あの人と。

Haru.

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本編

152 ダグと。

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「皆さま、お茶をお入れいたしましたので食後のデザートと共にどうぞ」

「ありがとうリディア」

 プチ立食パーティーは終わり、みんなでテーブルに座ってお茶を飲む。相変わらず美味しいです!

「まぁあ!! キラキラしてるわ! すっごく美味しそう!!」

 母さんはお城の料理人さんが作ったキラキラおしゃれなケーキに大興奮。母さん可愛いものとか綺麗なもの大好きだもんね。

 あ、隠れ甘党の父さんが黙々と嬉しそうに食べてる。父さんって美味しければ美味しいほど口数減るんだよね。よかったね、父さん。

「はー……すごいな……幸仁、毎日こういうの食べてるのか?」

「うん、そうだね。デザート付きのご飯は基本で、お茶の時もお菓子は食べるし、それ以外でもお腹空いたら色々と食べさせてくれるよ」

「なんだか太りそうな生活だが体型は変わってないし、それだけ大事に大事に面倒見てもらってるんだな……幸仁が大事にされていて安心したよ」

「ここの人たちみんな僕を甘やかしてくれるよ」

「そうか、それはよかった」

 にっこり笑った蒼兄さんは本当に安心したような顔だった。他のみんなもどこかホッとしてような様子だ。心配してくれてありがとう。


「さて、そろそろピアノ弾こっか。何が聴きたい?」

「ゆきちゃんのピアノならなんでもいいわ」

 なんでも、かぁ……悩むなぁ……

 朝にウォーミングアップはしてるけど、少し時間が経ってるし比較的弾きやすい曲から弾いていこうかな。今からまたウォーミングアップはちょっと嫌だし。

 家族に会えて嬉しいし、テーマは“歓喜”として色々と弾いていきましょう!!




***


*****


*******




「っはぁ、ちょっと休憩……!」

 調子に乗って一気に弾きまくったらちょっと疲れました! リディアのお茶を飲んで回復回復!

「懐かしくってお母さん泣いちゃったわ……やっぱりゆきちゃんのピアノが1番ね」

 母さんの泣いちゃった発言にびっくりしてよく見たら父さんも兄さん達も泣いてた。

「わわっ、みんな泣かないで?」

 どうしたらいいかわからなくてオロオロとしてしまう。

「ごめんな、ごめんな幸仁……俺たちなんで幸仁のこと忘れちゃってたんだろうな……」

「幸仁の音、何も変わってない……俺等の大好きな、優しい音だ……1度幸仁を忘れた薄情な俺等に恨みはないのかよ……?」

「父さん……蒼兄さん……僕、みんなが僕のこと忘れちゃったって神様から聞いた時、すっごく悲しかった。沢山泣いた。でも……ううん、だからこそ、みんながまた僕を思い出して、異世界まで会いに来てくれてすっごく嬉しいよ。僕は、それで十分すぎるんだ」

 紛れも無い本音だよ。まさか思い出すだなんて思ってもいなかったから、嬉しすぎてまだ夢なんじゃないかって思ってるくらい。

「僕を思い出してくれてありがとう」

 僕は1番の笑顔をみんなに向けた。

 そうしたらみんながもっと泣いちゃって僕は大慌て。みんなにも笑って欲しかったんだけど、失敗しちゃったみたいだ。

 オロオロとする僕をダグとリディアが優しい目で見てたのは知らなかった。


 しばらくしてみんなが泣き止んだら、また僕は沢山ピアノを弾いた。ダグとの二重奏もした。みんなダグのヴァイオリンも褒めてて、自分のことのようにすっごく嬉しかったよ。自慢の旦那様ですから!!

 そうして一頻り楽しんだ頃、ダグが突然キリッとしだした。どうしたのだろう。

 内心首を傾げつつダグを見てると、ダグは父さんと母さんを真っ直ぐ見つめ、そして深く頭を下げた。

「マサヒト様、ミカコ様、私をユキの伴侶として、認めて頂けますか」

 ほえ?

