あの人と。

Haru.

文字の大きさ
393 / 396
After Story

閑話 2人の相性は奇跡的?

しおりを挟む
 ある春の日の夜、ふと日本での新婚ならではの3択を思い出して、ダグならどんな反応するかなってちょっとやってみたくなった僕はダグに提案してみた。

「ねぇダグ、僕新婚さんごっこしてみたい」

「……新婚の頃に戻りたいほど今の関係に飽きたのか?」

 一瞬でダグの目から光がなくなって、何かを魔法収納から取り出したのをみて慌てて否定します。……チラリと見えたのがすごく頑丈そうな鎖っぽかった気がするけど絶対見間違いです。絶対見間違いだから……!!

「そ、そういうわけじゃないよ! 日本ならよく聞くけど、結婚してからしたことなかったなーって思ったからやってみたくなっちゃったんだ」

「俺に飽きたわけじゃないならなんでも付き合うぞ。俺はどうしたらいいんだ?」

 ダグの目に光が戻ってホッとひと安心。……これ絶対僕の返事次第で監禁されてたやつだよ。

「一旦部屋の外に出て、1分したら仕事から帰ってきて疲れてる体で戻ってきてほしいな。そしたら僕がお決まりのセリフを言うから自由に反応してね」

「……わかった」

 不思議そうにしつつも部屋の外に出たダグに僕はニンマリ。急いで魔法鞄からダグに買ってもらったフリフリのエプロンを引っ張り出して装着したら準備は完了です!

「──ただいま、ユキ。今日の訓練はなかなか疲れたな」

「おかえりなさい! いつもお仕事お疲れ様」

「ああ、ありがとう」

 そっと抱き上げられて、僕はダグの首に腕を回してこてりと首を傾げつつ。

「ね、ご飯にする? お風呂にする? それとも……僕にする?」

 どんな反応するかなぁって思っていると、いつのまにかベッドに押し倒されてました。かつてないほどの早業です。

「ユキにする」

「ふふ、いいよ。召し上がれ?」

 ちゅって触れるだけのキスをすると、ギラギラと獣のような目になったダグにガブリと齧りつかれて──美味しく食べられましたとさ。                  



「新婚さんごっこ、いいな。次は是非とも本当に訓練から帰ってきた時に頼む」

「も、もうやんない!」

 文字通り朝まで寝かせてもらえなかった僕はそう言ったけど……ダグが喜んでくれるならって、今度は本当に訓練から帰ってきたダグに仕掛けるのはそんなに遠くないお話。



* * * * * * * * * *




 今日は恒例の女子会です。僕は新婚さんごっこのことでみんなに聞きたくなってザックリと説明しました。

「──ってことをしたんだけどさ、新婚さんごっこのことを提案したときダグの目から光が消えて、一瞬すごい頑丈そうな鎖みたいなの見えたんだけど……気のせいだよね?」

 同意して欲しくて言ったのにみんな目を逸らして無言です。かつてないほどに部屋が静まり返ってるよ。

 ……お願いだから同意してよぉ!!

「同意して……!!」

「……ユキ、悪い事は言わない。一生ダグラスと別れることなんて考えるな」

「ダグラス様が狂わないようずっとダグラス様を想い続けてください」

「飽きたなんて間違っても言ってはいけませんよ」

「……いざって時に俺たちがどんなに手を貸してもユキを助けれる事はないと思うから、監禁されないようにね」

 ラスのバカ……!! みんな監禁って言葉は言わないようにしてたのにバッサリ言っちゃって……!

 うぅ、やっぱり下手したら監禁待ったなしだよね……あの時の目から光がなくなったダグ、流石の僕でもちょっとひぇってなったもん。

「僕、下手なこと言わないようにする」

「まぁユキならダグラスへの想いがなくなる事はないだろうし大丈夫だろ。万が一があったら神に助けてもらったらどうだ?」

「──流石の私もダグラスから幸仁を救うのは骨が折れるね」

「神様!」

 ひょいっと現れた神様はちゃっかりとラグに座ってリディアからお茶を受け取っている。神様でも手こずるダグって……

「ああ、楽にしてていいよ。──ダグラスの執着は神の私でも慄くほどに強い。あの執着を断ち切るのは正直地球とのゲートを作るより困難だろう」

 またもや部屋がシンと静まりかえりました。ダグの執着、想像以上に強かったようです。……それに喜んじゃってる僕も大概なんだろうなぁ。

「まぁ、幸仁の執着も同じだけ強いのだけど。私にはそれぞれの人間が何に対しどれくらい執着しているかがわかる。人には欲があるから、魂の半分以上を恋人や伴侶にむけていたら、それだけでも執着心が強い方だと言える。一般的な夫婦だと4割くらいが普通だからね。他は親や兄弟、お金や食べ物やお気に入りのものとか、そう言った細々としたことに対する執着心で埋められるわけだ。でも幸仁とダグラスはお互いが魂の9割方をお互いに向けている。ここまで執着心が強い2人が同じ時代に存在すること自体がまさに奇跡だよ。普通ならここまで執着心が強い人なんて相手から同じだけの熱量を向けられることがないから狂うことが殆どなんだけどね。幸仁とダグラスははっきり言って異常だよ」

 たしかに同時期に存在するのが奇跡レベルならお互いに出会えるなんてそれこそ天文学的確率くらいになってくるのかな。つまり僕達が出会えたのは運命ってことですね……! 

