親衛隊隊長だけど彼女がいます!

kira

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(34)暗転からの……?

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「やーい!泣き虫ー!」
「なよなよして女かよー!」
「違うよ……僕のボール返して……」
「返してほしかったら取り返してみろよー!」
「へいへい!パスパス!」
「あっ!やめてー!返してー!」

 公園で遊んでいたところ、いつも意地悪をしてくる上級生たちが僕のボールを奪った。僕の頭の上でボールが飛び交う。身長が小さいほうであるから、上級生たちの投げるボールに全く手が届かない。……涙が止まらない。

「わー!泣いてやがるー笑」
「男のくせに泣き虫ー!」
「このボールもらうぜー?」

 ひっくひっく……
 僕は泣くことしかできない。上級生たちがボールを持って、どこかに行こうと歩きだした。

「コラー!幸輝になにしてるのー!」
「は?おまえ誰だよ?」
「私は友達の雫!それ幸輝のボールでしょ?返しなさい!」
「これは俺らがもらったんだよ。」
「あんなに泣いてるじゃない!」
「あいつが泣き虫なだけだろ。というか邪魔するんじゃねーよ!」

 ドンッ!
 上級生たちの前に雫が飛び出したと思えば、僕のボールを取り返そうとしてくれた。でも雫は突き飛ばされてしまった。
(……せっかく雫が助けてにきてくれたのに、僕が弱いから……僕のせいで傷ついて……)

「……痛い。」
「お?おまえも泣き虫の仲間だから泣いちゃう?ごめんねー笑」
「それ思ってないないだろ笑」
「……こんなこといつも幸輝にしてるの……?」
「これぐらいで泣くほうが悪いだろ。」

 バキッ!
「「え」」

 ガン!ガッ!ドサッ!ダンダン!
 急に雫が顔をあげたかと思えば、上級生たちに殴りかかり、蹴りまで入れた。……上級生たちは意識がもうないようだ。

「雫!雫!やりすぎ!」
「幸輝がやられたのはこんなもんじゃないよ!」
「いや結構やりすぎ!」

 あまりにも過剰なため止めようとするが、雫の怒りは収まらないようだ。僕の力は悲しいことに雫よりも弱いので、雫を止めることができない。

「先生!こっちです!」
「はーい!問題を起こしてる子達はこっちー?」

 雫を止めることに必死になっていると、先生が登場した。どうやら響が呼んできてくれたようだ。

「響!ありがとう。僕じゃ雫を止められなくて……」
「全然。あの姉妹は強いもんな……。それで……幸輝あの上級生たちにいつも意地悪されてたのか?」
「……うん。でも雫がぼこぼこにしてくれたからすっきりした。」
「そっか。俺すぐ気づかなくてごめんな。」
「違うよ!僕が気づかれないようにしてただけ。雫にはバレてたみたいだけど。」
「今度からちゃんと相談しろよ?すぐ俺が助けに行くから。」
「ありがとう。」
「それと……やっぱり男としては好きな子には助けられるんじゃなくて、守れるようでありたいだろ?」
「うん。俺も響みたいにカッコよくなりたい!」
「よし!俺と一緒に好きな子を守れるカッコいい男を目指そうな。」
「響はもう強いんじゃないの?」
「俺もまだまだだよ。」

 その後、雫は先生にやりすぎだと怒られていたが俺を助けたことは褒められていた。上級生たちは親御さんに話がされたらしく、この事件のあと俺に関わってくることはなかった。(ちゃんと謝罪されました。)カッコいい男になるためにスポーツを始めてみたりしたが、雫や響にはまだまだ敵う気がしない。





(……夢見てた。てかここどこだ。確か俺は野口が敵だとわかって……テーザー銃を向けて……。他にも誰かいたのか。)

 目が覚めて、視界に見覚えのない天井が映る。
 どうやら何者かに気絶させられたあとどこかの部屋に入れられたようだ。だが今まで見てきたゲストルームのような部屋ではなかった。それよりも広く、まるでホテルのスイートルームだ。趣味の悪い絵画や置物も置かれていない。しかしあるのはベッドやいくつかの空のタンスのみで、さみしい印象を受ける。
 とりあえず部屋唯一の扉へと近づいて、ドアノブを動かすが鍵がかかっているようだ。

(さすがに鍵かかってるよなー。窓も鉄格子みたいなのついてるし、持ち物もスマホとか通信機とか全部取られてる。……詰んだか?)

