクリオ土産なしかよ。そういうもんなのか? 組合員的に。
 いまいち【アイロス】の文化が分からない。
 その上カオテッドは四か国の文化が入り混じっているからもっと分からない。まいっか。


「あー、そうそう。来たのは訓練目的なんだけどよ。セイヤにも情報があって来たんだよ」

「情報?」

「ええ、どうも獣帝国のSランククラン【赤き爪痕レッドスカー】がカオテッドに来ているらしいのです」


 Sランク? 【赤き爪痕レッドスカー】?
 まぁ余所の組合員が探索に来るのは別に珍しくも何ともないんじゃないのか?


「ただの探索だったらいいんですがね、ヤツらどうも、【黒屋敷】の情報を集めているようなんですよ」

「あと【黒曜樹】な。その辺の組合員とかに聞き込みしてたらしい。ま、あいつらの場合『聞き込み』じゃなくて『恐喝』みたいなもんだが」


 なんだそれ。俺らと【黒曜樹】の情報を恐喝して集めてる?
 どんなヤツらだよ。


「あいつら獣人系種族絶対主義だからな。で、自分たちがSランクだからって幅効かせてんだよ。俺、あいつら嫌いなんだよなー」

「しかもヤツら、貴族に覚えめでたいのでそれもあって増長するばかり。セイヤ殿の事や【黒曜樹】を探るのも、もしかすると皇族か貴族の依頼なのかもしれません」

「【黒曜樹】とかモロにそれっぽいよな。皇帝とか金の亡者って聞くし」


 ひでーな、獣帝国。
 バルボッサやズーゴさんたちだって故郷だろうに、この言い草。よっぽどなんだな。


「俺らが持ち帰った【黒曜樹】が一部流れたか、情報が流れたかしたんだと思うぜ? 下手すりゃ【黒曜樹】で作った俺らの装備品が狙われるかもしれねえ。俺らも気を付けるけどセイヤたちも気を付けろよ?」

「ああ……って事はバルボッサたちも作れたのか、【黒曜樹】の杖」

「おう! ……ん? サロルートから聞いてねえのか? 俺ら杖と盾を【黒曜樹】で作ってさ、三階層を突破したんだよ」

「うそぉ! すげえじゃん! まじか!」


 聞けばリッチ対策で杖と盾を【黒曜樹】で作成し、【獣の咆哮ビーストハウル】【風声】【震源崩壊】の三組合同で三階層を突破したらしい。
 うちらや【魔導の宝珠】もなしとか、こりゃすごい事件だぞ!
 メルクリオとか超悔しがってるだろうな!


 ……しかし、サロルートは。

 あんにゃろう、本見て騒いでただけで、そういった事を一つも話さねえんだからな。
 一言くらい言えよ。本なんかいつだって読めるだろうに。
 まぁあの状況であいつにそれを求めるのは無駄か。

 これはドゴールたち含めて祝ったほうがいいのだろうか。
 それは確認してからのほうがいいか。

 それより問題はその【赤き爪痕レッドスカー】って連中の方っぽいしな。
 獣帝国のSランクか。どのくらい強いんだろうな。
 バルボッサたちより強いんだろうけど、果たして……。

 絡んで来たら投げ飛ばしていいもんなんだろうか……。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜

昼寝部
ファンタジー
 2XXX年、X月。  俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。  そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。  その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。  俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。  これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。

スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました

東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!! スティールスキル。 皆さん、どんなイメージを持ってますか? 使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。 でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。 スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。 楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。 それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。 2025/12/7 一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

処理中です...