「……うわ、ユキ絶対喜んでるぞ」

「神に異常と言われても喜ぶとは……」

「ユキ様はダグラスとお揃いというだけで喜びますから。きっと今は同じだけ想ってもらえて嬉しいとでも考えていらっしゃいますよ」

「やっっっば……普通に怖いんだけど」

 みんなひどい……そんな「うわぁ……」って言わんばかりの顔で見ないでよ! 大好きな人に愛されてるって思ったら嬉しいじゃん!

「そうなんだよ、異常なんだよ。だけどまぁ、幸仁が幸せならいいかな、とね。幸仁が幸せである限り、この世界は豊かになるのだから」

「上手い具合に成り立っているのですね。もしや神子様が降臨する時代には必ず神子様と相性抜群な存在がいるとかでしょうか?」

「必ずというわけではないね。まぁ、それなりに相性がいい存在がいることが多いけれど、幸仁とダグラスほどの相性の良さは珍しいよ」

 つまりは神様が故意にダグを今のダグにして僕と引っ付くようにしたわけじゃなくて、ダグと僕も勝手に今の状態になったって事で……やっぱり僕たちは運命なのでは!? だって神様が神子ぼくの相手としてダグを作ったわけじゃないんだよ。それなのにお互いに普通とは違うのに相性抜群で、僕も幸せすぎるほど幸せになれて、そのおかげで世界にもいい影響を与えられて……もう運命以外の何物でもないよね!

「神様、僕をこの世界に連れてきてくださってありがとうございます! ダグと出会えて幸せです」

「ああ、うん。幸仁が幸せならよかったよ。ほんとにブレないねぇ……」

「えへへ、ダグのこと大好きですから」

 これはもう天地がひっくり返ろうとも変わりませんよ!

「ちなみにユキ様は本当に鎖で拘束されて監禁されたらダグラスへの想いは……」

「……変わんない、かな? あれ、ダグが鎖持ってようと別に問題ない気がしてきた……」

 あれ、普通監禁されたら嫌だと思うんだけど、なんかダグになら……って思っちゃうような……? たしかに暇を持て余して嫌になることはあるかもだけど、それがダグへの想いに影響するかというと……? 多分ダグは僕が暇しないようにあれやこれやって試行錯誤してくれる気がするし。

 ……監禁されても何も問題ない気がしてきました!!

「うっっわ……じゃあ助けとかいらないじゃん」

「……いらないかも?」

「相談してきた意味!! 俺たちとんでもない話聞かされただけじゃねぇか……!」

 アルがそう言いながらダンって床を叩いた。手痛くない? 大丈夫?

「あはは、ごめんね。よくよく考えたら問題なかったよ」

「ダグラスがやばい思考持ってるってことも、ユキもユキで大分やばいのも、知りたくなかったなぁ……」

「今すぐ忘れたいですが、衝撃が強すぎて……」

「……ユキ様、1週間おやつ抜きです」

「えー!! そんなぁ……」

 救いの手を求め、チラリとリディア以外のみんなに視線を向けると……

「まぁ、当たり前だな」

「むしろ軽いくらい」

「もう少し長くても良いのでは?」

「今回は幸仁が悪いんじゃないかな」

 うぅ……1週間おやつなし生活かぁ……毎日の楽しみなのに……これはもうダグに甘えて癒されないとね!!


 糖度増し増しな僕たちに耐えかねてリディアがおやつなし生活をやめるまであと2日。


しおりを挟む
感想 114

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

時間を戻した後に~妹に全てを奪われたので諦めて無表情伯爵に嫁ぎました~

なりた
BL
悪女リリア・エルレルトには秘密がある。 一つは男であること。 そして、ある一定の未来を知っていること。 エルレルト家の人形として生きてきたアルバートは義妹リリアの策略によって火炙りの刑に処された。 意識を失い目を開けると自称魔女(男)に膝枕されていて…? 魔女はアルバートに『時間を戻す』提案をし、彼はそれを受け入れるが…。 なんと目覚めたのは断罪される2か月前!? 引くに引けない時期に戻されたことを嘆くも、あの忌まわしきイベントを回避するために奔走する。 でも回避した先は変態おじ伯爵と婚姻⁉ まぁどうせ出ていくからいっか! 北方の堅物伯爵×行動力の塊系主人公(途中まで女性)

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

処理中です...