15 / 396
本編
14 過保護
しおりを挟む
次に意識がはっきりした時は、次の日の朝だった。熱もあらかた下がったようで怠さもほんの少しだけしか残ってなかった。気分はなんだかすごくスッキリしてる。
ちなみに、昨日ダグに手を繋いでもらって寝てからも何度か起きたには起きたんだよ。ただ、熱であまり意識がはっきりしてなかったってだけで。
多分リディアかな?お粥みたいなご飯を食べさせてもらったのとか、おでこの濡れタオルを変えてくれたりとか、時々唸る僕の頭を撫でてくれたのとか、覚えてる。本当にリディアかどうかはわからないけど。
んーっと背伸びをしてると何か布団の上にかかっているのを見つけた。
上着……? これは確か、ダグが着てたやつだ。
形も騎士っぽいし、リディアはローブみたいなのだったし。
そこまで考えて思い出した。
僕夜にダグが離れようとした時に咄嗟に袖を掴んだんだ……!! 1日に2度もダグを引き留めてるよ僕……自分の部屋に戻ろうとしたんだろうになんて迷惑な……
多分、僕が袖を掴んだまま寝ちゃって身動きが取れなくなったから上着を置いて行かざるを得なかったんだろうな……まだ肌寒いのに申し訳ないことをした……
しでかしたことに頭を抱えてうんうん唸ってるとリディアが入ってきた。
「失礼いたします、ユキ様。
ユキ様もしやどこかくるしいのですか?!」
へ? あ、僕そういえば昨日熱出してるもんね。そんな僕が頭抱えてたらまた体調崩したのかって思うよね。
「ううん、ちがうよ、大丈夫。もう元気だよ!
ただね、これ、ダグのだよね……? 僕が掴んじゃったから置いて行かざるを得なかったんだろうけど、まだ夜は肌寒いしダグ風邪ひいてないかなぁって思って……」
「そういうことでしたか。大丈夫ですよ、ダグラスならそれくらいのことで身体を壊すようなやわな鍛え方はしておりませんし、なんともないでしょう」
「そうかな……?」
「ええ、今日ももうすぐ来ると思いますよ。
それよりも、ユキ様、少々失礼しますよ。
……ふむ、昨日よりもお顔色も良くなりましたし大分お熱は下がったようですがまだ少し熱いですね……本日もこのまま安静にしていましょうね」
「ええっ僕もう元気だよ……!!」
「いいえ、無理をされてまたお熱が出たらどうするのです? 実際まだ微熱が残っておりますし今日1日だけでも安静にしてらしてください」
そう言われると嫌とは言いにくいよ……
「うぅ、わかったよ……隣の部屋に行くのもダメ……?」
「ご無理をされないとお約束くださるのでしたら、隣のお部屋へ行くのは構いませんよ。
ですが! お部屋の中だからと動き回るのはいけませんよ? お部屋の外へ出るのも明日以降、微熱も完全に下がってからです」
「はぁい……」
お城の中をもっと見てみたかったからちょっとがっかり。でもまぁ、これからずっといるんだし、ゆっくり見ていけばいいか……
「ユキ様が心配なのですよ。どうか今日だけでもご辛抱下さい。
ああ、そうだ、本日は陛下が様子を見にお昼頃いらっしゃるようですよ」
「ロイが?」
「ええ、昨日ユキ様がお熱を出されたことを大変ご心配されていましたからね。お元気なお姿を見せて差し上げて下さいね」
リディアがロイに知らせたのかな? そっか、心配かけちゃったのか、申し訳ないなぁ……でも、今日は1日部屋から出れないし会いに来てくれるのは嬉しいなぁ
「そっか、楽しみだなぁ」
「ふふ、すぐにお昼になりますよ。
さて、ユキ様、起き上がれるようでしたらお着替えを済ませてから隣の部屋で朝食にいたしましょう」
「うん、僕お腹空いちゃった」
「お元気になられた証拠ですね、大変よろしゅうございます。
では急いでお着替えを済ませましょうね」
ちなみに着替えは全てリディアが手伝ってくれる。いや、別に服の構造が難しいわけでもないし手伝ってもらう年齢でもないんだけど、リディアがどうしても譲らなかったんだよね。ほんとは入浴の介助もやりたいくらいなんだって言われたら着替えくらいなら、ってなったんだ。
着替えの方が全身を隅々まで洗われるよりマシだよ……!!
リディアに着替えさせてもらった服はフリルのついたブラウスにぴったりとした黒いパンツ、そしてブラウスの上には深緑のベストにうえから羽織る黒いローブのようなもの。
最初見せられた時は病み上がりにしてはかっちりしているように感じだけど、着てみるとなぜかすごい伸縮性があって肌触りも最高だし着心地がたまらなくいい。
「リディア、この服見た目はカッチリしてるのに随分と動きやすいね?」
「ああ、そちらは成長過程にある子供用にと開発された特殊素材で出来ているのですが、かなり楽に着ていただけるので今のユキ様にピッタリだとご用意させていただいたのですよ」
……うん、この世界の人たち、みんな大きいもんね。子供もすぐ大きくなるよね。ストレッチの効いた服じゃないとキツイよね。
……でも子供用!!! いやリディアの気遣いはありがたいけど子供用を普通に着れる僕って……
でも僕の為と思って用意してくれたんだしリディアに文句なんか言えないよ……
「……そっか、うん、ありがとう、すごく楽だよ」
「それはよろしゅうございました!
