あの人と。

Haru.

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After Story

閑話 if 幸仁が本当のショタになったら(2)

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「……リディア、あのテーラーにボーナスを出そう」

「ええ、私もそう思っていました」

 ……着替えが終わりました。今の格好は、フリフリのドレスシャツ、繊細なレースが縫い付けられた膝が丸出しのサスペンダー付きのショートパンツ、膝下までの白い靴下に靴は編み込みのショートブーツ、そして肩から白いフード付きのケープを羽織ってます。ちなみに髪の毛は長さは体の大きさに対してそのままって感じだったから、リディアが張り切ってお団子2つにして根元をレースのリボンで飾り付けられました。

「ユキ様にはやはりかっちりとした上着よりもこうした柔らかな印象の上着が似合いますよね」

「ああ、そうだな。それに膝が出ているのもいい。この丈が許されるのは幼い頃だけだよな。まぁユキの場合は大人の姿でも膝を出していても可愛いが」

 ねぇねぇ、それって大人の姿でも僕の姿が子供っぽいってこと? ……まぁいいや、今の僕は子供。そんなことには気がつかないのです。

「えへへ、ぼくそとであそびたいな。だめ?」

「ぐぅっ……! 可愛い過ぎる……外で遊ぶのはいいが、俺たちから離れるなよ。今のユキだったら容易に攫われてしまう」

「……あい」

 ダグのテンションがおかしい気がするけど気にしないことにします。

 転けたら危ないからと、ダグに抱っこされて部屋から出ると護衛の騎士さんたちがざわり。

「ユ、ユキ様……!? そのお姿は……!」

「騒ぐな。おそらく神の悪戯だ。ユキが外で遊びたいようだから行くぞ」

「は、はい!」

 ダグがスタスタと歩き始めると騎士さんたちもついてきたけど、うしろからボソボソと「可愛すぎる」とか「あれは反則だ」とか聞こえます。この世界の人小さい人好きすぎない? 自分達が大きいからかな? ためしに騎士さん達に手を振ってみます。あ、顔がデレっと溶けた。うーん、やっぱりこの世界の人に幼児の姿は効果抜群なようです。

「ねーねーだぐ」

「どうした?」

「そとでなにする?」

「ボールか何かで遊ぶか? 鬼ごっこはいいがかくれんぼは駄目だぞ、1人になってしまうからな」

「ん! ボールであそんでみる」

「では私はボールをご用意してまいります」

 リディアが先に行って、僕たちはのんびり庭へ向かいます。歩いてるのはダグだけどね。

 庭についてダグに下ろしてもらうとまずはサクサクと芝生を踏みしめて歩いてみる。いつもより地面が近いからなんか新鮮な感覚です。

「お待たせいたしました。ボールを持ってまいりましたよ。こちらですと軽くてユキ様にも持ちやすいかと思います」

「ありがと!」

 リディアから受け取ったボールは両手で持ちやすいサイズで、ちょっとプニプニしてます。ゴムでできたボールみたいな感じかな?

「これ、なぁに?」

「ん? ああ、スライムの粘液をある程度硬化させて作ってるんだ」

 スライム! なるほど、魔獣がいる世界だもんね、スライムとかがいてもおかしくないか。

「……これ、もうちょっとかたくしたら、クリームのしぼりきによさそう」

「……ユキ様、後で詳しくお話を聞いてもよろしいですか? 今の絞り器より便利なら開発して売りましょう」

「いいよ! ぼくもほしい!」

 お菓子作りが楽になるなら僕も嬉しいからね!

「よし、じゃあ今は遊ぶか。投げるか? 蹴るか?」

「……へたでもわらわない?」

 僕運動音痴だから絶対まっすぐに投げられないし蹴れないよ。それでも笑われないかなぁ。

「笑わないぞ。ほら、あいつに向かって投げてみろ」

「ユキ様いつでもどうぞ」

「ん~、えいっ!」

 案の定斜めに飛んじゃったけど、騎士さんがシュバッと動いてキャッチしてくれました。思わず拍手しちゃうくらいの見事な動きでした!

「すごーい! でもやっぱりぼくへたっぴ」

「大丈夫だ、俺は正直後ろに飛んでいくんじゃないかと思ってた」

「ひどい!」

 確かに僕は運動音痴だけど酷い! そんなふうに思ってたなんて! ……あっ、だからリディアが後ろにいるの? 2人して酷い!

