あの人と。

Haru.

文字の大きさ
78 / 396
本編

76 お土産

しおりを挟む
「他に何か見たいものはないのか?」

「ん~、最後に行きたいところはあるけど、そこは最後がいいからロイ達にお土産が買いたいかなぁ」

 今日警備をしてくれている騎士さん達と、いつも護衛してくれている騎士さん達へのお菓子は買ったけれど、ロイ達個人へのお土産はまだ見つけれていない。

「最後に行きたいところがどこなのか気になるが……そうか、陛下方へのお土産か。喜んでくださるだろうな」

「そうかな? でもどうしよう、何がいいかわからないや」

 ロイ達の好きなものがわからない……お菓子? 茶葉? お酒? ううん、何がいいかな……

「ならガラス細工の店に行って見ないか? 置物から実用品まで置いてあるぞ」

「ガラス細工……よさそう!」

 ガラスペンとかも置いてるかな? 僕もなんだか欲しくなってきちゃった。綺麗なものは見ていて楽しくなるから好きなんだよ。

「ならこっちだ」


 連れられて行ったお店はウインドウから見えるガラス細工がキラキラ輝いていて眩しかった。

「すごい……きれい……」

「中に入ってもっとよく見よう」

「うん……」

 木製の扉を押すとチリンチリンと可愛い音がした。ドアの上の方を見ると、ガラスで出来たウィンドチャイムがかかっていた。涼やかな音に良くあった色合いでこれもガラス細工の1つかぁと心踊った。

 ガラスばかりなので間違ってもこけてしまわないように慎重に歩いて店の中を回ると、色とりどりのガラスペンが並んだ棚にたどり着いた。

「わ、きれいなガラスペンだ」

「ああ、ここのガラスペンは書き心地も見た目も良くて人気だな」

「そうなの? 綺麗だねぇ……」

 むむ、でもロイ達へのお土産にと思ってたけど結構お高め? 少なくとも一本1万ギル……もっとするのだと5万ギルとかするなぁ……日本で見たことあるものよりも随分と高い。ロイ達が王族ってことを考えてもお土産の値段ではないかもしれない。

 わ、これすごく綺麗……メインの色が濃いめの黄色なんだけど、ガラスの表面がキラキラ光を反射してるから金色にも見える。黒い石が上の方に嵌め込まれてて、まるでダグと僕の色みたい……いいなぁ……
 あ、でも4万ギルする……高いなぁ……残念だけど諦めよう。

「むこうも見に行こ!」

「ん? ペンはいいのか?」

「うん、他のもので探す」

「……そうか」

 次に見たのはグラス。1つ1つ形も色合いも違ってどれも綺麗だ。

「あ、ペアのグラス……これ、ロイ達にどうかな」

 僕が手に取ったのは青と緑のグラスのセット。形は同じだけど底に使われた色だけが違って、鮮やかな色のグラデーションがすごく綺麗。それに青と緑はロイとアルの瞳の色だしぴったりかもしれない。

「いいと思うぞ。晩酌にも良さそうだしな」

「じゃあロイとアルにはこれにしよう」

 値段もセットで1万ギルだし買えないものではない。

「あとは殿下方に……リディアにヴォイド様か」

「あとラギアスとアルバスさんにも買いたいかな。

うーん、レイは成人してるしロイ達と同じようにグラスでもいいかも? でもそうすると1人だけ違うってラスが拗ねるかな……」

「何もグラスでは酒しか飲めないわけではないんだからラシルド殿下もグラスでもいいんじゃないか?」

「確かにそうかも。こっちの形なら果実水も合いそう」

 取ったのは割と細長いグラス。ロイとアルにはウィスキーが合いそうなグラスを選んだからだいぶ形は違う。

「ああ、いいな」

「じゃあレイはこっちにしよう。あ、アルバスさんもお酒好き?」

 レイにと選んだのはロイ達のものとラス用のものの中間くらいの形。一番使い勝手いい形かも。

「団長? あの人は酒豪だぞ。かなり飲む」

「ならアルバスさんもグラスにしよう。大きめのがいいかな」

 かなり飲むなら小さいグラスだといちいち注ぐのが面倒だって使ってくれなくなるかもしれないから大きめのやつ。

「ふむ、いいんじゃないか? 一度店員に預けておこう。包装もしてもらえるしな」

「じゃあお願いしよう」

 店員さんに一度グラスを預け、それぞれ包装を頼んで今度はリディアとヴォイド爺とラギアスへのものを選んだ。

「うーん、ヴォイド爺には勉強教えてもらってるからなぁ……そうなるとペンがぴったり?」

 ちょっとお高くなっちゃうけど。

「もう一度見に行くか」

「そうだね」

 うー、やっぱりガラスペン綺麗……でも値段がなぁ……

「何かお困りでしょうか?」

 ガラスペンの棚の前で悩んでいると店員さんに話しかけられた。店員さんに高いと言うのはちょっと気がひけるけど致し方ない。正直に言ったらオススメの物とか教えてくれるかもしれないし……!

