あの人と。

Haru.

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本編

閑話 ダグラスと警護に当たった騎士の話

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 今日の夜間警護は神子様の寝室でやると告げられたのはいつだったか……

 神子様があの事件によってお一人で眠ることが難しくなってしまったためにしばらくダグラス部隊長が夜間業務を免除され、常にお側にいたのは知っている。

 俺たちとしても神子様が苦しまれるのは本意ではなかったので、恋人でもあるダグラス部隊長が夜間業務を免除されることに異論はなかったし、むしろ代わりに俺たちが引き受けます、とさえ思っていたのだがどうやらお優しい神子様は納得はされなかったらしい。

 ご自身の都合で本来の業務内容を捻じ曲げるのは、とお考えになったらしい。別に誰も文句など言わないのだが……

 どうにかお一人で寝れるようにと模索中のようで、そこにダグラス部隊長が、部隊長が警護に当たった日は寝室にて警護すると申し出てそれを試すことになったようだ。
 それ以外の日は部隊長が一緒に寝ている。早く結婚すればいいのにと思ってる。あ、でももう婚約は済んでるのか。




 それで俺は初めて神子様の寝室に一歩立ち入ることを許されたわけなのだが……流石に豪華だな。天蓋付きの大きな寝台は美しい神子様にお似合いだ。

 ひらひらとした天蓋の奥で眠る神子様はさながら天使のようだ。神の遣いなのだから強ち間違いではない、か……?

 いつまでも見ていたいほどに美しい光景だったが、あまりじっと見つめているとダグラス部隊長から殺気が漂い始めたため慌てて視線を逸らした。

 こっわ……

 この人って神子様のことになると結構がっつり私情入るよな……いやまぁこんなに可愛い恋人がいたらそうなる気持ちはわかるけども。

 それでも神子様を相手するときの態度は公私でちゃんと分けてるからこそ部隊長を支持する声はやまないんだよな。俺も部隊長以上にに神子様の護衛騎士長に向いている騎士などいないと思う。力も申し分ないし誠実な人だからな。

 しかし、あれだな……普段から可愛い恋人が自分と一緒じゃないと寝れないなんて嬉しいよな……いや本人からしたら大変なことなんだろうけどそれだけ自分で安心してもらえるって本当に嬉しいぞ。

 それをダグラス部隊長は味わってるのか……

 ……いや部隊長のことだから喜び半分心配半分ってとこか。溺愛してる恋人が寝れないとなったら心配するよなぁ。

 今も心配げに神子様からじっと視線を逸らさないし。それでいて隙なんか微塵もないんだから本当に恐ろしい人だよ……流石部隊長だ。




 ちょくちょく神子様の部屋の無駄に広いトイレを借りつつ警護を続け、大分夜も深まった頃にダグラス部隊長はぴくりと動いた。

 なんだ……? 敵か……?

 少し警戒したが違った。

「ぅ……っ…………だ、ぐ…………」

 神子様が唸りだした。部隊長は直前に気づいていたよな……? すげぇな……これが愛の力か。いや、俺が同じ立場だったら気づかないな。部隊長がすごいだけか。

 どうするのかとちらりと部隊長を見れば目があった。

 ……俺はちょっとトイレ行ってくるんでごゆっくりどうぞ。

 気を利かせてその場を離れつつチラリと目をやると部隊長が神子様の寝台に座り、頭を撫でながら何かをささやいていた。

 あっま……

 俺は何も見ていない。見ていないぞ……仕事中は鬼のような部隊長の甘い仕草なんて見ていない。

 いやまぁ部隊長が休みの日に庭で神子様とデートしてるのとかちょくちょく見てるけどさぁ……何回見てもこの甘いのは慣れないわ……

 待て、リディア様ってずっとあっまい2人見てんのか。……すげぇな。


 しばらく退散していようとトイレへこもる。やっぱり広すぎる。なんかもう清潔感漂いすぎてトイレなのに豪華だし……


 どれくらいで戻ったらいいんだろうか。5分あればいいか……? ちょっと休憩、ってことでゆっくりしとくか。その方が良さそうだし。


 たっぷり10分近く待ってから戻ったらダグラス部隊長は元の位置に何事もなかったかのように戻ってた。俺も何も言わずに元の位置に戻ってチラリと神子様を見たらまた安心したようにゆっくりと寝ていた。部隊長の雰囲気も少しばかり柔らかい気がする。いいことだ。俺の精神衛生的にも。


 その後も途中で一回神子様が唸ったのを見てやっぱりダグラス部隊長は夜間業務免除でいいんじゃないかと思った。それでも神子様はそうは思わないのかね。





 とりあえす今回の夜番で気づいたことって言ったら……俺、トイレは狭い方が好きだってことだな。
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