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(25)ここは無人島?
しおりを挟む- 無人島?
「そういえばなんで香は呼んだんだ?」
「人工的に手入れされてる道を発見したからだよ!」
「まじか!じゃあ人がいるかもな!」
「うん!軽いボートとか借りられたらいいんだけど……それか電話を借りるとかね!」
「じゃあこの道進んでみるか。」
「俺、先頭行くよ。体鍛えてるし、何かいても倒せる!」
「倒せるって笑」
「こーくん?ここにはどんな人が住んでるのか、ましてやどんな動物がいるかわからないんだよ?倒すことも考えておかなきゃ!」
「な、なるほどな……」
(そこまで頭まわってなかった……。確かにザ自然って感じの道だからな……)
・
・
・
流星、香、俺、亜樹の順で道を進んでいく。手入れされてる道といっても雑草が横から飛び出ているところも多く、野生動物が飛び出てきても不思議ではない。
しばらく歩いていると開けた場所が見えてきた。どうやら洋館が建っているようだった。ここに来るまでに何にも遭遇しなかったのは幸運だった。
「あっ!建物があるね。どうする?」
「一応1人だけで確認しにいって、他の人は周りで隠れとくか?」
「確かにそれはありだね……じゃあ誰が……」
ピンポーン!
「すみませんー!」
「「「えっ!?」」」
俺と香が話している間に流星は洋館のチャイムを鳴らしていた。とりあえず俺たちは隠れようとしたが、その前に中から人が出てきてしまった。
ガチャ
「はい。どうされました?今日はお約束など無かったと思うんですけど。」
扉を開けて出てきたのは、身なりの整った初老の男性だった。
「すみません。実は海水浴に来ていたところ、かなり流されてしまって近くのここまで来たんです。申し訳ないんですけど、船などで送っていただくか、電話をお借りしたいんです。」
「なるほど。近くの海岸といえば光の上学園のビーチですかね?たぶんビーチに知り合いがいますので、迎えの船を呼びますよ。」
「本当ですか!ありがとうございます!」
「おーい!みんなー!」
(どうやら無事に帰れそうだ。優しい人が島にいて良かった。)
流星が俺たちに声をかけてきたので、洋館の玄関前まで向かう。大人の人ということがあって、亜樹は俺の後ろに隠れるようについてきた。
「全員で4名で大丈夫ですか?」
「はい!すみません、ありがとうございます!」
「いえいえ……。良ければ船が来るまでの間、中でお茶でもどうですか?」
「……ではお言葉に甘えて。」
・
・
・
- 洋館 (応接室)
男性に案内され、応接室へと通された。現在男性はお茶を入れに行くと言って、席をはずしている。
「それにしても船まで出してくれるなんて良い人だな。」
「そうだな!流星がついてすぐにチャイム押したときは焦ったけどな笑」
「悪い悪い!野口をビーチに残したままだし早く帰りたいなって思って。」
「そうだよねー。でもあの男性何者だろう?」
「……どうしてそう思うの?」
「んー、ざっと島を見たときにここにしか建物は無さそうだったんだよね。だからここは別荘とかの可能性が高いじゃない?なんでここに常駐してるような人がいるんだろうって。」
「確かにお客様の予定とか言ってたから、ここに来客があるってことだよな。」
「そう!別荘に人を招くってなかなかしないと思うんだよねー。」
「まぁそういう人もいるのかもな!」
「でも紳士的な感じでカッコよかったよね!」
「香……真剣な感じでカッコよかったのに……」
「えへへ……ついね!」
俺たちは男性について怪しいかどうかと話していた。だが結局、不審な点もあるが、船を呼んでくれる良い人にかわりはないという結論になった。
ガチャ
「失礼します。お待たせしました。」
「「「いえ大丈夫です。」」」
「あいにく紅茶しか無かったんですが、飲めないとかありますか?」
「わぁ!紅茶好きです!」
「特に嫌いではないです。」
「ではどうぞ。苦手でしたら残して大丈夫ですよ。」
男性が俺たちの前へ順番にカップを置いてくれた。紅茶の香りが部屋中に充満し、とてもリラックスできる。
「今、ビーチの管理人に連絡しましたら、あと1時間ほどで迎えに来れると。少し忙しいみたいです。」
「そうなんですね!ありがとうございます!」
「いえいえ。ではそれまでの間、お話しでもしますか?」
「あっ、はい!」
「皆さん光の上学園の生徒さんですよね?私の甥はそこの卒業生だったんですよ。」
「へぇー!あぁだからプライベートビーチの管理人とお知り合いに?」
「えぇそんなところです。」
・
・
・
迎えが来るまでの間、男性と話をしていた。男性の名前は北原 湊というらしい。
しばらく話をしているとどこからか騒がしい足音が聞こえてきた。
ドタドタ!ドタドタ!ガチャ!
