あの人と。

Haru.

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After Story

ジョシカイ

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「ユキ、朝だぞ」

「んぅー……あとごふん……」

「今日はラシルド殿下とジョシカイとやらをするのだろう? 支度をしなくていいのか?」

 だって眠い……1月に入って、かなり寒くなったから日中は暖炉をフル活用して部屋を暖かくして、寝るときは布団も冬用の温かいのに変えて、フワフワの毛布も使ってさらにダグに抱きしめられながら眠るの。もうね、温かいものに包まれながら眠るのが幸せすぎて……朝は全く起きれません。

 たしかに今日はラスを誘って女子会をする予定になってる。なんならリディアも引き込もうと思ってて、楽しみにしてたんだけど……いかんせん眠いわけです。

「うー……」

 自力では起きあがりたくなくて、ダグの声がする方に腕を伸ばせばぐいっと引き上げて起こされた。正直目は全く開かないけど。

「着替えさせるぞ」

「あい……」

 眠気で力の入っていないぐにゃぐにゃの僕をしっかりと支えながらテキパキと着替えさせてくれるダグ。最近はあまりにも僕が起きないから、ダグが僕を起こして着替えさせているうちにリディアが朝ごはんを用意する、っていうやり方になってます。髪の毛は食べている間にリディアがやってくれます。

 椅子に座らされ、ストレートティーを飲まされたらようやくうっすらと目が開いた。まだまだ眠いです。

「ほら、口を開けろ」

「あー……」

 今にも船を漕ぎそうな僕の身体を押さえ、口元へご飯を運んでくれるダグ。もそもそと噛んでゆっくりと飲み込めばまた口にご飯を放り込まれて……

「こら、寝るな」

 うぅ、眠い……

「本当に起きないな……ニホンにいた頃はどうしてたんだ」

 ……母さんがおにぎりを持たせてくれて、ギリギリまで寝てから学校で食べてました……下手したら1限終わった後とかに食べてたよ。あまりにも危なっかしいからって1限入ってない日は兄さん達が高校までついてきてくれて、それ以外は母さんが送ってくれたり父さんが仕事前に高校の近くまで乗せて行ってくれたり……朝がそんな状態だから、教科書とかノートは前の日に何度も確認して鞄に詰めてたなぁ。

 かなりの時間をかけてご飯を食べ終わる頃にようやく僕の目は普通に開くようになります。眠いことは眠いから寝ようと思えば一瞬で寝れるけど! まぁ寝るわけにはいかないので寝るのは我慢我慢……せめてラスとの女子会が終わってから!

 ラスとの女子会は9時ごろからの予定です。場所はここで、前みたいに暖炉前でぬくぬくとしながらの開催です。……あれ、僕寝ちゃいそうだな……頑張ろう……




 9時少し前、ラスがやってきて、その後ろには……?

「ごめん、アレクついてきちゃった……」

「ああ! ラスの彼氏さん!!」

 たしかにダグタイプだね。身長も高くて、ゴツイ体にキリッとした目。真面目そうなイメージがダグっぽいです。いや、僕が好きなのはダグだけですけど! いくら雰囲気が似ててもやっぱり違うのです。

「初めまして、ユキヒトです。ラスの未来の旦那様なら関わることも多いかな、と思うのでよろしくお願いします」

「ちょっとユキ……! 未来のだ、旦那様って……」

「間違ってないじゃん」

 左手の薬指、誕生日の次の日に会った時に指輪がはまっているのを見て思わず二度見しちゃった。ふとした時に指輪をちらって見てはにかむラスは完全に女子でした。……あれ、そういくと僕も女子に……まぁいいや、この世界での嫁側の人間は地球での女子みたいなものだし。あながち間違ってない! うん! お化粧とか女装をしなければセーフ!

