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(26)まさかの勘違い
しおりを挟む色々とあった夏休みも終わり、学園生活が始まった。初日から寝坊しないようにと考えていたら、思ったより早く目覚めてしまった。二度寝するような時間でもなかったため、早めに教室へ来た。
(久しぶりに一番かもなー。……って人の気配するわ負けたな。)
ガラガラ
- 2年A組
「「「えっ!?」」」
教室に入ると会長親衛隊のメンバーの子が何人かいた。それは問題ない。学園の生徒なんだからどこにいても不思議ではないからだ。
だがやろうとしている行為が問題だった。教室の黒板に大量の雫への暴言を書いていたのだ。内容としてはおまえみたいなブスは会長様に釣り合わないだとか、この学園に似合わないだとかもっとひどいことも書かれていた。
「何してるんだ……?」
「隊長!……制裁です。」
「制裁?なんで?」
「だってあんな見た目のくせに生徒会メンバーの方々にまとわりついてるから……。皆様が迷惑してるのを見たんです。」
「え?」
(雫はそんなことしてないぞ?勘違いか?)
「間違いじゃないか?」
「いーえ!隊長は夏祭りのときに見なかったんですか!?」
「夏祭り?転校生来てたか?」
(いや夏祭りは雫はちゃんと女の子の格好してたが?)
「えぇ!いました!生徒会メンバーの方々とまわってました!あんな格好してる人、転校生以外にいません!」
「……あー、なるほどね。」
(偽転校生か。確かに雫の変装以外であんなの初めてみたな。)
「遠目から見ただけでもベタベタとくっついて、迷惑をかけているのが見えたんです!」
「実は……俺夏祭りのとき生徒会メンバーと話したんだ。」
「えぇ!そうだったんですか?どうでした?」
「その迷惑そうではあったけど……でもあのモジャモジャ転校生じゃなかった。」
「転校生じゃない……?あれで?」
「そう。見た目ほぼ一緒だけど、この学園の卒業生みたいだったよ。」
「……あの格好する人、他にもいたんですね。」
「そうなんだよ。だから転校生に制裁はなしね!」
「隊長が言うならわかりました。」
「良し!じゃあ消そうか。」
みんなで黒板消しを手にとって、暴言を消していく。それぞれあまり納得していないような表情ではあったが、一応別人だと理解してくれたみたいだ。
「よし消えた!みんなで消せば早いな!」
「隊長すみません……」
「誤解してたんだろ?ならしょうがない。だけど俺は制裁とかいらないと思ってるから。」
「……はい。でもどうしても許せなくて。」
「思うんだけど……仮に生徒会メンバーが誰かを好きだとして、そいつに制裁なんてしたら、生徒会メンバーに嫌われると思うぞ。」
「!そうですね。」
「逆に生徒会メンバーが困っているっていうんだったら、相談に乗ったり、迷惑をかけてるやつをたしなめたりすること。それが親衛隊だと思う。」
「「「はい!」」」
「さすが隊長!カッコいいです!」
「ありがとう。だから制裁とか無しな?」
「はい!では失礼します!」
(俺自身の親衛隊のあり方を長々と話してしまった。ちょっと説教くさかったかもしれない。でも晴れやかな顔で帰っていったしよかった。)
・
・
・
続々とみんなが登校してきて、教室に人がだいぶ入った。
「藤岡おはよー」
「野口おはよー」
「マジで寝坊するかと思ったー笑」
「初日1発目からそれはやばい笑」
「幸輝!」
「お?流星おはよー」
「おはよ!それよりもうすぐホームルーム始まるのに瑞希がいないんだ。」
「ほんとだ。」
「雪城、寝坊なんじゃない?」
「そうかなー?」
(雫が寝坊するとこ見たことないけど……色々あって疲れたのか?)
♪キーンコーンカーンコーン♪
ガラガラ
「はーい、席につけー。」
「あっ!じゃあ戻るな!」
先生が入ってきたため、流星は席へと戻った。まだ雫は来ていない。
・
・
・
1限が終わっても雫は現れなかった。先生にも連絡が来ていないらしく、昼休みに寮へ確認してくるそうだ。
2限が始まり、教室から外を見ているとふらふらと歩いている人が見えた。よく見ると雫だ。どこか様子がおかしいように見える。
「すみません!早退します!体調不良です!」
「藤岡……またか?」
「はい!ちょっと頭痛で!」
「はぁ、わかった。早退しなさい。」
「ありがとうございます!」
カバンを手にとって、教室から飛び出し雫のもとへと向かう。
・
・
・
(この辺だったと思うんだけど……いない?あっ!地面が濡れたあとが続いてる……?)
