魔法が使えず無能と呼ばれていた少女の能力【スキル】は実は最強でした

輝月レイヤ

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第一章・第5話

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**「海と、水を裂く少年」**

夏休みも後半に差し掛かっていた。

王都から少し離れた場所に、美しい海岸がある。

透き通る青い海。
白い砂浜。
遠くでカモメが鳴いている。

その浜辺に、三人の少女が立っていた。

「わぁぁ……!」

リナは目を輝かせた。

「海だぁー!」

アルカイドは帽子を押さえながら言う。

「……初めて来ました」

「こんなに広い水面……」

アリュールは腕を組みながら、少し誇らしげに言った。

「当然よ」

「ここは王国でも有名な海岸なんだから」

今回の海行きも、アリュールの提案だった。

「夏といえば海でしょ」

その一言で決まったのだ。

リナは砂浜を駆け出す。

「泳ごう泳ごう!」

「水、すごく綺麗!」

アルカイドも靴を脱ぎながら言う。

「……波の音、落ち着きます」

アリュールはふふんと笑う。

「さあ、私の華麗な泳ぎを見せて――」

その瞬間。

ドォォォォン!!!

巨大な水飛沫が上がった。

「「「!?」」」

三人が振り向く。

海の中央。

何かがとてつもない速度で泳いでいる。

ザァァァァァッ!!!

水面が一直線に裂けていく。

「な、なにあれ!?」

リナが驚く。

アルカイドが目を細めた。

「……人?」

確かに。

よく見ると、それは人影だった。

少年だ。

黒に近い紺色の髪。

鍛えられた体。

そして――

信じられない速さで泳いでいる。

バシャァァァ!!

まるで水中を走っているような速度だった。

リナは思わず言った。

「すごーい!!」

アルカイドも驚いている。

「人間の泳ぐ速度じゃありません……」

だが。

アリュールの顔がピクピクしていた。

「……」

「……は?」

彼女は海を見つめる。

その少年は、浜辺の近くを高速で往復している。

結果――

波が荒れまくっていた。

ザバァァァ!!

リナたちの足元にも波がぶつかる。

アリュールのこめかみに青筋が浮かぶ。

「……あの男」

「海を」

「独占しているつもり?」

炎の魔力が彼女の手に集まり始める。

メラメラ。

空気が熱くなる。

「ア、アリュール?」

リナが慌てる。

アリュールは怒りの目で海を睨んだ。

「ちょうどいいわ」

「少し海を静かにしてもらいましょうか」

アルカイドの顔色が変わる。

「待ってください」

「その魔力量……」

「海が蒸発します」

アリュールは叫ぶ。

「うるさい!」

「私たちが遊ぶ海よ!」

「邪魔するなら燃やすまで!」

炎が膨れ上がる。

「フレ――」

その瞬間。

「アリュール!」

リナが後ろから抱きついた。

「ダメダメ!」

「海なくなっちゃう!」

アルカイドも慌てて腕を掴む。

「落ち着いてください!」

「学院が大問題になります!」

アリュールは暴れる。

「離しなさい!」

「アイツに一発――!」

その時。

ザバァァァァッ!!

海から少年が飛び出した。

水滴を撒き散らしながら砂浜に着地する。

「ふぅー!」

爽やかな笑顔だった。

少年はタオルで髪を拭きながら言う。

「いやー気持ちいいな!」

そして三人に気づいた。

「あれ?」

「人いたんだ」

リナは笑った。

「すごい泳ぎでしたね!」

少年は少し照れた。

「え?そう?」

「まあ水魔法ちょっと使ってるけど」

アルカイドが驚く。

「……水流加速魔法?」

少年は頷く。

「そうそう」

「水を押して進む感じ」

アリュールは腕を組んで睨む。

「……あなた」

「誰?」

少年は笑った。

「俺?」

胸を軽く叩く。

「**レディン・メグレズ**」

その名前に、アルカイドが目を見開く。

「メグレズ家……」

七星貴族の一つ。

王国屈指の水魔法の名家だった。

レディンは気さくに言う。

「君たちは?」

リナが元気に答える。

「リナです!」

「アルカイドです」

「……アリュールよ」

レディンは笑った。

「へー」

「なんか面白そうなメンバーだな」

その言葉に、アリュールがムッとする。

だが――

リナは嬉しそうに言った。

「よかったら一緒に泳ぎませんか?」

レディンは目を輝かせる。

「いいね!」

こうして。

リナたちの前に、新しい人物が現れた。

後に彼もまた――

リナの**大切な仲間**の一人になる。

海の風が静かに吹いていた。 
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