あの人と。

Haru.

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本編

53 変わり身

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 ぐぅうぅぅううぅうううう



 ……カオスな空間を打破したのは僕のお腹でした。

 やめて、見ないで。さっきまで爆笑してたアルバスさんまでそんなに静かになって……うなだれてたアル達までこっち見てさぁ……!!

 うぅ、異様に静かになった部屋に僕は一度飛んでった羞恥がぶり返しましたよ。死にたい。


「……少し早いですがお昼にいたしましょう」

「……そうだな。さて、皆で食事を摂れる部屋へ移動しようか。ここはちと食事には向かぬからな」

 あ、ここにいる全員で食べるんですね……できれば離脱したかったなぁ……恥ずかしい……

「さぁ、ユキ様も参りましょう」

「……うん」

 こんな時僕の身長がみんなより低くて良かったって思うよ……俯きさえすれば赤くなった顔を見られないですむからね!

 



 ぞろぞろと移動し、着いた先にはラスもいた。羞恥はなんとか押し込めた。無理やりだけど。

「あれ? 父上に母上に……随分と大勢ですね? どうしてこちらに?」

「おや、お前もここで昼食か? よし、ちょうどいいからお前も一緒に食事にしよう」

「はぁ、別にいいですけ、ど……ユキ!!」

 わっ、ラスが飛びついてきた。
 ……視界の端に映ってるダグがピクリって一瞬動いたのは気のせいだよ、きっと。

 ……てか気付いてなかったの? 小さいから? ねぇ、小さいからなの?

「もうラス、飛びつかないでよ。びっくりしたよ」

「ごめんごめん。久しぶりに会えたから嬉しくて! ね、俺と結婚してくれる気になった?」


 おおっと、今まさに空気がシーンってなったよ。


「あー、殿下ドンマイっす」

「……だな。ま、こいつが行動に移さなかったのが悪い」

「くっくっく……まぁそう言ってやるなよ」

「え? え? なに、どういうこと?」

 全く意味がわからないといった様子でキョロキョロと見渡すラス。

 ……うーん、これ言うべき、だよねぇ。

 アルバスさんとレイとローレンツさんは明らかに楽しんでるなぁ……笑い事じゃないんですけど……

 でも後回しにすると余計言いにくくなるし、ラスにも悪いよね……好意を示してくれるのは有難いけど、僕はそういう意味でラスのこと好きなわけじゃないし、結婚する気もないのに延ばし延ばしにしたら期待持たせちゃうよね。


 ここはしっかりお断りしておきましょう。

 ……一度断ってはいるんだけどね。前は諦めないとか言ってたけどこれで諦めてもらえるかな……?


「ごめんなさい、ラス。好きな人、というか恋人ができたのでラスとは結婚できません」

 本気だって伝えるためにしっかり頭は下げる。

 じっくり10秒は下げてゆっくり頭をあげると唖然とした顔のラス。

「えっ……えぇっ?! だ、だれ?! 相手は誰?!!」

「えぇ、と……」

 ちらりとダグを見ると、小さく頷いてくれた。

「ダグ、です」

「申し訳ありません、殿下。殿下といえどユキ様はお渡しできません」

 わぁ、キュンとしたよ僕。

 僕の斜め後ろにいたダグが僕の真横に来て、ラスに頭を下げたんだよ。
 これって僕のため? それとも独占欲? どっちにしても嬉しいんですが!! たまらなく!!


 あ、まって、ラスがぷるぷるしてる。泣く?泣く?

「お……」

 お……? 俺はまだ諦めない、とか……?






































「おめでとうっっっっっ!!!!!!!!」

「「「「「「「「「えっ」」」」」」」」」

「神子と護衛の禁断の愛!! いいなぁ!! どっちから告白したの?!」

 すっごいグイグイくる! うわぁ、鼻息すっごい荒いし目がキラッキラしてるんだけど!! どういうこと!!

「……そういえばこいつ恋愛小説好きだったな」

「ああ、そういえば……」

「しかも好きなジャンルが身分差だったか……」

「そりゃ護衛と神子なんて大好物のネタだよな」

「え、ちょ、この国恋愛結婚推奨じゃないの?! なんでこんな反応するの?!」

 身分差とか普通にあるんじゃないの?!

「あー、たしかに推奨はしているが、身分の近い者同士の恋愛が一般的だからな……身分差は少数派なのだよ」

 ……なるほど。つまりは一般的に言えば護衛と護衛対象の恋愛は禁断の身分差恋愛になるわけですね。




「で? で? どっちから告白したの??」

 こ、答えないとダメなのか……!!

「うぅ……ぼ、僕から、です……」

「へぇー!! どんなシチュエーションで??」

「うえ?! と、とりあえずお昼食べよ?! 僕お腹すいたなぁ!!!」

 ここは逃げるに限る!!

「そうだね! じゃあお昼食べながらじっくり聞かせてね!」

「……お手柔らかにおねがいシマス……」

 ……逃げれそうにありません。だれか助けて。










 地獄のランチタイムが終わりました。

 ……結局根掘り葉掘り言わされましたよ、ええ。だって聞き出そうとしてくるのラスだけじゃないんだよ。ラス以外は面白がってる派閥と真剣に聞き出そうとしてくる派閥に分かれました。誰がどっちの派閥かは言わなくてもわかると思う。

 あんなに言わされるとは……!! 最初の告白が失敗したとか僕からキスしたとか! ディ、ディープなキスもされた、とかっ……!

 うぅっ、なんの羞恥プレイですか!!!

 ディープキスされたってとこでロイ達が過剰反応して大変だったんだから……まだ早い! なんて……

 だから僕は成人してる! って言ってなんとか納得してもらったよ……


「……ユキ、別にな、私達はユキとダグラスの関係を反対しているわけじゃないんだ……可愛い可愛い息子が思ったより早く男のものになったものだから複雑なのだよ……」

 ……娘に彼氏ができたことを知った父親の心境、かな?

「心配してくれるのはありがたいけども……僕だってもう成人してるから自分のことは自分で責任取れるよ。
それに、ロイとヴォイド爺がダグならって僕に護衛としてつけてくれたんでしょ? 僕が望むなら恋仲になってもいいっていってたじゃんか」

 僕に護衛騎士をってなった時の会話ちゃんと覚えてるんだからね。

「まぁ確かにそうなんだが……ああ、わかったわかった! 私達が悪かった! もう何も言わぬからそんな目で見ないでおくれ」

 まだ言うかっとジトリとロイを見つめるとやっと負けてくれたみたいだ。

「おいロイ!!」

「いや、仕方なかろう? ユキの目を見てみろ。それにユキが幸せなのが1番だからな……

だがな、ダグラス。決してユキが望まぬ行為を強いたりなどせぬように!」

「はっ、もちろんでございます」

 最後にダグに忠告はしたもののなんとか認めてくれたみたいだ。


 よかった、大切な人達に恋愛を認めてもらえないのは辛いからね。






「よかったよかった!! それで、式はいつ?!」

「き、気が早いよ!!」

 ラスって僕に結婚申し込んでなかったっけ……? 1番僕とダグの関係を認めてるのラスじゃない? いや、嬉しいんだけど変わり身早くないですか?
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