あの人と。

Haru.

文字の大きさ
277 / 396
After Story

課題と

しおりを挟む
「つーか水かけられそうになったんだよな……俺も注意して周り見とくわ」

「ありがと!」

 昨日先生は相手の子は今日に改めて呼び出して退学するかどうかを学園長さんを交えて話すとかなんとか言ってました。まぁ残るにしろ出て行くにしろお説教とペナルティはあるらしいけどね! ちなみに残るって本人が言ってもあまりにも獣人への態度が変わらないなら強制退学らしいです。だって誓約書書いてるんだもん。

「っと、そろそろホームルームだな。1限は……げ、算学じゃねぇか……」

「苦手なの?」

「いや、算学自体は嫌いじゃねぇんだけどよ……教師がちょっとなぁ……ロベルト先生って言うんだが、悪い奴じゃないんだけどお堅い奴でな」

「ふぅん?」

 お堅い人かぁ……僕のイメージじゃオールバックで眼鏡かけてて神経質! シャツにベストを着て、きっちりネクタイも締めて、ラインの綺麗なスラックスを履いてる! おまけに指し棒を常に装備! ……こんな感じ? でもまぁそんなベタなことはないよねぇ。

 なーんて思ってたらホームルームが終わって入ってきたのはまさに僕が想像した通りの先生で。切れ長の目とキュッと引き結ばれた口角が気難しそうな雰囲気を醸し出してます。

「授業を始める。まずは留学生、私は年下だからとお前を特別扱いするつもりはない。この学年に入った以上同等以上の学力レベルを求める」

「はい」

「よろしい。では38ページからだ」

 わぁ、本当にお堅い先生……サダン君が苦手になるのもわかるかもしれない。多分ちょっとした手抜きとかも許さないタイプだと思うもん。課題とか忘れたら物凄そうです。気をつけよっと。

 ロベルト先生の授業はわかりやすかった。効率を重視した教え方で、サクサクと進めていくけれど解説は丁寧で質問にもきっちり答えていく。いい先生だけど……

「ここまでの範囲を応用も含めて次回テストをする。もちろんいつも通り課題もあるから忘れないように」

 ……生徒には好かれなさそうです。だって課題の量も多いんだもん。教科書とは別に問題集があって、それを授業内容のところをやってこなくちゃだめらしい。ただ、その問題集もロベルト先生が書いたもので、問題数がかなり多い。そして解答は配られていないと言うパターン。見た感じ解けるものばかりだったから僕は大丈夫だけど、ロベルト先生が出て行った瞬間机に突っ伏したサダン君に思わず笑ってしまいました。

「うぅ……」

「大丈夫?」

「あぁ……別に算学は嫌いじゃねぇけどよ……これをやる時間があるなら身体を鍛えたいんだよなぁ」

「わからないところあったら教えるよ?」

「本当か!? 俺いつも応用のとこで躓くんだよなあ……なのに次回テスト……」

 応用かぁ。懐かしいなぁ、高校の数学でも応用になった途端に解けなくなる子いたな。解き方がわかれば簡単なんだけどね。

「あはは、頑張ろうね」

「おう……教えてくれよな」

「もちろん」

 僕に教えられることならなんだって教えるよ。大きな試験の時なんかは勉強会とかやりたいなぁ。夢だよ夢! ヴォイド爺の授業では定期試験みたいなのはなかったもん。試験期間のあの独特の雰囲気をまた味わえるかなってワクワクしているのです。


 その後もきっちり授業を受けて、放課後になればサダン君が算学の宿題を一緒にやろうと。場所はサダン君のお部屋。寮が一緒だって言うのは昨日聞いてました! 友達と一緒に宿題なんてワクワクで、るんるんとスキップしながら──嘘です、運動音痴の僕はスキップなんて出来ません。でも気持ち的にはそんな感じでサダン君についていくと、高校生男子! って感じのお部屋に招待されました!

「わりぃ、散らかってて……」

「これくらいなら大丈夫じゃない?」

 たしかに物は所々に散らばっているけれど、踏み場がないようなこともないし、埃が溜まっているようなこともない。多分こまめに掃除はしてるんだけどすぐ散らかしちゃうタイプなんだろうなぁ。僕的には落ち着く部屋だと思います!

