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三章
【プログラム-5】
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走る車の中ではオカマ達が涙を流していた。
「そんなことが二人にあったの……グスッ」
「本当に感動するわぁ……グスッ」
「まぁ、とりあえず修一が変わった理由はわからないけどな。でも変われる出来事があって修一は変わった。そして、この前の出来事で修一は前の自分に戻った。原因はわかんねぇけどよ」
「そういえば修一さんが言ってたわね。前の自分に戻ったって」
「それじゃ今の修一ちゃんは前の修一ちゃんてこと?」
「だろうな」
「でも、前の自分に戻るってなにかおかしいわ」
「戻り方が変よぉ。特別な理由があるように思えるわぁ」
「そうだろうな。その理由が前の自分に戻ったことに関係してるんだろうよ。だけど、いくら考えてもわからねぇ」
そう言って村野はアクセルを強く踏み、車は夕焼けの空の照らす道を走っていった。
幸草町にある図書館に修一は来ていた。建物は二階建てで一階は専門書や小説など、二階は主に児童向けの本が並んでいる。
修一は一階でウロウロしながら今日借りる本を探していた。
(なにを読もうかな)
適当に手に取りページをパラパラとめくり気に入った本を五冊選んだ。
(こんなものかな)
修一はカウンターに行き本を職員に渡した。
本を渡された職員はなにもしなかった。職員は黙って修一を見ている。
「あの……」
修一は言った。
「いえ、会員カードはお持ちですか?」
それを聞いて修一はハッとする。
「ああ、すいません」
修一は財布から図書館利用の会員カードを取り出して渡した。
「どうしたんですか? なにか元気が無いようですけど」
職員は心配そうな顔をしながら修一に言った。
「そうですか?」
「はい。失礼かもしれないですけど、また昔の頃の白井さんに戻ったような」
「そうですか……」
修一は素っ気なく言葉を返し、ヤレヤレと思った。ここ数日でみんなから聞かれているからだ。
修一の前にいる図書館の職員は「望野光希」という男だ。
二十代半ばの好青年で言葉使いが丁寧だ。修一とは図書館の館内で軽く話すくらいだが、図書館通いの長い修一には顔馴染みの人間でお互いに名前を知っている。
だが、それ以上のことは知らない。
「望野さんは元気ですか?」
「ええ、元気ですよ」
「羨ましいですね……」
それだけ言うと修一は本をバックに入れて図書館を出た。
家に着いた修一は二階の階段を上がる。その時に母親の声がした。
「修ちゃんお帰り。ご飯どうする? 用意は出来てるのよ。スグに食べるかしら?」
「うん……」
修一は部屋にカバンや持ち物を置いてから居間に向かった。
父親は仕事からはまだ帰っておらず、母親と二人で食事をとった。
食事中の会話は昔と同じく返事一つで終わるだけだった。修一はご飯を食べ終わると自分の部屋に行き、カバンから借りてきた本を取り出し読書に入り本の世界に浸った。
(はあ)
本を見ながらもため息を吐く。
(前はもっと読書を楽しめたのにな)
そう頭の中で呟いた。
それから三冊の本を一気に読み終え、修一はベッドに仰向けになった。天井を眺め、ただボーッとしながら時間の経過に乗っかる。
目を閉じ、まどろみかける中で修一は思った。
(変わりたいな……)
そして眠りの世界にとけていった。
その日の深夜。福原市の桑野町にあるアパートの一室からキーボードをカタカタと叩く音が聞こえる。
パソコンの前でシンドラーがなにやら考え込みながら画面を見てキーボードを叩いていた。
(彼の様子が何処かおかしかった。まるで昔の頃に戻ったように)
シンドラーは自分が修一に送ったアドレスを当然知っている。修一にスマホでメール送ってみたが、「送信エラー」になった。
(まさか……)
不安に駆られたシンドラーはキーボードを素早く叩き、スマホの電話会社のコンピューターにアクセスしハッキングを仕掛け侵入した。
(どこだったか)
シンドラーは前回そのコンピューターに侵入した時に残したバックドアから入り、修一の情報を探した。
(順調だ)
スグに修一の個人情報の載っているデータに辿り着いた。
載っている修一のスマホの番号を見てから、自分のスマホを通信ケーブルを使いパソコンに接続し、スマホで「SMS」でのメールを送った。
