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after2:海王国に行こう!
2-11:新人さんはついていくのが大変です
しおりを挟む■カイナ 虎人族 女
■19歳 セイヤの奴隷
あたし達五人がご主人様に買われ、それからは全てが一変した。
生活もそうだし、知識も考え方も。普段の立ち振る舞いから戦闘に関する全てにおいてまで。とにかく全部だ。
もちろんご主人様による<カスタム>の影響が一番デカイってのは確かだと思う。
エメリーさんの指導とかイブキさんの訓練とかもあるけど、やっぱり<カスタム>の影響は大きい。
あたし達は迷宮組合員としてはEランクで燻っていた。
ダンバー大迷宮で自分たちなりに頑張っていたつもりだが、ゴブリンの群れにも苦戦してたくらいだし、その末にリーダーのレイラを喪った。
迷宮は怖い所。危険な所。それは分かっているが、それ以上に自分の力の無さが不甲斐なかった。
ご主人様に<カスタム>され、戦闘訓練を行い、武器や防具も考えられないほどの高級装備になった。
それを以ってカオテッド大迷宮に潜ってみれば、もう明らかに『あの頃』とは違うと分かる。
自分の身体の動き、魔物に攻撃した時の手応え、倒すまでの速度、全てが段違いだ。
これはあたしだけじゃなく、他の四人も思っていたようだ。そんな事を夜の部屋で話した。
じゃあいきなり強くなって、今までとは比べ物にならないほどの力を得て、調子に乗るかと言われれば全員が首を横に振る。
自分が強くなればなるほど、環境に慣れれば慣れるほど、先輩侍女連中の規格外さが分かるのだ。
具体的に言えば、最初に見たティナの模擬戦の動きは「なんかよく分からんがとにかく速い」って感じだったのに、自分が<カスタム>されてその動きが見えて、尚且つ動きの意味が分かると、「こりゃいくら頑張っても勝てねえ」とはっきり分かる。
まぁティナに関しては「世界最強の獣人系種族」を名乗っても良いくらいだと今なら思う。魔剣もすごいし。今のティナにサリュは勝てるのか……個人的には気になる所だ。
話が逸れたが、【黒屋敷】という特殊すぎる環境に慣れつつ、自分たちも強くなりつつ、でも先輩たちとの差がスゴイと。
そんな中でカオテッド大迷宮の長期探索に行ったわけだ。四階層調査探索だな。
……いや、あたしら二階層も行った事ないんだけど……って、そんな事言えないんだけどさ。
ともかくその探索で先輩たちの本気というか、【黒屋敷】のSSSランクたる所以をまざまざと見せつけられた気がする。
あたし達だって走りながら目につく魔物を倒していったんだぞ? 結構頑張ったんだ。
迷宮組合員として活動していたセオリー――レイラに散々言われた普通の探索を全部無視してさ。【黒屋敷】風の探索を我武者羅にやったんだ。
でも周りの先輩連中はちょっと次元が違うと言うか何と言うか。三階層あたりまでは【領域主】でもワンパンだからな。夢みたいな話だよ。
その探索はあたしらのレベルアップやらスキル習熟訓練も兼ねていたから、五人まとめて【領域主】と戦わされる事も結構あった。
ウェアウルフロードとかデュラハンとか……前のあたしらだったら戦う以前に『近づいただけで死ぬ』と避けるレベルの魔物だ。
まぁそれでもどうにか倒せたわけだけど。夢中だった反面どこか冷静に戦えた気がする。
周りの先輩連中が規格外すぎて感覚が麻痺してる感も否めない。
四階層でもトロールとか戦ったしな。トロールキングはさすがに無理だったけど。
ともかくあの長期探索を経て、あたし達も心身ともに強くなった気もするし、先輩連中の規格外っぷりがそれまで以上に理解できた。
あたしはとりあえずジイナさんを超えろと言われている。ご主人様とイブキさんから。同じ斧使いだしジイナさんは基本的に鍛治に専念しているのだから、その隙に強くなって超えろと。
目標を与えられたのはありがたいが、正直壁が高すぎる。あらゆるステータスで負けてるし強敵との実戦経験が段違いだ。
あんな強い鍛冶師、世界中に居ないだろうと。まぁ鍛冶師としての腕も世界一じゃないかと思うけど。
もちろん他の四人も目標めいたものは持たされている。
キャメロはパティに近づくのが第一だし、ケニはマルの弓技術を学ぶのと同時に斥候に力を入れている。もうどちらかと言えば斥候職を名乗っても良いほどだ。
コーネリアはドルチェが目標らしいが、ドルチェは【黒屋敷】のメイン盾役だからなぁ……壁は高そうだ。