「おじさん!」
足音が近づいてきたと思ったら、応接室の扉が勢いよく開かれた。
そして姿を現したのは、可愛らしい顔をした少年だった。クリクリと大きな目が特徴的だ。
「奏多。お客様がいらっしゃるから静かにね。」
「え?あー、ごめん!それより聞きたいことがあって……」
入ってきた少年は勢いよく話しだしたかと思えば、俺の顔を見て黙りこんだ。
(え?何?……てか声聞いたことあるなって思ったし、名前も奏多って……。あの夏祭りで会ったあいつじゃね?亜樹は知り合いじゃないか?)
たぶん夏祭りで会った偽転校生だと思い、知っているであろう亜樹の方を見る。
……亜樹は下を見ていて奏多の方を見ていないようだった。北原さんが同じ空間にいるだけでも怖いのかもしれない。
「奏多どうしました?」
「あっ……知り合いがいたからびっくりしちゃってさ!」
「知り合いが?」
「そう!そこの彼!ちょっと彼、借りてもいい?」
「えぇ、私は構いませんが……。」
「あっ!行きますね!」
奏多が何かを話したそうに俺を指名したので、扉へ向かおうとする。だが引っ張られる感覚があり、見ると亜樹が俺の水着を掴んでいる。
どうしようかと考えていたとき、それに気づいた香が亜樹の手を握った。香が大丈夫だよと目配せをしてくる。それに感謝して俺は奏多の方へと向かった。
「ごめんね!ちょっとあっちで話そー!」
「え、あ、はい……」
・
・
・
奏多についていき、別室へと入る。するといきなりすごい剣幕で詰められた。
「なんでここに?てか亜樹を連れまわすなんてすごい身勝手だね!亜樹は外出とか嫌いなんだよ?無理やり連れてくるなんてさすが親衛隊だね?」
「あぁ、やっぱりあの夏祭りのときの方でしたか……。」
「そうだけど?てか話しきいてた?」
「え、あぁ聞いてましたよ。別に無理やりじゃないです。」
「そういう都合の良い解釈はやめなよ!」
「そんなことないですよ。」
「はぁ話してても埒があかないや。とりあえず亜樹とか朔也とか生徒会メンバーにまとわりつくのやめた方がいいよ?」
(いや支離滅裂なことを言ってるのはおまえだろ。こいつ何様なんだろうか。)
「僕の方がみんなと仲が良いから、みんなの気持ちわかるんだよ。」
「へぇ、そうなんですか。」
「うん!これからはわきまえてね?」
「あー、努力しますね。」
「わかればいいよ!あっ!そうだこの姿のこと亜樹とかに話さないでね?」
「え?なんでですか?」
(てか知ってるんじゃないのか?)
「ほらこの可愛い姿で話してたら皆僕に恋しちゃうからさ!一応僕は恋人いるからね!」
「……あ、はい。」
(自信過剰だ……。)
しばらく奏多の理解できない話に付き合っていると、俺を呼ぶ声が聞こえてきた。迎えが島についたらしい。
「あぁ迎えきたんだ。じゃあこれからは行動に気をつけてね。ばいばーい。」
「あぁはい。じゃあ失礼しますね。」
・
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・
島についた小型ボートに乗って、ビーチへと帰る。
「こーくん何の話だったの?」
「ん?あぁちょっとした知り合いで、共通の友人について話してた。」
「へぇー!」
「それより無事に帰れそうで良かったな。」
「本当に!」
「あぁ!あの島に人がいたことが救いだったよな!」
「うんうん!あっくんもよく頑張ったね!」
「いや元はといえば俺のせいだから……。」
「気にするなって!」
「まさかあんなに海岸から離れてると思わなかった俺たちも悪い!笑」
雑談をしながらボートに乗っているとあっという間にビーチへと帰ってきた。
「「「「ありがとうございました!」」」」
「いえいえー。今度は気をつけるんだよー。」
「はい。すみません!」
迎えにきてくれた管理人の方にお礼を言って、ボートから降りる。
「おーい!みんなー!」
降りてすぐに野口が声をかけてきた。食べ過ぎからの吐き気はなくなったようだ。
「野口ー!悪い!ちょっと遭難してた。」
「あ、やっぱり?全然戻ってこないし、パッと見てもおまえらを1人も見かけなかったからさ。」
「美味しい紅茶飲んできたよー!」
「なんか遭難のわりに優雅な時間過ごしてたんだな?」
「おう!でも体を動かし足りないな。野口復活したならビーチバレーしようぜ!」
「えっ!?戻ってきてすぐそれやるの!?バイタリティーやばいって!」
流星が野口を連れて、ビーチバレーの準備をしにいく。
俺たちは呆気にとられたが、確かに楽しみ足りないと思っていたため、2人を追いかけた。
・
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全員でローテーションをしながらビーチバレーを楽しんだ。周りで見ていた人が飛び入り参戦したり、なかなか盛り上がったと思う。
夕方の薄暗い時間になってくると夕飯としてまたバーベキューをした。そして花火を全員で楽しんで解散となった。
遭難という大変なイベントは起こったが、結果としてその日は楽しい思い出で埋めることができた。
こうして俺たちの夏休みはたくさんの思い出をつくり、過ぎていった。夏休みが明け、学園生活がまた始まる。様々なイベントが起こる予感がする。
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