その時に発する電波を回線に利用してパソコンから修一のスマホにハッキングする。
シンドラーの表情が曇った。
(やはりか)
修一のスマホのデータには自分が送ったアドレスが無かった。
(やられたな。パイストス社に)
シンドラーはスグに理解した。パイストス社がどうやって修一を見つけ出したのかを。
(探知機かなにかを使い居場所を突き止めたな。プログラムを開発したパイストス社なら探知機で電波をキャッチし、発信元を見つけるのはわけはない)
シンドラーはそこで唇を噛んだ。
(恐らくパイストス社は既にハッキングされていたことに気付いているだろうな)
シンドラーはハッキングを終えて深く考え込んでからディスクをパソコンに入れ、『パンドラ』のプログラムを開いた。
(新たな手を打つか)
指を動かし素早くキーボードを叩き始めた。
次の日、目を覚ました修一は今日の朝も起きたら最初に始める行動をとった。スマホを開いたらメールが一件来ていた。村野やオカマ達からでもなく、そのうえ送信者も不明だった。
そして「SMS」でメールが来ている。修一の頭によぎったのは「まさか」の言葉だった。
毎日には必ずなにかしらの変化がある。それは気付かないような些細な変化でも。
そして、この大きな変化はまた修一を変えた。
工事現場で親方が声を上げる。
「オーイ、村野! そこの足場板を番線で縛っとけ!」
「はい! 親方、わかりました!」
威勢の良い声が辺りに響いた。ここは歩道橋の工事現場で、塗装工が歩道橋のペンキ塗りをするための足場を鳶職達が作っていた。
数人の鳶職達が鉄管をジョイントと接続し、クランプで固定して組み立てていく。
村野は親方の指示で番線で足場板と鉄管とを縛って固定していた。足場板の隙間に番線を通し、鉄管にくくり、緩みが無いようにしっかり縛っていく。
他の足場板も固定し終わり、村野は窮屈な作業場から地面に降りた。
「親方、全てやり終わりました」
村野はタオルで額の汗を拭い言った。
「おう、それじゃ飯にするぞ。みんなも休憩だ!」
親方の言葉を聞き、職人達はヘルメットを脱ぎ、腰に巻いた作業道具などを通行人の邪魔にならない場所に置き、それぞれ自由に行動を始めた。
村野は昼飯を食べるため近くにあるラーメン屋に向かう。
職場のみんなとは仲は良かったが、この日は一人で昼飯を食べることにした。
ラーメン屋に着いて入り口にあるのれんをくぐり、カウンター席に座り早速メニュー表を手に取り品を選ぶ。
「担々麺を一つとチャーハンを大盛りで」
スグにメニューを選び注文した。
「へい、わかりました!」
店員は威勢の良い返事をしてラーメンを作り始めた。
村野はラーメンが出来上がるまでスマホを見て時間を潰そうと胸ポケットから取り出し開いた。そしたらメールが来ていた。
(おっ、修一からじゃねぇか! あんまメール寄越さないから珍しいな)
メールを見て村野はニヤリと笑みを浮かべた。
メールを見てる間にラーメンは出来上がり、村野はケータイを閉じ昼飯を食べ始めた。
「キーンコーンカーンコーン」と、学校内に昼休みのチャイムが鳴り響いた。チャイムと同時に生徒達は筆記用具と教科書をしまった。
ガヤガヤと教室から声が聞こえ始める。
ここは福原市にある村野がかつて通っていた高校だ。その校内の二階にある二年生の教室からオカマ達の声が聞こえる。
「紅ちゃん、お弁当食べましょ」
「そうねぇ、お腹ペコペコよぉ」
オカマ達はカバンから弁当を取り出しフタを開けた。
「あらぁ、蒼ちゃん今日のオカズはフライドポテトとポテトサラダとマッシュポテトで私達の大好物よ」
紅太は嬉しそうに言った。
「お母さんは流石ね! テンション上がるわ!」
蒼太も嬉しそうに弁当を見て言った。オカマ達は箸を取り出し食べ始めた。
「ああ、美味しいわ」
「本当ぉ。最高ねぇ」
オカマ達は幸せな表情を浮かべながら食べ続ける。その時にオカマ達のスマホがほぼ同時に鳴り出した。
「あら、メールかしら?」
そう言って蒼太はスマホをカバンから取り出した。
「誰かしらぁ? 村野ちゃんからかしらぁ?」
紅太もスマホを取り出し言った。
「あら、修一さんからじゃない」
「この前、アドレスを交換してから修一ちゃんからのメールって初めてよぉ」
そう言ってからオカマ達はメールを見て同時に微笑んだ。
