魔法が使えず無能と呼ばれていた少女の能力【スキル】は実は最強でした

輝月レイヤ

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第二章 第9話

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**「影の襲撃、白きヴァルキュリア」**

夜。

聖闇隊の駐屯地は静まり返っていた。

焚き火の火が小さく揺れ、
森の奥からは虫の声が聞こえる。

しかし――

その静寂の中で。

ミシェラは一人、空を見上げていた。

赤い瞳がわずかに細まる。

「……来る」

次の瞬間。

――轟音。

森の奥で爆発が起きた。

警鐘が鳴り響く。

「敵襲ッ!!」

聖闇隊の兵たちが一斉に動き出す。

リナは飛び起きた。

「今の音……!」

ルファールもヘッドホンを外しながら立ち上がる。

「魔力の衝撃波」

「かなり大きい」

外へ出ると、そこにはすでにハヤテがいた。

長刀を肩に担ぎ、森を睨んでいる。

「来やがったな」

リナが聞く。

「ヒルドですか?」

ハヤテは首を振る。

「いや」

「それだけじゃない」

その時だった。

空から巨大な雷の柱が落ちる。

ドォォォォォォン!!

地面が揺れた。

リナは歯を食いしばる。

「この魔力……!」

ルファールが低く呟く。

「間違いない」

「ヴァルキュリア・ヒルド」

そして森の奥からゆっくりと歩いてくる影。

長い白銀の髪。

冷たい瞳。

黒い甲冑。

ヒルドだった。

彼女は笑う。

「逃げたと思ったら」

「ここに隠れていたのね」

ハヤテが前へ出る。

「聖闇隊の駐屯地まで追ってくるとは」

「命知らずだな」

ヒルドは肩をすくめた。

「むしろ逆よ」

そして空を見上げる。

「ここを潰せば」

「かなり面白いことになる」

その瞬間。

闇の中からミシェラが現れる。

「面白いこと?」

ヒルドの目が細くなる。

「……吸血鬼」

ミシェラは微笑む。

「聖闇隊隊長」

「ミシェラよ」

ヒルドは笑う。

「なるほど」

「隊長自らお出迎え」

「光栄だわ」

ミシェラの目が赤く光る。

「残念だけど」

「ここで終わりよ」

空気が凍り付いた。

戦闘開始。

ヒルドが手を振る。

「来なさい」

その瞬間。

周囲から大量の黒衣の魔導士が現れた。

「天魔教会……!」

ルファールが音魔法を展開する。

「音結界展開!」

リナも魔力を練る。

「聖光術式!」

ハヤテは長刀を抜いた。

「斬り捨てる」

戦闘が始まった。

剣と魔法が交差する。

爆発。

斬撃。

悲鳴。

そして――

ヒルドとミシェラがぶつかる。

ドォン!!

衝撃波が森を揺らす。

ヒルドが笑う。

「強いじゃない」

ミシェラは冷静に言う。

「ナハトの母親だから」

ヒルドの目がわずかに細くなる。

「……なるほど」

その時だった。

突然。

空気が変わった。

リナが振り向く。

「……?」

森の奥。

そこから

小さな足音が聞こえる。

コツ

コツ

コツ

そして。

現れたのは――

**幼い少女**だった。

白い髪。

透き通るような肌。

見た目は……完全に幼女。

しかし。

その背後には巨大な魔力。

ルファールが目を見開く。

「……嘘だろ」

ハヤテが低く言う。

「もう一人いるのか」

ヒルドが笑う。

「来たのね」

少女は眠そうな目で言った。

「ヒルド」

「仕事、遅い」

リナの背筋が凍る。

ミシェラが小さく呟く。

「……もう一人のヴァルキュリア」

少女はリナたちを見る。

そして淡々と言った。

「初めまして」

「私は」

少し首を傾げる。

「**ヴァルキュリア・ロスヴァイセ**」

幼い声。

しかし

その魔力は

ヒルドすら上回っていた。

戦場が凍りつく。

ミシェラの瞳が赤く光る。

(最悪ね)

(ヴァルキュリアが二人)

リナは拳を握った。

(でも)

(逃げない)

夜の森で

**ヴァルキュリア二人との戦い**が始まろうとしていた。

――第二章 第10話へ続く。
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