「お初にお目にかかります、神子様。ヴィルヘルム王国騎士団ラシルド殿下付き近衛、アレックスと申します。よろしくお願いいたします」

「よろしくお願いします」

 なんだかダグと初めて会った時を思い出すね。最初のダグはビシッと敬礼して、僕の前で跪いて……びっくりしたなぁ。

「アレク、挨拶が済んだならどっか行ってろ。ジョシカイは男子禁制だからな」

「……殿下も男では?」

「ゴツイ男はダメ! ほら、出てけ出てけ」

 ダグは今日のうちに女子会の間は扉の向こうにいてねってお願いしてるからすでに扉の近くにいますよ。今日は僕とラスがお互いのパートナーについて色々話す会なのでパートナーがいたら……ねぇ? やりにくいもんね! 代わりにラギアスは扉の内側で警護です。1人も護衛なしはダメだからねぇ。

 しぶしぶといった様子でアレクさんとダグが出て行くと、2人で癒しゾーンに飛び込んで女子会の開始です!!




「ラスは最近どうなの?」

「どうって?」

「距離感とか? 2人の時ってどんな感じなのかなって」

 アレクさんも騎士だから、仕事中はいちゃいちゃできないよね。ダグも最近はいちゃいちゃとまではいかずとも砕けた話し方をしてくれることが多くなったけど、最初はそうはいかなかったわけで。ラスのところもそれは同じだと思う。

「俺からは、あんまり? なんか、その……恥ずかしいしどうやったらいいかもわかんないし……全部アレクからって感じ」

「いちゃいちゃはするの?」

「いちゃっ……ユキとダグラスほどじゃないから!」

「だって僕たちはもうひっついてないと落ち着かない域に達してるから」

 同じ時間に同じ空間にいて、逆になんで離れて過ごすの? って僕たちは思ってるから、常にべったりです。

「ユキは最初から照れたりしなかったの?」

「照れてたよ? でも慣れたのかなぁ……いや、今でも照れるけど、それ以上にダグと触れ合ってるのが落ち着くんだよね。抱きしめられたらすっごい安心しちゃう」

 恥ずかしいけど、それ以上につい力が抜けちゃうくらいに安心できるんだよ。ダグの体温、匂い、感触、その全部に安心して、最近では寒いからからって余計に引っ付いて、そのまま安心しきって寝ちゃって気付いたら朝ご飯、みたいなことも多いですよ。ベッドの中で起きないからね!

「俺もそうなるのかなぁ……」

「なりたいの?」

「俺からってあまりできないからさ、アレクはそれでいいって言ってたけど……俺からいったら喜ぶのかな、とか考えちゃうんだよ」

「うーん、そういうのは自然にできてこそだと思うよ? 喜ばせたいからキスする、抱きつく、だとラスの気持ちが追いついてないじゃん? ラスが自然にやりたいって思った時にやらないとアレクさんも完全には喜べないんじゃないかな」

 自分のために、ってやってくれたのは嬉しいことは嬉しいけど、嫌々やってないかな、とか考えちゃうよね。やりたくてやってる、っていう方が断然嬉しい。ダグもやりたくてやってるんだってよく言ってるから僕は嬉しいし安心する。

「なるほど……がっついて引かれないかな、とかは?」

「あー……思うことも多々ある、けど……大抵、というか今のところ全部喜ばれて終わってるんだよね。あまり気にしなくていいのかも」

 僕から誘ってみたり、ズボンを履かずにダグのシャツを着てみたり、ベビードールを着てみたり……はしたないかな、引かれないかなって思ってもダグが喜んで寝かせてくれなくなるのが毎回の流れだからねぇ……たまたまダグにとって嫌なことじゃなかったからかもしれないけど、案外僕が嫌々じゃないならなんでもいいのかもしれないって最近思ってる。

「なるほどなぁ……参考になるよ、先輩」

「先輩って……」

「だってこの中で結婚してるのユキだけだよ」

 ……ほんとだ。リディアも婚約はしてるけど結婚はまだだし、ラスは婚約もしてない。ラギアスはどうなのかな、好きな人とか……そもそもラギアスはどっちなのか微妙なところだよね。あとで聞いてみよ。

「ユキ様とダグラスは参考になりそうでならない例なのですよねぇ……」

「どういう意味さ」

「醸し出す空気が甘すぎて普段の触れ合い方は参考になりません。ですがお互いを信頼しきって支え合っている姿は参考になるのですよ」

 ……褒められてる、の?

「それわかる。アレクも言ってた。ユキとダグラスの例は一般的じゃないって。でも支え合ってるのはいいなぁって思うんだよね」

 褒められてる気もするけど素直に喜べない……! そしてアレクさん、一般的じゃなくても幸せならそれでいいんです!!!
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