もう要らない。

レラー

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探した。
いつもの学校までの通り道、近くのレストラン、駅、公園。どこにもいなかった。
「どこ行ったの...」
そもそも人自体が辺りを見回しても全くいない。
ニャー
野良猫はいた...
「猫ちゃん、あんた何か知らない?」
知るわけないのにほんの僅かな希望を信じてこんな独り言を言う。
「おい、ちょ待て」
「え!?」
猫が話しかけてきた。物語上でしかあり得ない話と思っていたのに。
手招きしているので側に来ている。
「ワシな、今年で20歳やねん。猫の20歳はな、人間で言うと大体96歳やねん。一応あんたがどういう状況がなんとなく分かってんよ。んで、打開策とまでは言わんがヒントっぽいやつは知ってんのよ。お前96歳の人に聞くんやから、もうちょい言い方あってええやろ。ほな言い直してみぃ」
なんだこの猫....
情報は知りたいから言い直す。
「何かご存知でしょうか?」
「とりあえずな、お前の探してる人は今幽閉されている。そしてな、殴ったり蹴ったりで解決できる問題ちゃうんよ。」
「居場所を知ってるんですか!?」
「居場所は知らん。見つけてくれ。」
「でもどうすれば」
そうすると猫は表情を変えて改めて口を開いた。
「僕と契約して魔h...モガモガ」
「ちょっとその発言されると別の問題出てくるんですよ。」
「契約して魔ホウショウj....モガモガ」
「ダメなんですって」
「ふぅ..まぁ良い。茶番はこれくらいにしておいて、真面目な話をしよう。今その少年はこの世から消え去ろうとしている。」
「死んじゃうの!?」
「いや、存在ごと消されるのだ。そして、最初からいなかったことに、要するに全員の記憶から少年だけの記憶が消されるのだ。」
「それを防ぐのね。」
「無論。この事件..現象..?は20年くらい前にも起きていてだな。まぁ、私以外は全員覚えていないんだが。」
「どうして?」
「この現象の犯人は不明なんだが、どうやら事件が達成または、阻止された場合全員の記憶から現象の記憶が消されるらしい。」
「都合良。」
「ワシは猫故人間とは別の世界線で生きているから覚えている。」
「ともかく
・相手は記憶の操作ができる。
・効くのは人間に対してだけ。
・精神的に攻撃を仕掛けてくる。
ってことね。」
「ただ強靭な精神を持っている場合実力行使に出る可能性が高いから気をつけろ。」
「ところで..なんで私が?」
「救いたくないのか?」
「そういうことじゃないけど..私よりも強い人はいるし、警察が..嗚呼それは違うか。でも私なんかあの子のためになんもやれてないし..私がアイツの1番になれたこともないし..」
「いや、お前が1番アイツと仲良さそうにしてたやん。一年前からずっと見てるぞ。」
「ストーカーかよ..」
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