「そうか? ならこっちの机でやろうぜ。あ、床に座るのって嫌か……?」

「嫌じゃないよ! 僕、家でラグの上に座ってたもん」

「そっか、よかった。俺も床に座るの好きなんだよ」

「僕もだよ」

 そのままゴロゴロ転がれるのも高ポイントです。カウチと違って、どこまで転がっても落ちることがないもん。好きな体制になれるのが楽なのです。

 2人でローテーブル挟んで座るとリディアが2人分のお茶とお菓子を出してくれた。

「あ、すんません。呼んだのはこっちなのに……」

「いえいえ、好きでやっていることですので。それに我々までお邪魔していますし」

「いや、それは別に構わないけども」

 リディアとサダン君が話している間に部屋をぐるっと見渡してみる。やっぱりこの部屋にも寝室が2つ付いているみたい。1人で入っても部屋数は変わんないのかぁ。

「ねぇねぇサダン君、寝室ってどんな風に使ってるの?」

「んあ? あー、片方はほぼ物置だな。つってもあんま使ってないんだけどよ。ユーキんとこは?」

「僕が1部屋、ラグとリディアで1部屋だよ。ラギアスは従者用の棟を借りてるの」

 本当は僕とダグで1部屋だけどそれは言っちゃダメなのです。だってここじゃ僕とダグはただの護衛と護衛対象なんだもん。普通その2人が一緒になんて寝ないもんね。

「追加で借りてるのか? なんならここの余ってる部屋使ってもいいぞ?」

「え?」

 思ってもみなかった提案をされて目をぱちくりとさせてしまった。聞き間違いかと思ったけどどうやらサダン君は本気のようで。

「禁止されているとはいえ差別が全くないわけじゃないからな……ユーキも心配じゃねぇ?」

「えっと……うん、心配だけど……流石にそんなに迷惑はかけられないよ」

「迷惑だと思ってたら言わねぇよ。どうする?」

「んー……返事はまた今度でもいい?」

「おう、いいぞ」

「ありがとう、サダン君」

 正直、ここにラギアスを住まわせてくれるならありがたい。まだサダン君と出会って間もないけれど、サダン君がいい人だってことはよくわかった。サダン君ならラギアスも大事にしてくれると思う。だけど……僕のことがある以上、すぐには返事はできない、かな。僕だけでは判断し難いです。

 そのあとは普通に課題を半分ほどやって、夜ご飯も一緒に食べてから部屋へ戻ってきた。パパッと遮音結界を張って緊急会議です。

「どうしよっか?」

「そうですねぇ……悪い話ではないと思いますが」

「俺もそう思うぞ。悪い感情は感じないからな」

 リディアとダグは肯定的な様子。ラギアスはどうかな?

「ラギアスはどうしたい?」

「……たしかに彼の部屋に住まわせてもらった方がいいのだと思いますが、俺は従者用の棟で構いません」

「んー……でも僕心配だよ? 嫌なこと起きてないかなぁって」

 サダン君の部屋ならそんな心配もないと思うんだけどなぁ。

「俺は……彼のそばにいるべきじゃありません」

「どうして? ……わかった、今回は断ろうか。でももし何かあるようだったら強制的にサダン君の部屋に入れるからね」

「……はい」

「うん。なら今日はこの話はおしまい!」

 本当は何かあってからじゃ遅いんだけど……ラギアスの様子を見ていたら無理やりサダン君の部屋へ入れることは出来なかったの。悩んでるような、なにかを考えているような……気になるけどラギアス自身もまだ整理できてなさそうな雰囲気だから僕は聞けない。

 何かあったら言うようにってずっと言ってきたから、何かあったわけではないと思うんだけど……なんか気になるなぁ……
しおりを挟む
感想 114

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

時間を戻した後に~妹に全てを奪われたので諦めて無表情伯爵に嫁ぎました~

なりた
BL
悪女リリア・エルレルトには秘密がある。 一つは男であること。 そして、ある一定の未来を知っていること。 エルレルト家の人形として生きてきたアルバートは義妹リリアの策略によって火炙りの刑に処された。 意識を失い目を開けると自称魔女(男)に膝枕されていて…? 魔女はアルバートに『時間を戻す』提案をし、彼はそれを受け入れるが…。 なんと目覚めたのは断罪される2か月前!? 引くに引けない時期に戻されたことを嘆くも、あの忌まわしきイベントを回避するために奔走する。 でも回避した先は変態おじ伯爵と婚姻⁉ まぁどうせ出ていくからいっか! 北方の堅物伯爵×行動力の塊系主人公(途中まで女性)

美澄の顔には抗えない。

米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け 高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。 ※なろう、カクヨムでも掲載中です。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

処理中です...