「あ……いえ、お世話になっている方へのお土産を、と思ったのですが……お土産にするにはペンは少し高いかな、と……」

「ふむ……少々お待ちいただけますか?」

「え? あ、はい」

 店員さんがどこかに行ってしまった。戻って来るまでガラスペンを眺めていると、店員さんはそんなに時間をかけずに戻ってきた。

「こちらはいかがでしょうか」

「ガラスペン? でも……」

 値段が……

「こちらはいわゆる試作品のようなものなのです。職人が店に並べる商品を作る前に色味等を確かめるために一度作ってみた、といったものでしてお値段はかなりお安くなり、一本5000ギルとなります。かといって機能に問題はなく、店頭に並べている商品と品質は何も変わりません」

「え、そうなんですか?」

「はい、本来ならばこちらをお出しすることはないのですが、お客様は他にもグラスをいくつかご購入くださるようですので今回は特別に、ということで」

 ふむ……定価の物と変わらないなら全然いいかもしれない。見た目も僕には違いがわからないし……

「ねぇダグ、これリディアとヴォイド爺にどうかな」

「いいと思うぞ。見た限り商品とも変わらないしな」

「だよね。これと……これがいいかな。この2本包んでもらえますか?」

 リディアの綺麗な手に綺麗なガラスペンはぴったりだと思う。リディアもヴォイド爺も書類仕事多そうだし、ペンはよく使うよね。うん、2人のイメージにあったペンがあったし丁度いいね!!

「かしこまりました。グラスとご一緒にお取りしておきます」

「お願いします」

 いいものを紹介してもらえた……! やったね!!

「よかったな」

「うん! あとはラギアスの分だね」

 何気にラギアスのものが一番難しいかもしれない……

「ふむ……ラギアスは確かアロマキャンドルが好きだったか」

「え、そうなの?」

 初めて聞いたしすごく意外な趣味。でもたしかにラギアスってなんだか日によって香りが違う気がする。いつも良い匂いするんだよね。香水だと思ってたんだけどそうか、アロマキャンドルの香りだったのか。

「キャンドルホルダーなんかどうだ? ほら、かなり種類もあるみたいだぞ」

「わ、綺麗!! これただ置いておくだけでもすごく綺麗だね」

 キャンドルホルダーとしてじゃなくて置物としてもかなりいいかもしれない。ふむふむ、これにしようかな。

「これにしよう!」

 選んだのは青を基調としたモザイクガラスのもの。気に入ってくれるかなぁ。

「よし、ならそれも包んでもらって会計にしよう」

「うん!」

 選んだキャンドルホルダーも店員さんに渡して包んでもらい、全ての会計を済ませる。結構な金額になったけど、渡されたお金はまだまだ減っていない。

 ……え、僕これどんだけ渡されてたの……いいや、残った分は全部返すし。あ、でも最後に行くところで結構使うことになっちゃうかな……

「ユキ、終わったか?」

「あ、うん。大丈夫」

「ならもう出るか」

「うん。最後に行きたいのはね、アクセサリーのお店。どこにあるかな?」

 店を出てゆったり歩きながらダグに問う。ちなみに買ったものは全てダグが魔法収納に入れてくれた。

「アクセサリー? ならあっちだな」

 ダグが示した方へ歩きながらこれから買うつもりのものに想いを馳せた。
しおりを挟む
感想 114

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

龍は精霊の愛し子を愛でる

林 業
BL
竜人族の騎士団団長サンムーンは人の子を嫁にしている。 その子は精霊に愛されているが、人族からは嫌われた子供だった。 王族の養子として、騎士団長の嫁として今日も楽しく自由に生きていく。

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

時間を戻した後に~妹に全てを奪われたので諦めて無表情伯爵に嫁ぎました~

なりた
BL
悪女リリア・エルレルトには秘密がある。 一つは男であること。 そして、ある一定の未来を知っていること。 エルレルト家の人形として生きてきたアルバートは義妹リリアの策略によって火炙りの刑に処された。 意識を失い目を開けると自称魔女(男)に膝枕されていて…? 魔女はアルバートに『時間を戻す』提案をし、彼はそれを受け入れるが…。 なんと目覚めたのは断罪される2か月前!? 引くに引けない時期に戻されたことを嘆くも、あの忌まわしきイベントを回避するために奔走する。 でも回避した先は変態おじ伯爵と婚姻⁉ まぁどうせ出ていくからいっか! 北方の堅物伯爵×行動力の塊系主人公(途中まで女性)

美澄の顔には抗えない。

米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け 高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。 ※なろう、カクヨムでも掲載中です。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...