「くっくっく……悪い悪い。ほら、あいつがボールを投げてくるぞ。取れるか?」

「がんばる!」

「いきますよー! それ!」

 さっきボールを取ってくれた騎士さんが僕が取りやすいようにゆる~く投げてくれて、僕は気合を入れて取ろうとしたけど、ボールはするりと手を抜けちゃいました。コロコロと転がるボールがなんだか虚しいです。

「あぅ、とれなかった……」

「惜しかったじゃないか。ほら、今度はあいつに投げてみろ」

「うん!」

 その後はダグも騎士さんの方に混ざって僕が投げたボールを受け取ってくれたり、僕が取りやすいように投げてくれたり……僕がちゃんと投げられたり取れたりする確率はかなり低かったけど、ダグが僕をヨイショしてくれるから気分が落ちることはなく楽しく遊べました!


 暫く遊んでいるとリディアが敷物を敷いて、お茶の用意をしてから僕を呼んだ。

「ユキ様、そろそろこちらで休憩致しましょう」

「うん!」

 靴をダグに脱がせてもらって敷物に上がると、リディアが全身を浄化してくれました。綺麗になった手でクッキーを掴み、夢中になって食べます。子供の姿になってからお菓子がいつもより美味しいのです。

「ユキ様、お飲み物もどうぞ」

「ありがと!」

 リディアがダグにグラスを手渡し、ダグがクッキーで手が塞がってる僕の代わりに口にグラスを当てて飲ませてくれます。甘やかされてるなぁ。ちなみに飲み物は蜂蜜レモン水。いつもよりすこーし甘めで子供な僕の舌にもピッタリです。

 体を動かして遊んで、クッキーでお腹を満たし、飲み物で喉の渇きも潤し……幼児の僕、非常に眠いです。クッキーを持ちながらこっくりこっくりと船を漕いじゃいます。

「ユキ、眠いのか?」

「んぅ……」

「ふふ、沢山遊ばれましたからねぇ。少しお昼寝いたしましょうか」

 リディアが僕の手からクッキーを取り、ダグが僕を膝の上に乗せてトントンと背中を叩き始めると一瞬で記憶はなくなりました。幼児の身体、恐るべし。……あれ、普段からダグに抱きしめられると僕一瞬で寝てるっけ……まぁいいや……ぐぅ。



 目が覚めると部屋に戻っていて、ブランケットの中でダラスに抱きついてました。今の僕、ダラスと同じくらいの大きさ? うぅむ、なんとも抱きつき甲斐のある大きさ……ふわふわに埋もれて気持ちいいです。

「起きたか。飲み物はいるか?」

「んぅ……のむ……」

「ではこちらを」

 ダグに支えてもらいながら果実水を飲んだらダグとのイチャイチャタイムです! とはいえ今の僕はちびっこだからいつもみたいにはいかないけど……

 すりすりと擦り寄ると、ダグがチュッチュッと頬とか額とか目尻とかにキスを落としてきてくすぐったくて身を捩っちゃいます。

「やっ、くすぐったぁい!」

「……ダグラス、まさか貴方今のユキ様に欲情するなんてこと……」

「あるわけないだろう。俺はそんな外道ではないぞ。今のユキに湧くのは庇護欲くらいだ」

「なら良いのですよ。今のユキ様に無体を強いたら私が責任を持ってぶちのめしますので」

「だぐ、りでぃあ、ぼく、なかみはおとなだよ?」

「……頼むからその姿の時は子供でいてくれ……!」

「そうですよユキ様。そのお姿で性的なことを匂わされるとこちらが困惑してしまいます」

「はぁい」

 なら大人しくしてます。でも、この姿になってから性欲を感じることがないからか、いつもみたいにダグにドキドキする感じがないから大丈夫だけどね。もちろん変わらず大好きだし、触れ合ってると安心するけど、大人のキスをしたいとかえっちしたいとかそういうのが皆無です。身体につられてるんだろうなぁ。

「そういうのは元の姿に戻ってからな」

「うん」

 今はただの子供としての生活を楽しみましょう!

 ……ところでいつ戻るんだろ?
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