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(39)結末
しおりを挟む爆発が続く建物内に残された俺は出口を探し、歩き回っていた。
(ところどころ崩れかけているし、いつ崩壊するかもわからないため早めに出口を見つけないと……)
・
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爆発音の中、人の声が聞こえた気がした。
「……いますか!?……!……!」
助けが来たのかもしれないと思い、思い切り声をあげた。
「ここにいます!ここです!」
声をあげながら、その助けにきた人らしき声の方へと走る。
(響とか香とかあとはあんまり合っててほしくないけど雫とか?……会長とかは助けにきそうだな。まぁ副会長はないだろ。たぶん嫌われてるし。)
すると人影が見えてきた。副会長の白銀先輩だ。先輩も取り残されていたのかもしれない。
(一番意外な人物だったー!)
「白銀先輩!」
「えっ!あなたも取り残されてたんですか?」
「先輩も?」
「違いますよ!私は葵がまだ脱出できていないかもと聞いて探しに来たんです。」
「東金先輩が!?」
(俺を探しにきたとか取り残されてたとかじゃなくて、東金先輩を探しに来たのか。愛だな。というか確かにさっき東金先輩を見かけなかったな。俺たちを逃がしたことでどこかに閉じ込められているのかも。)
「ではあなたは私が来た道から脱出してください。私はそこから入ってきたので。」
「え?いやいや俺も一緒に東金先輩を探しますよ!」
「あなたが怪我をしたら葵が心配するじゃないですか。……あなたは葵に気に入られてるようですし。」
(うわぁ。まだそこに嫉妬してたんだ。)
「それを言ったら白銀先輩が怪我をしても心配すると思いますけど。」
「……どうでしょうね。ですが本当にあなたは早く脱出してくださいね。」
「な!どうして!」
「……一応これでも先輩なのでね。後輩を助けるのは当然ですよ。」
「そう言われてしまうと……わかりました。」
このまま押し問答をしていても、埒があかないと思ったため諦めて出口に向かおうとした。……だが話している間に通路が塞がれてしまったようで、先輩が来た道へと行けなくなっていた。
「すみません。通れなくなりました。」
「なっ!しょうがない……一緒に行きますよ。」
「はい!」
2人で東金先輩を探しに走り出した。
・
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しばらく建物内を捜索していると、急に先輩が立ち止まった。
「え?どうかしたんですか?」
「いえ……ただなんとなくこちらに進んだ方がいい気がして。」
「上に向かう階段の方ってことですか?俺たちが閉じこめられてたのが地下だったので下に行った方が確率が高いんじゃないですかね?」
「……そうですよね。」
「……いえやっぱり上に行きましょうか!俺、そういう勘とか信じる方なんで。」
「本当になんとなくなんですけどね。」
白銀先輩の勘を信じた方が良い気がして、上の階へと向かった。
上の階に到着し、廊下を突き進んでいると1つだけ扉が閉まっている部屋を発見した。……よく見るとその鍵穴に見覚えがある。
「ここ怪しくないですか!?」
「えぇ。これほどの衝撃で開いていない扉はここだけでしたもんね。ですが鍵がかかっているみたいですね。……蹴り破れるでしょうか。」
「ちょっと蹴りやぶるのは待ってください!たぶんここの鍵持ってます。」
「え!?」
ポケットから赤い装飾がついた鍵を取り出した。……やはりこの鍵穴と合致するようだ。鍵をさして扉を開けた。
中を見ると東金先輩が倒れているのが見えた。
(白銀先輩の勘が当たったんだな。やっぱり運命の赤い糸的なものがあるのかもしれない。東金先輩のポケットにあの夏祭りの赤い紐みたいなの見えてるしな。)
「せんぱ……」
「葵!」
東金先輩の名前を呼ぼうと思ったが、先に白銀先輩が飛び出していった。急いで俺もあとに続き、東金先輩に声をかける。
少し間があいた後、ゆっくりと東金先輩が目をあけた。どうやら軽く意識を失っていただけのようだ。
「……藤岡くん?それに……文也くん?」
「葵!見つかって良かった。」
「本当に!ここは危ないので早く脱出しましょう!」
「え?どういう?」
「爆弾が爆発しまくってて、崩壊とか火事の危険があるんです!」
「なるほど……。でも私は……」
「きっと敵ですからとか言うつもりなんでしょうけど、もう悪いやつらは全員捕まりますから大丈夫です!先輩はもう自由です!」
「!」
「それにあなた方はちゃんと想いを伝え合ってください!勝手にヤキモチに巻き込まれるのは迷惑です。特に白銀先輩!」
「「え!?」」
思わず2人の恋路のことについて言及すると、2人は同時に顔を赤く染めた。もう障害はなくなったんだし、堂々とバカップルになればいいと思う。
とりあえず3人で出口を探し出すことにした。
・
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・
下の階へと下りて、出口へ向かって走る。この建物の間取りを東金先輩がよく知っていたため、まっすぐ出口に向かうことができた。窓から逃げることも考えたが、廊下には窓がなく、どの部屋に爆弾があるかわからないため迂闊に入ることもできなくて諦めた。
「このまま右に曲がれば出口が見えるはずです!」
「……あっ!見えた!」
「このまま走りきりましょう!」
「って!あそこに爆弾!」
「な!とりあえず近くの部屋に入りましょう!」
もうすぐ出口というところで崩壊によって剥き出しになった爆弾を発見したため、一か八かで近くの部屋へと飛び込んだ。白銀先輩が扉を閉めたところで、廊下の方から爆発音と天井が崩壊するような音が聞こえた。
「……なんとか助かりましたね。ここに爆弾がなくて良かったです。文也くんよく扉を閉めてくれましたね。」
「いやそれほどでも……」
2人がイチャイチャと会話をしている隙に、扉を確かめる。向こう側にものがあるようで開かなくなってしまった。たぶんさっきの爆発で壁か天井が崩れてしまったのだろう。
窓から逃げようかと視線を向けたが……鉄格子があるのが見える。あの一番最初に閉じこめられた部屋と似た作りの部屋のようだった。
「これ……窓から出られなくないですか?」
「本当だ。……どうしましょうか。」
「ここにいても建物の崩壊に巻き込まれるのは時間の問題ですね。」
3人で頭を悩ませていると、窓の向こうに人影が見えた。
その人影はすばやく鉄格子のネジを外し、窓を開けた。そしてその人物が部屋に顔を覗かせた。
「幸輝!迎えにきたよ!」
「雫!」
顔を覗かせた人物は雫だった。といっても変装の瑞希の姿だが。思わず本名で呼んでしまった。俺が雫を助けに来たはずだったのに、最後はまた雫に助けられてしまった。
雫が片手に持っているスマホにはあのイルカのキーホルダーが揺れていた。もちろん俺も肌身離さず持ち歩いている。これもある種の運命の赤い糸なのかもしれない。
結局、俺はまだまだ彼女のカッコよさに敵わないようだ。
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