【完結】恋人から試し行動され続けるけど僕の愛は揺らがない。

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同性婚が可能なラディス国

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    ラディス国。カーティス様が10年過ごした国。
    陽気で自由奔放な国民性だと言われ、ビリンガム王国とは違い同性婚が可能な国。
    カーティス様は同性同士でも結婚できる国があることに驚き、それを知ってからは僕を迎えに行くために着々と準備を整えてきたという。

「本当は手紙を送りたかった。けれどラディス国は郵便物の運送業があまり発展していなくてこちらから送るには難しかったんだ」
「僕から送ればよかった…ごめんね」
「いや、理由は何となく分かるから大丈夫。それより、これからのロナの人生のことを考えよう。俺は本気でロナと結婚したい」
「…どうしてそこまで長年離れていた僕のことを?この10年で僕が別人のように変わり果てていたらどうするつもりだったの?」
「そのときはそのときだと思っていた。でもお前なら絶対立派になっていると信じてたし、見た目は想像以上に美しくなっていて…パーティーで再会したとき二度目の一目惚れをしたんだぞ」

    一目惚れしてただなんて初耳だし、僕が美しいだなんて信じられないが、褒められてポポポと頬に熱がたまるのを感じる。
    ウォーレンは僕の内面をよく褒めてくれるしそれも嬉しいが、見た目に関してはあまり言われたことはなかった。仕草や表情をかわいいと言われることはあれど、それも極たまにだ。

「一番不安だったのは、ロナが男から求愛されて嫌悪感を抱かないかってことだった。だが今の話を聞いて問題ないと分かって安心した。確かにお前に恋人がいたのは悔しいし悲しいけど…あんな顔をさせるような恋人なら、そいつじゃなくて俺を好きにさせてみせる」
「ティス…でも君は王子でいつか正妃を娶る立場だろうし、帰ってきたばかりなのにまたラディス国に行くなんて許されるのかどうか…」
「いや、きっと今日の俺を見て俺をラディス国に送り返したい連中は増えたはずだ。王太子の立場を俺に取られるじゃないかと危機感を持ってな。まぁそれが狙いだったんだけど」

    確かにあのスピーチを聞いたら誰だってカーティス様が王太子にふさわしいと思うかもしれない。
    能天気な僕はぽけーっと見ていたが、よくよく考えればカーティス様の存在を邪魔だと思う派閥が暗殺を仕向ける可能性だってなきにしもあらずだ。
    彼にとってはこの国に居続けるよりもラディス国のほうが安心して安全に過ごせるのかもしれない。……そこに僕が着いていくのはまた違う話だが。

「とにかく、ロナが心配するようなことは何もない。お前が幸せになるためには誰とどこに一緒にいるべきなのか、それをこれから時間をかけて俺が教えてやる」
「気持ちは嬉しいけど…僕はウォーレンのことがまだ好きだし」
「あーあー、それは聞きたくない!…分かってる、強制はしないから。ロナの気持ちを俺は大事にしたい。でもずっと苦しい気持ちを抱えたままそいつの隣にいるつもりか?それで本当に幸せなのか?」

    カーティス様の正論に思わず押し黙る。星が瞬く音も聞こえてきそうなほどの静寂に包まれた。

「ま!その答えはまだ出さなくていい。これから時間はあるんだし、また昔みたいに毎日のように会おう」
「毎日はさすがに無理だよ」
「それくらいの気持ちってこと!もう夜も遅くなっちゃったし寮まで送ってく。これから馬車を捕まえるのも面倒だから俺の馬で」
「馬?」
「ラディス国から船に乗って一緒に来たんだぜ、すごいだろ?自慢の相棒なんだ。早くロナにも会わせたい」

    夜の静けさをからっと明るく笑って吹き飛ばす彼に手を取られ、ベンチから立ち上がる。
    寮に王子と行くなんて大丈夫だろうか、と一瞬不安が過った。しかし、どうせウォーレンは飲みに行っていて部屋にいないし、と半ば不貞腐れた気持ちでカーティス様に手を引かれるがまま、足を動かした。

    シッパと呼ばれた茶色い美しい毛並みをした馬を紹介され、僕も挨拶をする。訓練で触れあう馬たちよりも一回り大きく筋肉がしっかりついていることが目に見えて分かった。
    今まで乗ってきたどんな馬よりも大きいため、本来一人で乗れるはずなのに難しく、カーティス様に支えられようやく乗馬できた。

    石を蹴る馬蹄の音がかつかつとして、蘭の宮の静けさを破って騎士団の寮へと向かう。
    背中にカーティス様の高い体温を感じながらラディス国の話や船での出来事など、流れるように紡がれるいろんな話に耳を傾けていた。
    あっという間に寮の門前に着き、別れの言葉を交わして門番の不躾な視線にさらされながら部屋へと向かう。
    部屋に明かりがついていることを僅かに期待していたが、やはり僕たちの部屋の窓は真っ暗で。

    体内を風が吹き抜けるように空虚さが通り、ぶるりと震えたのは身体ではなく心だった。

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