あの人と。

Haru.

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本編

14 過保護

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 次に意識がはっきりした時は、次の日の朝だった。熱もあらかた下がったようで怠さもほんの少しだけしか残ってなかった。気分はなんだかすごくスッキリしてる。

 ちなみに、昨日ダグに手を繋いでもらって寝てからも何度か起きたには起きたんだよ。ただ、熱であまり意識がはっきりしてなかったってだけで。
 多分リディアかな?お粥みたいなご飯を食べさせてもらったのとか、おでこの濡れタオルを変えてくれたりとか、時々唸る僕の頭を撫でてくれたのとか、覚えてる。本当にリディアかどうかはわからないけど。


 んーっと背伸びをしてると何か布団の上にかかっているのを見つけた。

 上着……? これは確か、ダグが着てたやつだ。
 形も騎士っぽいし、リディアはローブみたいなのだったし。

 そこまで考えて思い出した。


 僕夜にダグが離れようとした時に咄嗟に袖を掴んだんだ……!! 1日に2度もダグを引き留めてるよ僕……自分の部屋に戻ろうとしたんだろうになんて迷惑な……
 多分、僕が袖を掴んだまま寝ちゃって身動きが取れなくなったから上着を置いて行かざるを得なかったんだろうな……まだ肌寒いのに申し訳ないことをした……


 しでかしたことに頭を抱えてうんうん唸ってるとリディアが入ってきた。

「失礼いたします、ユキ様。

ユキ様もしやどこかくるしいのですか?!」


 へ? あ、僕そういえば昨日熱出してるもんね。そんな僕が頭抱えてたらまた体調崩したのかって思うよね。


「ううん、ちがうよ、大丈夫。もう元気だよ!

ただね、これ、ダグのだよね……? 僕が掴んじゃったから置いて行かざるを得なかったんだろうけど、まだ夜は肌寒いしダグ風邪ひいてないかなぁって思って……」

「そういうことでしたか。大丈夫ですよ、ダグラスならそれくらいのことで身体を壊すようなやわな鍛え方はしておりませんし、なんともないでしょう」

「そうかな……?」

「ええ、今日ももうすぐ来ると思いますよ。

それよりも、ユキ様、少々失礼しますよ。
……ふむ、昨日よりもお顔色も良くなりましたし大分お熱は下がったようですがまだ少し熱いですね……本日もこのまま安静にしていましょうね」

「ええっ僕もう元気だよ……!!」

「いいえ、無理をされてまたお熱が出たらどうするのです? 実際まだ微熱が残っておりますし今日1日だけでも安静にしてらしてください」


 そう言われると嫌とは言いにくいよ……


「うぅ、わかったよ……隣の部屋に行くのもダメ……?」

「ご無理をされないとお約束くださるのでしたら、隣のお部屋へ行くのは構いませんよ。

ですが! お部屋の中だからと動き回るのはいけませんよ? お部屋の外へ出るのも明日以降、微熱も完全に下がってからです」

「はぁい……」


 お城の中をもっと見てみたかったからちょっとがっかり。でもまぁ、これからずっといるんだし、ゆっくり見ていけばいいか……


「ユキ様が心配なのですよ。どうか今日だけでもご辛抱下さい。

ああ、そうだ、本日は陛下が様子を見にお昼頃いらっしゃるようですよ」

「ロイが?」

「ええ、昨日ユキ様がお熱を出されたことを大変ご心配されていましたからね。お元気なお姿を見せて差し上げて下さいね」


 リディアがロイに知らせたのかな? そっか、心配かけちゃったのか、申し訳ないなぁ……でも、今日は1日部屋から出れないし会いに来てくれるのは嬉しいなぁ


「そっか、楽しみだなぁ」

「ふふ、すぐにお昼になりますよ。

さて、ユキ様、起き上がれるようでしたらお着替えを済ませてから隣の部屋で朝食にいたしましょう」

「うん、僕お腹空いちゃった」

「お元気になられた証拠ですね、大変よろしゅうございます。

では急いでお着替えを済ませましょうね」


 ちなみに着替えは全てリディアが手伝ってくれる。いや、別に服の構造が難しいわけでもないし手伝ってもらう年齢でもないんだけど、リディアがどうしても譲らなかったんだよね。ほんとは入浴の介助もやりたいくらいなんだって言われたら着替えくらいなら、ってなったんだ。

 着替えの方が全身を隅々まで洗われるよりマシだよ……!!


 リディアに着替えさせてもらった服はフリルのついたブラウスにぴったりとした黒いパンツ、そしてブラウスの上には深緑のベストにうえから羽織る黒いローブのようなもの。
 最初見せられた時は病み上がりにしてはかっちりしているように感じだけど、着てみるとなぜかすごい伸縮性があって肌触りも最高だし着心地がたまらなくいい。


「リディア、この服見た目はカッチリしてるのに随分と動きやすいね?」

「ああ、そちらは成長過程にある子供用にと開発された特殊素材で出来ているのですが、かなり楽に着ていただけるので今のユキ様にピッタリだとご用意させていただいたのですよ」


 ……うん、この世界の人たち、みんな大きいもんね。子供もすぐ大きくなるよね。ストレッチの効いた服じゃないとキツイよね。


 ……でも子供用!!! いやリディアの気遣いはありがたいけど子供用を普通に着れる僕って……
 でも僕の為と思って用意してくれたんだしリディアに文句なんか言えないよ……


「……そっか、うん、ありがとう、すごく楽だよ」

「それはよろしゅうございました!

ではお着替えも済みましたし、朝食にしましょうね」


 ご飯! うぅ、ご飯のこと考えたらもっとお腹空いてきた。
 よし、食べるぞ!!!








 なんて意気込んだものの、勿論こっちの人基準で出された朝食を食べきるなんて到底できるはずがなくて。


「ユキ様もう食べられないのですか?
遠慮なさらずとも良いのですよ??
もしややはりまだ体調が?!!」

「いや、リディア、落ち着いて、僕この量で普通だから……」

「本当ですか? 無理をされているのでは……」

「大丈夫だって……! これからもこれくらいしか食べれないからこんなに多い量用意しなくていいから!!」


 なんて会話をしたのはお約束ってやつなのかな……
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