「そんなことが二人にあったの……グスッ」
「本当に感動するわぁ……グスッ」
「まぁ、とりあえず修一が変わった理由はわからないけどな。でも変われる出来事があって修一は変わった。そして、この前の出来事で修一は前の自分に戻った。原因はわかんねぇけどよ」
「そういえば修一さんが言ってたわね。前の自分に戻ったって」
「それじゃ今の修一ちゃんは前の修一ちゃんてこと?」
「だろうな」
「でも、前の自分に戻るってなにかおかしいわ」
「戻り方が変よぉ。特別な理由があるように思えるわぁ」
「そうだろうな。その理由が前の自分に戻ったことに関係してるんだろうよ。だけど、いくら考えてもわからねぇ」
そう言って村野はアクセルを強く踏み、車は夕焼けの空の照らす道を走っていった。
幸草町にある図書館に修一は来ていた。建物は二階建てで一階は専門書や小説など、二階は主に児童向けの本が並んでいる。
修一は一階でウロウロしながら今日借りる本を探していた。
(なにを読もうかな)
適当に手に取りページをパラパラとめくり気に入った本を五冊選んだ。
(こんなものかな)
修一はカウンターに行き本を職員に渡した。
本を渡された職員はなにもしなかった。職員は黙って修一を見ている。
「あの……」
修一は言った。
「いえ、会員カードはお持ちですか?」
それを聞いて修一はハッとする。
「ああ、すいません」
修一は財布から図書館利用の会員カードを取り出して渡した。
「どうしたんですか? なにか元気が無いようですけど」
職員は心配そうな顔をしながら修一に言った。
「そうですか?」
「はい。失礼かもしれないですけど、また昔の頃の白井さんに戻ったような」
「そうですか……」
修一は素っ気なく言葉を返し、ヤレヤレと思った。ここ数日でみんなから聞かれているからだ。
修一の前にいる図書館の職員は「望野光希」という男だ。
二十代半ばの好青年で言葉使いが丁寧だ。修一とは図書館の館内で軽く話すくらいだが、図書館通いの長い修一には顔馴染みの人間でお互いに名前を知っている。
だが、それ以上のことは知らない。
「望野さんは元気ですか?」
「ええ、元気ですよ」
「羨ましいですね……」
それだけ言うと修一は本をバックに入れて図書館を出た。
家に着いた修一は二階の階段を上がる。その時に母親の声がした。
「修ちゃんお帰り。ご飯どうする? 用意は出来てるのよ。スグに食べるかしら?」
「うん……」
修一は部屋にカバンや持ち物を置いてから居間に向かった。
父親は仕事からはまだ帰っておらず、母親と二人で食事をとった。
食事中の会話は昔と同じく返事一つで終わるだけだった。修一はご飯を食べ終わると自分の部屋に行き、カバンから借りてきた本を取り出し読書に入り本の世界に浸った。
(はあ)
本を見ながらもため息を吐く。
(前はもっと読書を楽しめたのにな)
そう頭の中で呟いた。
それから三冊の本を一気に読み終え、修一はベッドに仰向けになった。天井を眺め、ただボーッとしながら時間の経過に乗っかる。
目を閉じ、まどろみかける中で修一は思った。
(変わりたいな……)
そして眠りの世界にとけていった。
その日の深夜。福原市の桑野町にあるアパートの一室からキーボードをカタカタと叩く音が聞こえる。
パソコンの前でシンドラーがなにやら考え込みながら画面を見てキーボードを叩いていた。
(彼の様子が何処かおかしかった。まるで昔の頃に戻ったように)
シンドラーは自分が修一に送ったアドレスを当然知っている。修一にスマホでメール送ってみたが、「送信エラー」になった。
(まさか……)
不安に駆られたシンドラーはキーボードを素早く叩き、スマホの電話会社のコンピューターにアクセスしハッキングを仕掛け侵入した。
(どこだったか)
シンドラーは前回そのコンピューターに侵入した時に残したバックドアから入り、修一の情報を探した。
(順調だ)
スグに修一の個人情報の載っているデータに辿り着いた。
載っている修一のスマホの番号を見てから、自分のスマホを通信ケーブルを使いパソコンに接続し、スマホで「SMS」でのメールを送った。
その時に発する電波を回線に利用してパソコンから修一のスマホにハッキングする。
シンドラーの表情が曇った。
(やはりか)
修一のスマホのデータには自分が送ったアドレスが無かった。
(やられたな。パイストス社に)
シンドラーはスグに理解した。パイストス社がどうやって修一を見つけ出したのかを。
