あの人と。

Haru.

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After Story

フラグじゃないもん

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 まずは浄化をかけて、と……そうしたらダグはいつも最初、こうやって入り口を捏ねるように、ほぐすように中に指を入れずにくにくにって……

──可愛いな、ユキ。強請るかのように指に吸い付いてきているぞ。

「んっ、あっ……」

 優しく香油で揉み込んで、僕の頭がとろとろになったら、こうやって中に指を……

──ほら、中に入れてやる。

「ふっ、あぁあっ……は、ぅ……」

 どう、しよ……ダグの手を思い出しながらしたらすっごく気持ちいい……指をきゅうきゅう締め付けているのがわかってすごく恥ずかしい。恥ずかしいけれど、気持ちいい。

 もっと気持ち良くなりたくて指をもう少し深く沈めてお腹側のあそこを指先でくい、と刺激するとビクビクと腰が震えた。

──ユキはここが好きだな。

「んっ、すきぃ……っ、だぐすきっ……」

──可愛いな。もっと可愛いユキを見せてくれ。

「あっ、やぁ……っ、んっんっんっ……」

 いけないことだと分かっていても気持ちよさに指が止まらなくて、ダグの枕に顔を埋めながら、ダグを思い出しながら夢中になって指を動かした。

 ────寝室のドアがそっと開かれたことにも気付かずに。

「はっ、ぅ……んぁあっ……だ、ぐ……だぐぅ……っんぁ、もういっちゃ、いっちゃう……っ!」

「気持ちよさそうだな、ユキ」

「っえ、ぁ、や、ひっあぁあああっ!」

 え、あ……え……? 目の前がチカチカして一瞬何が起こったか分からなかった。気持ち良くて、ダグの名前を呼びながらもうちょっと、って思ったところでダグの声がして……そのまま……ってダグの声!?

 慌ててシャツで隠しながら起き上がれば、ニヤリと笑ったダグがドアのすぐ側に立っていた。

「あ、う……っ!」

 どうしようどうしようどうしよう! 見られちゃった……!

 恥ずかしくて、布団を手繰り寄せて頭から被ると、ギシリとベッドに体重がかかってダグが僕のすぐ側に来たことが分かった。ギュッと身体を丸めて縮こまると、そっと背中に重みがかかってダグの手が添えられたのを感じた。

「ユキ」

「ご、ごめんなさい……き、嫌いにならないで……」

 1人であんなこと……はしたないって嫌われちゃうかもしれない……ダグに嫌われたら生きていけないよぉ……

「ユキ、大丈夫だから出てこい」

「……怒ってない……?」

「怒ってない。ほら、顔を見せてくれ」

 すごく優しい声でそう言われて、そろりと布団から顔を出すとそのまま引き摺り出されてダグの膝の上に座らされた。ズボンも下着も脱いだままだから見えちゃうのが恥ずかしくてグイグイとシャツを引っ張って隠そうとしたけれど、ダグの大きな左手で両手とも絡めとられて隠せなくなってしまった。

「やぁっ……ダグ、見ないで……!」

「なんでだ? はは、トロトロになってるな。俺のことを考えながらしてたのか?」

「う……」

 こくり、と頷けば嬉しそうに笑ったダグが顔中にキスをしてきた。

「可愛いな、ユキ。後ろも1人でこんなに蕩けるまで弄って……いやらしいな?」

「ふぁああっ、や、ごめ、なさ……っあぁあ!」

 グプ、とダグの長い指が入ってきて、ビリビリと甘い痺れが背筋を駆け上がった。

「怒っていないと言っただろう? だが……いやらしいユキを見て煽られた責任は取ってもらうぞ」

「ひぅ……やぁ……」

「嫌? 苦しいことも痛いこともしない。ただひたすらに気持ちよくして何も考えられなくしてやるだけだから安心しろ。1人でするくらいしたかったんだろう? 安心しろ。……俺が満足させてやる」

 低く甘く囁かれた言葉にそんなの安心できない、と思った僕だったけれど、欲のこもった熱い眼差しで見つめられて少しの期待に思わず背筋が震えたのだった。



* * * * * * * * * *



「……」

「ユーキ。恥ずかしがってるのか?」

「ゔぅ……」

 現在おそらくお昼頃。パッチリと目が覚めた僕は昨日のやらかし具合にもう恥ずかしさやら居た堪れなさやらが襲ってきてダグの顔が見れずに布団にくるまってお篭り中。運が悪いと言うかなんと言うか、お仕事がお休みのダグはそんな僕の隣に座って布団の上からポンポンと撫でてきます……いつもならえっちの次の日は甘えたくて仕方ないけど今日は1人にして欲しいのです……!

