親衛隊隊長だけど彼女がいます!

kira

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(9)体調不良って人の本質がわかるよね

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 コンコン
「……こんばんは。」

 会長の部屋の扉の前に立って、声をかける。
(……返事がない。帰りたいが、電話で呼ばれてるし帰れないな。)


なんとなくドアノブに手をかけてみると、扉が開いた。
(やばい!開いてしまった!鍵かけてないのか?)

「し、失礼しまーす。」

 俺は恐る恐る会長の部屋に入ろうとした。だが入口でぶつかるものがあってうまく開かない。ってこれ会長じゃないか……?
 
(体調不良なのかもしれない!絶対に痛いだろうけどすみません!)
 扉で会長を押して部屋に入る。

「大丈夫ですか!?」

 無事に部屋に入り、会長に問いかけるが返事がない。試しに額に手を当ててみると、かなりの熱があることがわかる。
 俺はだいぶ体格差がある会長を、頑張ってベッドまで連れていった。

 やっとの思いで会長をベッドに寝かせる。会長の表情は熱で苦しそうだ。あまり看病はしたことかないが、なんとなくやってるみるか……。とりあえず洗面台に……。
 
 俺がタオルなどをとり行こうとすると、服を軽く引っ張られる感覚がする。

「行くな……。」

 どうやら会長が俺の服を掴んでいるらしい。

「すみません。タオルを取りに行くだけですから。」
丁寧に会長の手を服から外す





(無事にタオルとか体温計が見つかって良かった。夜遅いしご飯はいらないだろ。水だけでいいか。)
 
 会長の体を軽く拭き、額に冷たいタオルを置く。脇に体温計を挟ませる。よほど熱が高いのか、その作業の間に会長が意識をはっきりさせることはなかった。ずっとうなされてるようだ。

ピピピ……
「はい、体温計見せてもらいますねー。」
「38.8℃か……。だいぶ高いな。」

 さすがにここではい、さよならと帰るほど人でなしではないので今夜は看病をすることに決めた。医者ではないから定期的にタオルを替えるぐらいしかできないが。静かだと別にイライラしないな。話すと残念なイケメンってやつだな。





「お、まえどうしてここに?」
「あれ?会長気がついたんですか?会長が電話で来てくれって言ったんですよ。」
「え?俺は……確か白銀に電話して……。」
「いえ俺にかかってきてました。かなりの高熱だったので押し間違えちゃったんじゃないですかね。」
「そうか...。高熱……。確かに朝から体調が悪かったしな。」
「雨の中で動いてたのが良くなかったんだろうな……。」
「一旦、体温計で熱測ってもらえますか?」

 ピピピ……。
「何度ですか?」
「37.9℃だ。」
「まだちょっと高いですね。幸い今日は日曜日で休日なのでゆっくり休んでください。何か買ってきましょうか?」
「そこまでしなくていい。電話からいたってことは夜からいたんだろ。」
「俺は親衛隊隊長ですし、会長を支えるのが仕事ですから。」
(この人、こんな気がつかえるんだ。熱のせいか?)

「悪い……。それなら何か軽く食べれるものと薬を買ってきてくれないか。アレルギーとかは特にないからどんなものでもいい。」
「わかりました!買ってきますね。そうだ汗かいてるみたいなんで着替えた方がいいですよ。軽く汗は拭いたんですけど背中とかは拭けなかったんで。」

「わかった。ありがとう。」

 そう言って会長は軽く微笑んだ。

「……!いえ。」
(笑えるのか!)





 - 売店

(食べ物と薬か……。この売店って広いし、色々なものあるよな。学校にあるレベルじゃないぞ。とりあえず食べ物はうどんとか消化に良さそうなもの……。薬は解熱剤とかでいいか。)

「おや?藤岡くん?」
「東金先輩!お久しぶりです!」

 東金先輩が私服で買い物をしてる。シンプルなコーデでスタイルの良さがよく出ている。

「誰か風邪でもひいてしまったんですか?」
「どうしてそれを?」
「今、買ってるものが風邪の看病用ラインナップだからですよ笑」
「なるほど。」
(ほんとだ、見たらわかるものを買ってる笑)