クェスは複数属性の魔法操作という事でウェルシアさんから色々と学んでいるな。娯楽室の本も読みまくってる。
と、こんな感じであたし達はまだまだ未熟な部分も多いと、強くなるたびに思うわけだ。
いつになったら他の先輩連中に混じって普通に戦えるもんなのかと。いや、あれを普通と言っていいのか分からんけど。
で、今回の【水竜の島】だ。
船旅で海王国に行くってだけならあたし達もウキウキだったんだが、まさかシーサーペントの群れと戦うはめになるとは思っていなかった。
ご主人様は本気でここを『観光スポット』くらいに見ている感じだから困る。ある意味『自殺スポット』の方が近い。
先輩連中もなんだかんだ言ってご主人様に同調するし、引いているのはあたしら以外だとユアさんくらいのもんだ。
まぁユアさんはユアさんで大錬金術師のくせにとんでもない火魔法使いだから、これまた次元が違うんだけど。
ともかくあたし達もやらないわけにはいかないし、何もせずに見学だけってわけにもいかない。
ご主人様は「全員一発は入れるように」って言ってたし。経験値がどうのこうのだと思うけど、攻撃しないわけにもいかない。
シーサーペントの群れは五体向かってきた。黒船に迫るそれは蛇とは言えないほどの巨体で、うねるように近づけば黒船が大きく揺れる。
しかも五体で終わりじゃない。その後ろから何体かすでに見えている。
島の周りにいくつの巣があるのか分からないが、これはもう本当に地獄みたいな光景だ。
しかし周りの先輩連中はどこ吹く風。颯爽と作業に取り掛かった。
エメリーさんのマジックバッグからジャラジャラと鎖付きショーテル――いつもの釣り道具を出し、ショーテルをシャムさん、マル、ケニの飛行トリオに渡す。鎖の方はツェンさんやジイナさん、あたしやコーネリアも持たされた。
要は飛行トリオがシーサーペントにショーテルを食いこませ、それから前衛組が引っ張れと。
同時に後衛組が魔法を連発して倒した後、沈まないように引っ張ったままにしておけと。そういう事だ。
シーサーペントは一体だけでも黒船より大きいし、普通に考えれば倒したところで水棲種族じゃないと素材の確保なんて出来ない。
そこは全てご主人様の<インベントリ>にお任せだ。倒したそばからどんどん収納していくとの事。
ご主人様が収納するまでは絶対に沈ませないよう、あたし達は鎖を引き続けなければならない。
そんなご主人様は真っ先に<空跳>で海に出た。
さすがに向かって来るシーサーペントの数が多く、鎖付きショーテルの数が足りない。三本しかないからな。
だから飛行トリオがショーテルを刺せないシーサーペントはご主人様が速攻で倒すらしい。
まぁご主人様だったら<空跳>で一気に近づいて、黒刀で瞬殺して、そのまま<インベントリ>に仕舞えるからな。
なんなら全部ご主人様に任せてもいいと思うんだけど、そうするとツェンさんとか先輩連中が「出番がない」って喚くだろうからな。
あたしも好戦的な方だと自覚はあるけどさすがにシーサーペントとまともに戦えるとは思ってないし。そこまで自惚れてない。
そこへいくとケニはすげーよな。
あたし以上にシーサーペントと戦えないはずなのに、飛んで近づき、ショーテルを刺さないといけない。無謀だ。
いくらご主人様の命令でも、こんなのは「死ね」と言われてるのと変わらないだろう。
のんびり屋の性格が功を奏しているのかもしれないが……クェスだったら間違いなく無理だな。
【黒屋敷】全体としてはそんな作戦めいた『漁』を予定し行動に移しているわけだが、ただ一人、ラピスさんだけは単独行動をしている。
水中でシーサーペントとタイマンするらしい。
久しぶりの海だし、強敵相手だし、それ以上にサフィアが近くに居るからテンションが上がっているんだと思う。
とは言え、その単独戦闘が無謀にも思えない。
これまでラピスさんの泳ぎや水中戦闘を甲板の上から見てきたけど、マジで強い。陸上の何倍も強いと思う。まぁ陸上でもあたしは勝てないんだけど。
泳ぐ速度もそうだけど、水中ならではの立体的な動きとか魔法やスキルの使い方とか、さすがは人魚族と言うべきか、本当に水中なら敵なしなんじゃないかと。
ご主人様もラピスさんの単独戦闘を止めなかったわけだし、信頼しているんだろう。シーサーペント相手でもラピスさんなら勝てると。
まぁラピスさんのテンションが高いから「言うだけ無駄」と放っておいてるのかもしれないが。
