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(14)意外な一面
しおりを挟む- 2年A組
移動教室のタイミングでクラスの人がまばらになってきた。
「なぁ野口ちょっと待ってくれないか?」
「え?移動教室遅れちゃうぞ?」
「一瞬で終わるから!2人でだけ話したい。」
「え!?……謹しんでお受けします!」
「ん?受けてくれるのか?てか何の話かわかってる?」
「告白だろ?まさか藤岡が俺のこと好きだったなんて!」
野口が体をくねくねさせて言う。
「そんなわけないだろ!」
(動きが気色悪いな……。)
「えー?じゃあなんだっていうの?」
「実は……。」
俺は昨日見た庭園での雫と見知らぬ生徒とのやりとりについて話した。
「なるほどなー。たぶんだけどその生徒は1年生だと思うよ。」
「どうしてわかるんだ?」
「藤岡さまって言ったんだろ?藤岡のファンクラブのメンバーには全学年いるが、様って呼ぶのは1年だけだよ。」
「へぇー。そんなにメンバーいるのか……。まぁいいや、それで頼みたいことなんだけど、雪城が呼び出し受けたときには一緒についていってほしい。」
「藤岡が行くのはだめなの?」
「俺は一応親衛隊隊長って立場だから、その場についていくだけだと一時的な解決にしかならないと思うんだ。だからそういったしがらみがない野口がいることで、どういう感じなのかわかるはず……。」
「なるほどな。つまり物理的な危害を加えられそうな場面を記録して、証拠にするってことか。」
「うん……。本当はそんなことがないといいんだけど、あの感じだと他にも怒りそうだから。」
「わかった。引き受けてもいいけど1個条件がある。」
「俺にできることならやるよ。」
「俺に勉強を教えてください!」
「あぁもうすぐ定期テストだもんな。」
「本当にやばいんだ……。これ以上赤点を取ると親に通知がいくらしい。怒られる!!」
「そんなことで良ければやるよ笑」
「じゃあ呼び出しの監視頼む。雪城本人に話してついていってもいいし、こっそりでもいいぞ。」
「まじで助かる!!」
「監視は……こっそりやろうかな。危なそうになったら止めるよ。」
「俺は良い友達を持った!」
キーンコーンカーンコーン
「「やばい!!」」
俺たちは理科室へ向かって走り出した。
・
・
・
無事に授業に間に合い、安心して授業を受けているとふと窓の外が気になった。……木の付近で誰か話してる。
(あれは……書記の乾くんか。生徒会の中で唯一の2年生。話してる相手は教師だな。でもあんなところでなにを?)
だんだんと乾の顔色が悪くなっていく……。だが教師は気づかなかったのか無視をしたのかはわからないが、そのまま立ち去ってしまった。
(話の内容で顔色が悪くなったのか……?)
バチッ!
(あっ!乾と視線が合った!……って倒れた!?)
「……先生!ちょっと体調不良で抜けます!」
俺は先生にそう言い捨てて、教室を出た。
「え、はいどうぞ……。って聞いてないし」
先ほど教室から見えたらへんに急いで向かう……。いた!まだ倒れている。
「大丈夫ですか?」
「……」
(意識がなさそうだけど……俺より体格がいいから1人じゃ運べなそうだ……。)
「藤岡?それに……乾か?」
「……!東雲!ちょうど良かった!運ぶの手伝ってくれないか?」
「わかった。たぶん俺1人でも運べるわ。藤岡は荷物持ってきてくれないか?」
「了解!」
東雲は乾を軽く抱き上げて、歩きだした。俺も荷物を持って追いかけた。
・
・
・
- 保険室
「「失礼します」」
「はーい。今、理人くんいないよー。」
中に入ると東城先生はいなくて蘭丸先輩がいた。
「って亜樹くん体調不良?」
「わからないんですけど急に倒れちゃって。」
「そっか...。じゃあ頭揺らさないようにゆっくり寝かせてあげて」
東雲がそっと乾をベッドに寝かせる。
「じゃあ俺はやることがあるからもう行く。悪い藤岡、荷物もらってもいいか?」
「あっ、ごめん!はい。乾くんをここまで運んでくれてありがとう。助かった。」
「あぁ。じゃあまた。」
俺が持っていた荷物を渡すと東雲は保健室を出ていった。
「あっ!俺、お礼言い忘れちゃった。藤岡くん伝えといてもらえる?」
「良いですよ。それより蘭丸先輩は……サボりですか?」
「正解ー!」
「あはは...。」
(ですよねー。だいたいサボりのときしか見てないぞ。)
「うぅん……」
乾が目を覚ましたみたいだ……。
「亜樹くんおはよう!」
「乾くん大丈夫?気持ち悪いとかない?」
「……?えっと……どうして……。」
「亜樹くんが倒れてたのを、ここにいる藤岡くんともう1人の男の子が運んでくれたんだよー。」
「そうなんだ……。……ありがとう。」
「乾くんどうして倒れたとか……わかる?」
「別に……なんでもないよ。」
「いや寝不足でしょー!夜、亜樹くんの部屋の窓から光漏れてるよ。」
「寝不足なんですか?」
「……誰にも言わない?」
「「もちろん!」」
「……実はずっと勉強してるんだ。俺そんなに頭が良くなくて。わからないところがたくさんあるんだけど、質問するのは怖くて...。」
「質問するのが怖い?」
「大人と話すのは緊張するんだ。」
「なるほど……。」
(だからあのときも教師と話してるだけで顔色が悪くなっていったのか。なにかトラウマでもあるのかもしれないな。)
「ふーん。まぁわからないところがわからないとかあるよねー!でも寝不足で勉強なんて効率が落ちるだけだと思うよ?」
蘭丸先輩が少し怒ったように言う。心配してるんだろう。
「す、すみません...。」
「あっ!いいこと思いついた!藤岡くんに勉強教えてもらいなよ!ちょうどここにいるし、外部生だから勉強得意でしょ!」
「えっ!俺!?」
(蘭丸先輩、無茶振りするな……。でも会長親衛隊が書記と勉強してたら変だと思うんだけど。)
「教えてくれるの……?」
乾がキラキラと見てくる。
「えっと……乾くんの親衛隊の人とかに教えてくれる人いないんですかね……?」
「……あの人たち俺がなんでもできる人に見えてるみたいで、期待を裏切りたくないし、ちょっと怖い……。」
「な、なるほどー。」
「これは藤岡くんが教えるしかないんじゃない?俺とか亜樹と仲良しの生徒会メンバーはみんな忙しいし。」
「わかりました。一緒に勉強しましょう……。ただクラスのやつにも勉強教える約束してるんで、一緒でも大丈夫ですか?」
(蘭丸先輩、面倒だから押しつけたな。面倒見がいいのか悪いのか。)
「それって1人……?」
「えぇクラスのやつは1人です。あと教える役で副隊長も誘いたいんですけど大丈夫ですか?」
「1人か……それなら。それに副隊長は香でしょ?なら大丈夫。」
「香と知り合いなんですか?」
「香と同じクラス。」
「なるほどー。」
(香なら積極的に話しかけそうだしな。)
「やったね!これで解決しそうだね!亜樹くんは夜しっかり寝るんだよー!」
(蘭丸先輩……他人事だと思って気楽に言いやがる……。)
「うん……。先輩も藤岡くんもありがとう。」
……こうして勉強会メンバーが増えていったのだった。野口には言わなくてもいいか。
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