 なんで僕はあの時そのまま寝なかったの……! 下着の中に手さえ入れてなければその後エスカレートすることもなくダグにあんな痴態見せることにもならなかったのにぃ……っ!! 後悔時すでに遅しだけど可能なら過去の僕をぶん殴って止めてスリープかけて寝かせたい……っ!

「ユキ、恥ずかしがることはないぞ。ユキだって男なんだから別に1人でしていたっておかしくないだろう」

 そっちで止めてたらそれで納得できましたけどもね……!

「……だってダグは後ろしないでしょ」

 そりゃダグは旦那様だし僕が下だから当たり前なんだけども……男の僕があんな風にしてそれを見られたって言うのが恥ずかしいしいたたまれないしで何が何やらです……

「あー……確かにそっちはしないが……ユキの故郷だとあまり普通のことではないかもしれないが、こっちでは男だからとは関係ないからな。俺はユキが1人でしていても引くどころかむしろ興奮するから安心しろ」

「それはそれで安心できないよ……」

 それって見られたら確実に朝まで寝かせてもらえないパターン……引かれないのは安心するけど、その後のことを考えるといっっっさい安心出来ません……!

「ユキが可愛いから仕方ないだろう? 昨日はユキが心配で心ここにあらずと言った様子だった俺を見た部下に会場から早々に追い出されたんだが、正解だったな。恥ずかしそうに、だが気持ちよさそうに後ろを1人で弄って俺を呼ぶユキはいやらしくて可愛いかっ──」

「ッッ、もうやめてっっ!」

「──はは、ようやく顔が見れた。こんなに赤くなって可愛いな」

 思わず布団から飛び出してダグの口を塞いだ僕は、あっという間にダグの腕の中に閉じ込められ、真っ赤になった顔をまじまじと見つめられるように……

「うー……離してっ」

「離したらまた閉じこもるだろう? ユキを愛でたいからそのお願いは聞けないな」

「やぁ、離してよぉ……」

「離さない。それに……ユキの右手はどうやら俺と離れたくないみたいだぞ」

 嬉しそうな声でそう言われて、自分の右手を見てみるとあら不思議。なぜか離れまいと言うかのようにダグの服を握りしめてました。

「なっ、なんで!?」

「本当は離れたくないんだろう? ユキは本当に可愛いな」

「う……可愛くないもん、僕はしたないもん……」

 はしたないからもうダグに可愛いって言われる資格ないもん……

「ユキがはしたないんだとしたら今は恥ずかしがらずに俺を誘っているだろうな。ユキははしたなくないしたとえそうだったとしても俺はそんなユキも愛するから何も問題はない」

「……大好き」

 欲しい言葉をくれるどころか、たとえ僕がどうあったとしても愛してくれると言うダグが愛しくてたまらない。ダグを好きになって良かったし、好きになってもらえて良かったって心から思います。

「俺もユキを愛している。だが次は是非とも俺の前でして欲しいな。俺に見られていることを感じながら1人で弄るユキは絶対に可愛い」

「ば、ばかぁっっ!!」

 さっきは感動したのに! じーんってきたのに! ばかばかばか、ダグったらやっぱり変態だよう……

「はは、やっぱり駄目か?」

「……僕ばっかり恥ずかしいもん……」

「ん? ならば俺も1人でするユキを見ながらするか? これなら俺も恥ずかしいぞ」

 僕を見ながらダグも……ってダグが自分で自分のあれを僕の目の前で触るってこと……!? ギラギラした目で僕を見ながら手を動かすダグ……そ、そんなのえっちすぎる! だめだめだめ!!

「絶対僕の方が恥ずかしいからやだ!」

「くく、それは残念だ。気が変わったら言ってくれ」

「変わんないもん!」

 ぜっったいにそんなえっちなことしたくなんてならないんだからね!!
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