「こ、これほどのシーサーペントの群れとは……!」
「さすがにこれは危険というレベルではないぞ……!?」
「サ、サフィア様っ! お下がり下さいっ!」
近衛の三人はかなりのビビリモード。そりゃそうだろうな。あたしから見たって地獄みたいな光景だし、海王国はシーサーペントを″災害″みたいに捉えてきたって聞いたから。
一体でも王都に近づけば″災害″扱いなのにこれだけ群れてたら″大災害″を超えるものだろう。
近衛がテンパるのも分かる。隣のイブキさんが落ち着かせてるけど。
一方で近くのサフィアは興奮気味だ。
「うわぁ! セイヤ様が飛んで行かれました! すごい速い! あっ! シーサーペントが消えました!」
「一撃で倒してすぐにマジックバッグに入れたんですよ」
「すごい! 皆さんの魔法もすごいです! とっても綺麗です!」
「あれでも結構抑えてますよ? あんまり強いの撃つと鎖が外れちゃいますし」
「あっ! お姉様が倒したみたいです! やっぱりお姉様はすごいです!」
「あー、倒したはいいですけど沈めちゃダメだから困ってますね。ご主人様を呼ぶしかないですが」
近衛との温度差がすごい。興奮してるサフィアと隣で解説してるサリュの温度差もすごいが。
サフィアは王都を出る事も初めてだし、生きている魔物を見るのも、戦いを見るのも初めてだそうだ。
だからシーサーペントがどれほど強いのか、【黒屋敷】の先輩連中がどれほど強いのか分からないんだろう。
それに加えてご主人様を妄信しているというか、英雄譚の主人公のように見ている節がある。
まぁ実際その通りなんだが、勇者様ならどんな魔物にでも必ず勝てると思っているような感じだ。
だから近衛が慌てふためくような今の危険な状況でも純粋に楽しんでいるんだろうな。
あたしには何とも言えないな。偉そうに「もうちょっと危機感を持て」とか言えないし。
楽しむだけでも、それはそれで間違いじゃないとも思う。
正直シーサーペントがどれだけ群れて襲って来ようが、ご主人様と先輩連中が負けるとは思えない。
それどころか片手間にやってもノーダメージで倒せるだろう。実際片手間っぽいが。
と、そんなわけで次々にシーサーペントを処理していき、計十三体を倒した。
それ以上襲って来ないところを見ると、これで島の近くに巣食っていたシーサーペントは全部なんじゃないかと。
もうちょっと居るかなーとは思っていたが、思いの外少なかったな。
とは言え『漁』としては『大漁』に違いない。ご主人様の<インベントリ>じゃなきゃ持ち帰れない量だ。
「よしよし、お疲れ。サフィア、大丈夫だったかー?」
「はいっ! すごかったですっ!」
ご主人様が甲板に帰って来た。サフィアが出迎える。
ついでにラピスさんも甲板に上がって来たのでサフィアが興奮した様子で近寄っていった。
ラピスさんはデレデレだな。サフィアに良い所を見せられて満足らしい。
「これでいい感じの魔石があるといいんだけどな」
「解体しての様子ですね」
ご主人様とエメリーさんが話している。
ご主人様が【水竜の島】に行きたがった理由は屋敷ですでに色々と聞いている。
一番は水竜を討伐して竜素材と肉を手に入れたいと。まぁこれは本当に水竜が居れば、の話になるが。
仮に水竜が居なくてもシーサーペントが群れているのは確定している。
ならばその素材――中でも水属性の魔石は出来る限り手に入れたいと言っていた。
カオテッド大迷宮で水属性の魔石を持つ【領域主】というと、二階層のケルピーくらいしか居ない。氷晶竜は除く。
シーサーペントであれば確実にケルピー以上だろうし、それだけで狙う価値は十分だ。
さらに本当に水竜が居れば、そして討伐しその素材を手に入れられれば、水属性の魔竜剣が作れる。
いや、風竜とか炎岩竜の剣にシーサーペントの魔石を入れても水魔法は使えるらしいが、やはり水竜の方がより強力な水属性の魔竜剣になるだろうと。そういうわけだ。
まずは第一段階として【水竜の島】のシーサーペントの駆除及び、素材の回収は終了した。
これであとは本当に水竜が居るのかってところだが……。
……いや、本当にあたしら竜と戦うのか? これ。
先輩連中はみんな戦った事あるけど、あたしら五人は未経験なんだけど……。
まぁ深く考えずに付いて行く事しか出来ないんだけどさ……。
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