ではお着替えも済みましたし、朝食にしましょうね」
ご飯! うぅ、ご飯のこと考えたらもっとお腹空いてきた。
よし、食べるぞ!!!
なんて意気込んだものの、勿論こっちの人基準で出された朝食を食べきるなんて到底できるはずがなくて。
「ユキ様もう食べられないのですか?
遠慮なさらずとも良いのですよ??
もしややはりまだ体調が?!!」
「いや、リディア、落ち着いて、僕この量で普通だから……」
「本当ですか? 無理をされているのでは……」
「大丈夫だって……! これからもこれくらいしか食べれないからこんなに多い量用意しなくていいから!!」
なんて会話をしたのはお約束ってやつなのかな……
ちなみに、昨日ダグに手を繋いでもらって寝てからも何度か起きたには起きたんだよ。ただ、熱であまり意識がはっきりしてなかったってだけで。
多分リディアかな?お粥みたいなご飯を食べさせてもらったのとか、おでこの濡れタオルを変えてくれたりとか、時々唸る僕の頭を撫でてくれたのとか、覚えてる。本当にリディアかどうかはわからないけど。
んーっと背伸びをしてると何か布団の上にかかっているのを見つけた。
上着……? これは確か、ダグが着てたやつだ。
形も騎士っぽいし、リディアはローブみたいなのだったし。
そこまで考えて思い出した。
僕夜にダグが離れようとした時に咄嗟に袖を掴んだんだ……!! 1日に2度もダグを引き留めてるよ僕……自分の部屋に戻ろうとしたんだろうになんて迷惑な……
多分、僕が袖を掴んだまま寝ちゃって身動きが取れなくなったから上着を置いて行かざるを得なかったんだろうな……まだ肌寒いのに申し訳ないことをした……
しでかしたことに頭を抱えてうんうん唸ってるとリディアが入ってきた。
「失礼いたします、ユキ様。
ユキ様もしやどこかくるしいのですか?!」
へ? あ、僕そういえば昨日熱出してるもんね。そんな僕が頭抱えてたらまた体調崩したのかって思うよね。
「ううん、ちがうよ、大丈夫。もう元気だよ!
ただね、これ、ダグのだよね……? 僕が掴んじゃったから置いて行かざるを得なかったんだろうけど、まだ夜は肌寒いしダグ風邪ひいてないかなぁって思って……」
「そういうことでしたか。大丈夫ですよ、ダグラスならそれくらいのことで身体を壊すようなやわな鍛え方はしておりませんし、なんともないでしょう」
「そうかな……?」
「ええ、今日ももうすぐ来ると思いますよ。
それよりも、ユキ様、少々失礼しますよ。
……ふむ、昨日よりもお顔色も良くなりましたし大分お熱は下がったようですがまだ少し熱いですね……本日もこのまま安静にしていましょうね」
「ええっ僕もう元気だよ……!!」
「いいえ、無理をされてまたお熱が出たらどうするのです? 実際まだ微熱が残っておりますし今日1日だけでも安静にしてらしてください」
そう言われると嫌とは言いにくいよ……
「うぅ、わかったよ……隣の部屋に行くのもダメ……?」
「ご無理をされないとお約束くださるのでしたら、隣のお部屋へ行くのは構いませんよ。
ですが! お部屋の中だからと動き回るのはいけませんよ? お部屋の外へ出るのも明日以降、微熱も完全に下がってからです」
「はぁい……」
お城の中をもっと見てみたかったからちょっとがっかり。でもまぁ、これからずっといるんだし、ゆっくり見ていけばいいか……
「ユキ様が心配なのですよ。どうか今日だけでもご辛抱下さい。
ああ、そうだ、本日は陛下が様子を見にお昼頃いらっしゃるようですよ」
「ロイが?」
「ええ、昨日ユキ様がお熱を出されたことを大変ご心配されていましたからね。お元気なお姿を見せて差し上げて下さいね」
リディアがロイに知らせたのかな? そっか、心配かけちゃったのか、申し訳ないなぁ……でも、今日は1日部屋から出れないし会いに来てくれるのは嬉しいなぁ
「そっか、楽しみだなぁ」
「ふふ、すぐにお昼になりますよ。
さて、ユキ様、起き上がれるようでしたらお着替えを済ませてから隣の部屋で朝食にいたしましょう」
「うん、僕お腹空いちゃった」
「お元気になられた証拠ですね、大変よろしゅうございます。
では急いでお着替えを済ませましょうね」
ちなみに着替えは全てリディアが手伝ってくれる。いや、別に服の構造が難しいわけでもないし手伝ってもらう年齢でもないんだけど、リディアがどうしても譲らなかったんだよね。ほんとは入浴の介助もやりたいくらいなんだって言われたら着替えくらいなら、ってなったんだ。
着替えの方が全身を隅々まで洗われるよりマシだよ……!!