「認めるも何も、なぁ……」

「そうよねぇ。ゆきちゃんのこと見てたら、ダグラスちゃんのことが大好きで仕方ないっていうのが丸わかりだもの」

「幸せオーラ全開の息子を見ていたら反対する必要性など感じないよなぁ。むしろ、息子を幸せにしてくれて感謝しているくらいだよ、ダグラスくん」

 ……なんかすっごく恥ずかしいんですが。いやまぁ事実なんだけども……それを親から聞かされるのはちょっと……!!

「ですが、私はユキを危ない目にも合わせたことがあります。私はユキを守ると言いながら、結局守りきれていないことの方が多いのです。そんな私でも、いいのですか」

 ちょっとダグ、なにそれ。僕怒るよ。ダグがいたから幸せになれたのに、なんでそんな自分を責めるようなことを言うの。それじゃまるで、ダグ解いたら僕が幸せになれないって言っているようなものじゃないか……!!

「危ない目、か……それはあとで詳しく聞くとして、とりあえず2人の関係を反対することはしないよ。幸仁、お前に何があったかは知らないが、今の様子からするにそれでもダグラスくんから離れるなんて微塵も考えていないのだろう?」

「うん、もちろんだよ! ダグはこの世界に来て不安で泣いた僕を支えてくれた。僕が泣いた時はずっとそばにいてくれた。確かに辛いこともあったけど、それ以上に僕はダグに幸せをもらった。だからダグと離れるなんてありえない」

 ダグがいたからこそ、僕はこの世界で幸せになれた。僕を幸せにしてくれたダグを、今度は僕が幸せにするんだから! 一生をかけてダグとたくさんの幸せを作るんだ。小さなものから大きなものまで沢山ね。

 これからも危ないことは沢山あるかもしれない。それだけ僕たちの立場は複雑だから。でもそんな危ないことを、ダグだけが背負う必要なんてない。僕だってダグを守るよ。2人で乗り越えていけばいいんだよ、ダグ。

「幸仁、いい人に出会ったんだね」

「うん!」

「ダグラスくん、幸仁のことをよろしく頼むよ。2人で幸せになっておくれ」

「ありがとう、ございます……っ必ず、幸せにします」

「あらあら、ダグラスちゃんも幸せになるのよ?」

「っはい、幸せに、なります」

「ええ!」

 こうして僕とダグは、僕の本当の家族にも、夫婦であることを認められた。まぁ父さんも母さんも最初からはんたいなんてしてなかったけども。

 なんだか今、夫婦であるという感覚が、しっかりとしたものになった気がする。きっと気のせいではないのだろう。

 ねぇダグ、ダグが思っている以上に僕にとってダグは必要な存在だよ。僕はもう、ダグがいないと生きていけないのだから。

 危ない目に合わせてしまったなんて、もう2度とダグに言って欲しくない。だから僕はもっともっと頑張らなくちゃね。ダグと並んで立てるよう、頑張るよ。だからもう、離れるようなこと言わないで。

 いや、もう僕が言わせない。

 ダグを不安にさせる不甲斐ないパートナーからは卒業します!! まっててね、ダグ!!


 僕は幸せになるために頑張ります! ダグとね!!



 ──────【あの人と。】 END──────




152話というなんとも微妙な数字ではございますが、【あの人と。】本編はここまでとなります。
ここまで読んでくださった皆様に多大なる感謝を。
本当にありがとうございました!


このまま続けていくと、完結の目処がたたなさそうだった為に家族と再会できたここらで一度完結させただけで、書きたいネタは残っていますのでこれからも番外編として投稿できたらなぁ、と思います。そちらも読んでいただけると嬉しいです。

まだまだゲロ甘カップルな幸仁とダグラスをどうぞよろしくお願いいたします!



次回からのAfter Storyは本編が終わったにも関わらず時間がとんだりしてません! そのままです! 不思議ですね!! ……作者が無理矢理終わらせた弊害です。ご了承くださいませ。





……自分で読み返していたのですが、ヒロユキって誰だってなったので直しました。After Storyでは雅仁として出てるので……作者の中ではもう雅仁で定着していたのです……ヒロユキで定着してしまっていた方は申し訳ありません……!
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