濡れた地面を追って歩いていく。するとその先に雫がいるのが見えた。
「瑞希!」
「え?幸輝!」
「なんでそんな濡れてるんだよ……。」
「んー?なんか誰かが上から水をこぼしちゃったみたい?」
「……それって!」
「でも僕は大丈夫だよ?」
「いや……あ、原因わかると思う。」
「え?」
「なのさ夏祭りで瑞希にそっくりなやついたろ?」
「え、あぁいたね!話してないけど。」
「あいつと生徒会メンバーがまわってるのを瑞希だと、勘違いしてるやつらがいるみたいで。」
「なるほどね!」
「でも安心しろ!勘違いを訂正してまわるし、何かされたら助けに行くから!絶対に俺が解決してやる!」
「ありがとう。」
「あれ?幸輝くんなにしてるのー?」
「蘭丸先輩!」
雫と2人で話していると蘭丸先輩が現れた。たぶんまたサボりだろう。
「一緒にいるのは……転校生くん?なんで濡れてるの?何かされたの?」
「はい。あっ!これは幸輝がやったんじゃなくて……。」
「うん、幸輝くんがやったとは思わないよ。というかとりあえず着替えた方がいいんじゃない?」
「「あ」」
すっかり話し込んでいて着替えのことなど2人して忘れていた。蘭丸先輩の提案で保健室に行って、予備のジャージを借りることにした。
・
・
・
- 保健室
「失礼しますー!理人くーん!」
「夢野、せめて先生をつけろ!」
「理人くんは理人くんだよー!それよりジャージ貸してほしくてー」
「また盗まれたのか?」
「違うよ!俺じゃなくて彼に!」
「藤岡と……雪城か?ビショビショだな……わかった着替えてこい。」
「ありがとうございます!」
雫は東城先生からジャージを受け取って着替えに行った。
「あれは親衛隊の仕業か?」
「先生、わかるんですか?」
「まぁ俺のときもあったからな。」
「え?親衛隊なの?」
「はい。あの夏祭りで生徒会メンバーと転校生が一緒にまわってたって噂が広まってるみたいで……」
「あー……奏多先輩ね。確かに遠目から見たら同じ格好だから間違えるかも笑」
「……それ北原 奏多か?」
「名字は知りませんけどたぶん合ってます。」
(北原さんの甥っ子って言ってたし、名字が一緒のこともあるか。)
「理人くん奏多先輩のこと知ってるの?」
「あぁ去年大暴れして卒業してったやつだろ。印象に残ってるよ。」
「あー、確かに生徒会と親衛隊の対立やばかったよねー!」
「へぇー。」
(去年はどうにか響の情報を探ることにしか、集中してなかったからそんなこと知らなかったな。)
「すみません!ありがとうございました!」
「おう。風邪引かないようにな。」
「はい!」
「瑞希、今後は1人で行動しない方がいいよ。」
「うん。気をつけるよ。」
「そういえばなんで今日ホームルーム来なかったんだ?1限も。」
「実は……寮の部屋の扉にイタズラ書きされてて、雑巾でも消えなかったから用務員室行こうと思って……それであれ笑」
「な!そんなに色々されてたのか!?」
「でもそこまで害はないし大丈夫!それに幸輝がなんとかしてくるんでしょ?」
「まぁそれはそうだけど……」
「「仲いいな(ね)」」
「「え?」」
「いや去年の見てたら転校生と親衛隊が仲良くしてるってのがな。」
「ほんとほんと!でも幸輝くんは良い子だからね。まぁ仲良くなるのは羨ましいけど?」
「羨ましい?」
「俺も幸輝くんともっと仲良くなりたいよー!」
「わっ!」
蘭丸先輩が勢いよく抱きついてきた。引き剥がそうと力を入れるが、先輩はなかなか力が強くて引き剥がせない。しょうがないからそのまま会話を続ける。
「とりあえず夏祭りのあれは別人だって犯人に伝えます!」
「どうやって?親衛隊って結構いるよ?」
「それは……企業秘密ですけど、わかる方法があるんで!」
(東雲に監視カメラのハッキング道具を借りればわかるはず。)
「まぁいいや、保健室にだいたいいるから困ったことがあれば頼れよー。」
「俺にもぜひ頼ってねー!転校生くん!もちろん幸輝くんもね!」
「「ありがとうございます!」」
保健室を出て、蘭丸先輩とは別れる。先輩はまだ一緒にいたがったが、2人で話すことがあると言ったらしぶしぶ了承してくれた。
雫と2人で寮を目指しながら話す。
「それで話って?」
「……監視カメラあるって言ったろ?あれ見れるんだよ。」
「え!?」
「あんまり詳しくは話せないけど今度、ガラス庭園に一緒に行こう。」
「それでわかる感じ?」
「うん。」
「わかった!」
「じゃあとりあえず寮の扉のラクガキ消そうぜ!」
「そうだね!手伝ってくれてありがとう!」
無事にラクガキを消し去ることができた。だがまたイタズラされるかもしれない。そのために早く犯人の特定が必要だ。
俺はローリエの集にメッセージで現在の状況を伝えた。すると2人からすばやい返信があった。すぐにでも集まろうとのことだ。
そして今夜、雫と共にガラス庭園へ向かう。
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