魔法が使えず無能と呼ばれていた少女の能力【スキル】は実は最強でした

輝月レイヤ

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第二章 第31話

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**「静かな墓標」**

王城前の戦いは終わっていた。

ランドグリーズが命を落とした瞬間。

彼女が生み出していた魔兵はすべて消滅した。

まるで霧のように。

静かに。

そして残ったのは――

深い静寂だった。

リナはゆっくりと自分の手を見る。

掌の奥に感じる力。

確かにそこにある。

ランドグリーズの魔力。

そして。

**固有スキル。**

ジークルーネが静かに言った。

「……成功したようだな」

リナは頷く。

「うん」

だが表情は暗い。

ジークルーネは少女の亡骸を見た。

「言った通りだ」

「身体には傷はない」

確かに。

少女の身体は綺麗だった。

魔兵のダメージが残っている様子もない。

まるでただ眠っているようだった。

だが。

ナハトが静かに言った。

「魂が尽きた」

「命までは戻せない」

その言葉に誰も反論しなかった。

ナティエはただ。

少女を抱きしめていた。

涙が止まらなかった。

---

数日後。

王都の郊外。

静かな丘。

そこに。

**一つの墓**が建てられていた。

白い石の墓標。

その前に立つのは――

ナティエ。

彼女の手には花束があった。

ナティエは墓の前にしゃがみ込む。

花を供える。

「……久しぶり」

小さく呟く。

風が静かに吹く。

ナティエは墓を見つめた。

そして。

昔のことを思い出す。

屋敷に忍び込んだ日。

ベッドの上の少女。

初めての会話。

毎日の訪問。

笑い合った時間。

魔法の話。

同じ地属性だったこと。

全部。

昨日のことみたいに思い出せる。

ナティエは少し笑った。

「覚えてる?」

「私が屋敷の壁登って怒られたこと」

「あなたすごく笑ってたよね」

涙がまた溢れる。

ナティエは空を見る。

「でもさ」

「あなた」

「ズルいよ」

声が震える。

「最後まで」

「優しいんだから」

墓石に手を置く。

「……ありがとう」

「親友」

ナティエは静かに立ち上がった。

その背後には。

リナ達の姿もあった。

皆。

何も言わずに墓を見守っていた。

---

その頃。

場所は変わり。

**天魔教会本拠地。**

巨大な円卓の間。

そこには。

ヴァルキュリア達が集まっていた。

空気は険悪だった。

ヒルドが机を叩く。

「失敗だと!?」

怒りの声が響く。

「ジークルーネの抹殺は失敗!」

「しかも!」

「ランドグリーズまで死んだ!」

ロスヴァイセが小さく呟く。

「……最悪」

ヴァルトラウテが腕を組む。

「問題はそこだけではない」

ヘルムヴィーゲが笑いながら言う。

「そうそう」

「**ランドグリーズの固有スキル**」

「それが今」

「誰のものか」

沈黙が落ちた。

ヒルドが低く言う。

「……リナ」

ヴァルキュリアの魔力。

そして。

ランドグリーズの固有スキル。

両方が。

**リナの手に渡った。**

会議室の空気が荒れる。

「放置できない」

「危険すぎる」

「早急に処理すべきだ」

議論が飛び交う。

そして。

一人が言った。

「……で?」

「誰が行く?」

静寂。

ヴァルキュリア達の視線が交差する。

次にリナの前に現れるのは

**誰なのか。**

その決定が。

今まさに下されようとしていた。

――第二章 第32話へ続く。
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