(探知機かなにかを使い居場所を突き止めたな。プログラムを開発したパイストス社なら探知機で電波をキャッチし、発信元を見つけるのはわけはない)
シンドラーはそこで唇を噛んだ。
(恐らくパイストス社は既にハッキングされていたことに気付いているだろうな)
シンドラーはハッキングを終えて深く考え込んでからディスクをパソコンに入れ、『パンドラ』のプログラムを開いた。
(新たな手を打つか)
指を動かし素早くキーボードを叩き始めた。
次の日、目を覚ました修一は今日の朝も起きたら最初に始める行動をとった。スマホを開いたらメールが一件来ていた。村野やオカマ達からでもなく、そのうえ送信者も不明だった。
そして「SMS」でメールが来ている。修一の頭によぎったのは「まさか」の言葉だった。
毎日には必ずなにかしらの変化がある。それは気付かないような些細な変化でも。
そして、この大きな変化はまた修一を変えた。
工事現場で親方が声を上げる。
「オーイ、村野! そこの足場板を番線で縛っとけ!」
「はい! 親方、わかりました!」
威勢の良い声が辺りに響いた。ここは歩道橋の工事現場で、塗装工が歩道橋のペンキ塗りをするための足場を鳶職達が作っていた。
数人の鳶職達が鉄管をジョイントと接続し、クランプで固定して組み立てていく。
村野は親方の指示で番線で足場板と鉄管とを縛って固定していた。足場板の隙間に番線を通し、鉄管にくくり、緩みが無いようにしっかり縛っていく。
他の足場板も固定し終わり、村野は窮屈な作業場から地面に降りた。
「親方、全てやり終わりました」
村野はタオルで額の汗を拭い言った。
「おう、それじゃ飯にするぞ。みんなも休憩だ!」
親方の言葉を聞き、職人達はヘルメットを脱ぎ、腰に巻いた作業道具などを通行人の邪魔にならない場所に置き、それぞれ自由に行動を始めた。
村野は昼飯を食べるため近くにあるラーメン屋に向かう。
職場のみんなとは仲は良かったが、この日は一人で昼飯を食べることにした。
ラーメン屋に着いて入り口にあるのれんをくぐり、カウンター席に座り早速メニュー表を手に取り品を選ぶ。
「担々麺を一つとチャーハンを大盛りで」
スグにメニューを選び注文した。
「へい、わかりました!」
店員は威勢の良い返事をしてラーメンを作り始めた。
村野はラーメンが出来上がるまでスマホを見て時間を潰そうと胸ポケットから取り出し開いた。そしたらメールが来ていた。
(おっ、修一からじゃねぇか! あんまメール寄越さないから珍しいな)
メールを見て村野はニヤリと笑みを浮かべた。
メールを見てる間にラーメンは出来上がり、村野はケータイを閉じ昼飯を食べ始めた。
「キーンコーンカーンコーン」と、学校内に昼休みのチャイムが鳴り響いた。チャイムと同時に生徒達は筆記用具と教科書をしまった。
ガヤガヤと教室から声が聞こえ始める。
ここは福原市にある村野がかつて通っていた高校だ。その校内の二階にある二年生の教室からオカマ達の声が聞こえる。
「紅ちゃん、お弁当食べましょ」
「そうねぇ、お腹ペコペコよぉ」
オカマ達はカバンから弁当を取り出しフタを開けた。
「あらぁ、蒼ちゃん今日のオカズはフライドポテトとポテトサラダとマッシュポテトで私達の大好物よ」
紅太は嬉しそうに言った。
「お母さんは流石ね! テンション上がるわ!」
蒼太も嬉しそうに弁当を見て言った。オカマ達は箸を取り出し食べ始めた。
「ああ、美味しいわ」
「本当ぉ。最高ねぇ」
オカマ達は幸せな表情を浮かべながら食べ続ける。その時にオカマ達のスマホがほぼ同時に鳴り出した。
「あら、メールかしら?」
そう言って蒼太はスマホをカバンから取り出した。
「誰かしらぁ? 村野ちゃんからかしらぁ?」
紅太もスマホを取り出し言った。
「あら、修一さんからじゃない」
「この前、アドレスを交換してから修一ちゃんからのメールって初めてよぉ」
そう言ってからオカマ達はメールを見て同時に微笑んだ。
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どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
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