「東金先輩は何を買ったんですか?」
「私は自分用のお菓子です。甘いものに目がないんです笑」
「そうなんですね!甘いもの美味しいですよね。」
「えぇ、織部くんの手作りお菓子も美味しいと噂に聞いてます。ぜひ次のお茶会があったら交ぜてくださいね。」
「はい!香のお菓子はとても美味しいので期待しててください!ではすみません、失礼しますね。」
「あぁ、引き留めてすみません。風邪の方、お大事に。ではまた。」

 東金先輩はにこやかに笑って言った。

 看病するのは大変だが、東金先輩の私服を見れたのは眼福だったな。東金先輩は男の人だけどちょっと俺の好みのタイプなんだよな。もちろん一番のタイプは雫だが。






 会長の部屋に戻ると、会長は起き上がっていた。服は俺が出ていく前と変わっている。

「すみません!今戻りました。」
「あぁ悪いな。もう意識がはっきりとしてきたから部屋に帰って大丈夫だ。」
「そうなんですね!良かったです。じゃあこれ買ってきたものです。」

 俺はさきほど買ってきたものを会長に渡した。

「貴重な休みを潰して悪かったな。」

(会長、熱で弱ってるからこんなにしおらしいのかと思ったが、ほんとはこっちが素なのか?さっさと買ったもの渡して帰ろうと思ったが、ご飯ぐらいは作って帰るか。)

「すいません。やっぱりその買ったもの渡してもらっていいですか?」
「え?俺に買ってきたんじゃないのか!?」
「そうですけど……。とにかくそれを俺に渡して、会長は寝てください!まだ熱あるんでしょ!?」

 俺は勢いで買ったものをもらって、会長を寝かせた。

「すみません!台所借ります。」





「会長……。起きられますか?」
「……!寝てた。起きられる。」
「これうどんです。食べられるだけ少しずつ食べてください。」
「これうまそうだな……。色々栄養がありそうなもの乗ってるし。」
「といっても卵とかネギとかなんとなく乗せた男飯です。一応消化に良さそうなもので作ってますけど。」
「いきなり呼び出したみたいなのにありがとな。去年の会長と話したときに、親衛隊はろくなのがいないって言われたから警戒してたんだ。」
「でもおまえを含め、親衛隊の人たちは悪い人はいないんじゃないかって思う。」
「……そうなんですね。俺が知る限り、親衛隊には会長が好きな人がいっぱいいますが、悪い人はいないと思ってます。」
「もし気がむいたら放課後に定期的にやってるお茶会に来てくれたら嬉しいです。副隊長の手作りお菓子がとっても美味しいですよ。」
(俺は会長がいてもいなくてもどっちでもいいが、親衛隊の子達がきっと喜ぶと思う。)

「わかった。考えとく。……隊長、ありがとな。」
「はい。では失礼しますね。」
(会長は意外と素直なんだな。でも結局名前は覚えてないんかい。)





 会長の部屋から自分の部屋に戻ってきた。

……プルル…プルル
「もしもし?」
「はーい!やっほー幸輝!」
「あれ?彩ねぇ?俺間違えた?雫にかけたはずなんだけど。」
「いや合ってるよ!これ雫の携帯!」
「え?雫は?」
「実はね雫は風邪ひいちゃってー。絶対安静なの!」
「風邪?きつそう?」
「んー微熱なんだけど、咳がとまらなくて電話はつらいだろから私が出た!」
「なるほどな。雫とちょっと話したかったけどそれならしょうがない。」
「ふふふ。2人ともラブラブだねー。」
「離れてるんだから声が定期的に聞きたくなるんだよ。」
「ほうほう笑」
「…からかうならもう切るぞ。」
「あはは!ごめんごめん!…ん、雫なにか言いたいことある?」
「…わかった。幸輝!電話かけてくれて嬉しい。この間はぶつ切りしてごめんね!こっちは心配しないで!だって。」
「わかった!じゃあまた風邪が良くなったころに連絡欲しいって伝えてほしい。」
「おっけ!じゃあ切るね!幸輝、無理しないでね。あんたのことも弟みたいに大切にしてるんだから。」
「了解。またね。」

 
 
 まぁそうだよな。響が消えてしまった場所なんて怖いよな。でも雫じゃなくて俺が潜入するので良かった。雫が潜入なんてしたら色んな意味で彩ねぇが心配で倒れてたかもしれない。
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