 しばらく部屋の中を探ってはみたが、特に出られる場所もなく、とりあえず誰が来るまでベッドでじっとしていることにした。





 時計がないのでどれくらい時間が経ったかわからないが、体感的に30分ほど経ったときに扉が開かれた。

(誰か入ってきた!?敵か味方か……?味方だとしたら香は俺と同じく捕まってるだろうし、グループ2があり得るぐらいか。……敵の可能性が高いな。)

 扉がゆっくりと開かれるのが見える。念のためベッドの布団を被っておく。……あまり意味はないかもしれないが。

「藤岡くんいらっしゃいますか?」
「……!東金先輩!?無事だったんですね!俺……退学したって聞いて心配で……!」
「静かにね。色々と聞きたいこともあるでしょうが、とりあえずここを出ましょうか。」
「あ、すみません……。」

 東金先輩に連れられて部屋から出る。廊下に出ると俺たちが入ってきた場所とは違う廊下であることがわかる。
 無言のまま東金先輩についていく。どこに向かっているのかは不明だが、信用してもいいと思っている。そして少し歩いた先にあったある1つの扉へと近づいた。

 カチャ……ガチャ
「織部くんいらっしゃいますか?」
「……葵先輩!それにこーくん!」
「静かに。お2人をお連れしたいところがありまして。」
「わかりました。一緒に行きます。」

 部屋に入ると香がいた。俺と同じような部屋に閉じ込められていたようだ。持ち物が奪われていたからさすがの香でも脱出の手はなかったみたいだ。
(香が素直に東金先輩についていくって判断をしたってことは、やっぱり味方なんだろうか。)





「ここです。きっとこの中に君たちの持ち物があるはずです。」

 東金先輩はとある部屋の前で止まってそう言った。俺たちは思わず目をあわせて、先輩に感謝の言葉を言おうとした。しかしその前に先輩が、静かな声で俺たちに感謝の言葉を伝えてきた。

「ありがとうございます。」
「「え?」」
「あなたたちのような勇気が私にはなかった。……この先にはお供できませんが、気をつけてくださいね。」

 そして俺たちは押されるように部屋へと入れられた。2人で疑問符を頭に浮かべていると、扉の向こうから声がした。

「あれ?あなたは……涼宮くんの部下の……?」
「えぇ東金です。お客様はなぜここに?」
「あぁお手洗いに行ったら迷ってしまってね。」
「そうでしたか。では会場の方へお連れしますね。」
「頼むよー。あ、お仕事の邪魔しちゃったかな?」
「いえ、商品の管理をしていただけですので大丈夫ですよ。」
「そうかそうか!そういえば今日は新しい商品が入荷したんだろう?」
「……すみません。私は比較的古い商品の管理がメインですので。」
「そうだったのか……じゃあ……!」

 どうやらお客様と呼ばれる人物が東金先輩に声をかけたようだ。しばらく部屋の前で話をしていたかと思えば、だんだん声が遠ざかっていった。

「こーくん、今のって……。」
「うん。怪しい取引の話に間違いないな。」
「……人身取引じゃないかな……。新しい商品って僕たちじゃない?」
「そうかも……やばいな。」
「うん。ここに僕たちの持ち物があるって言ってたし、早くそーくんたちに連絡しなきゃ。」
「そうだな!」

 俺たちは部屋の中へと目を向けた。
 部屋はだいぶ大きいようで、今まで見てきたこの建物内の部屋の中で一番広い。……学園の教室4つ分ぐらいはありそうだ。
 そこに所狭しと金属のタンスが置いてあり、それぞれにいくつかの箱が置いてある。近づいて箱を見てみると人物の名前が書かれている。

「こーくん!これ会長の名前!」
「……こっちには東雲の名前。」
「知ってる名前もいくつか書かれてるね。もしかして学園全員分の箱がある感じ……?」
「この量だとありえそうだぞ。」
「待って!しかもこれ……そーくんがなくなったって話してたペンが入ってる!」
「学園でちょくちょく盗まれてたものがここに保管されてるのかもな。」
「……気持ち悪いね……」
「そうだな。本当に。とりあえず俺たちの持ち物探すか。」


 俺たちは膨大な盗品の中、自分達の持ち物を探し始めた。


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