リディアに着替えさせてもらった服はフリルのついたブラウスにぴったりとした黒いパンツ、そしてブラウスの上には深緑のベストにうえから羽織る黒いローブのようなもの。
最初見せられた時は病み上がりにしてはかっちりしているように感じだけど、着てみるとなぜかすごい伸縮性があって肌触りも最高だし着心地がたまらなくいい。
「リディア、この服見た目はカッチリしてるのに随分と動きやすいね?」
「ああ、そちらは成長過程にある子供用にと開発された特殊素材で出来ているのですが、かなり楽に着ていただけるので今のユキ様にピッタリだとご用意させていただいたのですよ」
……うん、この世界の人たち、みんな大きいもんね。子供もすぐ大きくなるよね。ストレッチの効いた服じゃないとキツイよね。
……でも子供用!!! いやリディアの気遣いはありがたいけど子供用を普通に着れる僕って……
でも僕の為と思って用意してくれたんだしリディアに文句なんか言えないよ……
「……そっか、うん、ありがとう、すごく楽だよ」
「それはよろしゅうございました!
ではお着替えも済みましたし、朝食にしましょうね」
ご飯! うぅ、ご飯のこと考えたらもっとお腹空いてきた。
よし、食べるぞ!!!
なんて意気込んだものの、勿論こっちの人基準で出された朝食を食べきるなんて到底できるはずがなくて。
「ユキ様もう食べられないのですか?
遠慮なさらずとも良いのですよ??
もしややはりまだ体調が?!!」
「いや、リディア、落ち着いて、僕この量で普通だから……」
「本当ですか? 無理をされているのでは……」
「大丈夫だって……! これからもこれくらいしか食べれないからこんなに多い量用意しなくていいから!!」
なんて会話をしたのはお約束ってやつなのかな……
39
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
白銀の城の俺と僕
片海 鏡
BL
絶海の孤島。水の医神エンディリアムを祀る医療神殿ルエンカーナ。島全体が白銀の建物の集合体《神殿》によって形作られ、彼らの高度かつ不可思議な医療技術による治療を願う者達が日々海を渡ってやって来る。白銀の髪と紺色の目を持って生まれた子供は聖徒として神殿に召し上げられる。オメガの青年エンティーは不遇を受けながらも懸命に神殿で働いていた。ある出来事をきっかけに島を統治する皇族のαの青年シャングアと共に日々を過ごし始める。 *独自の設定ありのオメガバースです。恋愛ありきのエンティーとシャングアの成長物語です。下の話(セクハラ的なもの)は話しますが、性行為の様なものは一切ありません。マイペースな更新です。*
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
オメガ転生。
桜
BL
残業三昧でヘトヘトになりながらの帰宅途中。乗り合わせたバスがまさかのトンネル内の火災事故に遭ってしまう。
そして…………
気がつけば、男児の姿に…
双子の妹は、まさかの悪役令嬢?それって一家破滅フラグだよね!
破滅回避の奮闘劇の幕開けだ!!
溺愛極道と逃げたがりのウサギ
イワキヒロチカ
BL
完全会員制クラブでキャストとして働く湊には、忘れられない人がいた。
想い合いながら、…想っているからこそ逃げ出すしかなかった初恋の相手が。
悲しい別れから五年経ち、少しずつ悲しみも癒えてきていたある日、オーナーが客人としてクラブに連れてきた男はまさかの初恋の相手、松平竜次郎その人で……。
※本編完結済。アフター&サイドストーリー更新中。
二人のその後の話は【極道とウサギの甘いその後+ナンバリング】、サイドストーリー的なものは【タイトル(メインになるキャラ)】で表記しています。
欲にまみれた楽しい冒険者生活
小狸日
BL
大量の魔獣によって国が襲われていた。
最後の手段として行った召喚の儀式。
儀式に巻き込まれ、別世界に迷い込んだ拓。
剣と魔法の世界で、魔法が使える様になった拓は冒険者となり、
鍛えられた体、体、身体の逞しい漢達の中で欲望まみれて生きていく。
マッチョ、ガチムチな男の絡みが多く出て来る予定です。
苦手な方はご注意ください。
フェイク・ハニー ~御曹司の擬似恋人になったのは、お金のため! だのに僕、本気になってる……!?~
大波小波
BL
夏目 都(なつめ みやこ)は、大学二年生の苦労人オメガだ。
弟たちを養うために、学生相手に便利屋を始めた。
次第にエスカレートして、ついには体を売ることも辞さなくなった、都。
そんな彼の元へ現れたのは、富豪の御曹司アルファ・神谷 雄翔(かみや ゆうと)だ。
雄翔は都に、自分専属の便利屋になって、疑似恋人を演じて欲しいと願い出た……!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる