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【資料A-01】
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薄暗いバーの店内。
ユウゾウは、仕事の疲れを酒で癒していた。
石塚ユウゾウ。
職業は探偵。
残念ながら、名探偵と呼ばれた事はない。
本人も自己評価をそこまで高くは見積もっていない。
身辺調査や"失せもの探し"を生業にしている探偵だ。
今週は夫の浮気を疑った女性の依頼で、依頼者の夫を尾行し続けて一週間。
夫は清廉潔白、ただの多忙で家庭を蔑ろにしていただけ。
明日は事務所で缶詰になって、追跡報告書を作成しないといけない。
毎日がこんな感じだ。
フィクションの世界に居るような探偵は、しょせん空想の産物だ。
このバーは、彼のいきつけ。
カウンター席だけの小さなバー。
広さは2、4畳程度。
入り口から奥へと伸びた、正に"ウナギの寝床"な店内。
そんな室内は黒一色に統一され、間接照明で仄かに照らされている。
基本的に来客は常連客ばかりで、大人数が来る様な事もない。
静かに邪魔されず、酒を嗜む店。
そんな雰囲気をユウゾウは気に入っている。
探偵の仕事終わりは、こうした大人の場所で物静かに酒を呑むものだ。
それが、探偵ユウゾウの心に隠した美学。
静寂さが売りの店だが、時には意気投合して呑み交わす事もある。
居酒屋で大学生たちが騒ぐような酒盛りではない。
"珍しい物"を手に入れた常連がバーへ持ち込む。
いつもは各々で好き勝手に過ごしていた客達が、それを肴に集まって呑む。
"珍しい物"といえば…。
名酒。
希少酒。
珍味。
一級品の食材。
そして、"会話のネタ"。
その晩、ソレを"持ち込んだ"のは誰だったか?
最初はマスターと誰かが、その話題で盛り上がっていた。
その輪は徐々に広がり、不意にユウゾウへマスターが話を振って来る。
"今まで出会った不思議な事。"
それが、バーカウンターに置かれた"今夜の肴"であった。
マスターが新しく仕上げたカクテルをカウンターへ差し出しつつ、ユウゾウへ声をかける。
「ユウゾウさんなら、あるんじゃない?
探偵だし、元は警察官だろ…?
心霊系とか、超常現象とか?
一度は経験してんじゃないの…?」
「…いゃぁ、まったく無いな。」
ユウゾウは、ウイスキーグラスを手の中で回しつつ、きっぱりと断言する。
寸胴で短いグラスの中で、丸く削られた氷が転がり、涼し気な音を響かせた。
「だいたいさぁ~、そんなの信じてないモン、俺。」
「ええー~っ?警察と探偵やってたら、こうした話のひとつやふたつあるでしょ…?」
手が空いたマスターは、ユウゾウの前に移動すると苦笑いをした。
「いや、ホントっ☆ 無いっ♪ 無いっ♪ これっぽっちもっ♪♪」
ユウゾウは拝む様に片手をあげ、何かを払う様に横へ振った。
「そうかぁ~…っ、つまんねぇなぁ~っ。」
片眉を上げて、マスターはユウゾウに意地悪そうな笑みを向けた。
「…じゃ、アミリさんは、何かエピソードあるぅ…??」
マスターはカウンターの端に座っている女性へ声をかけた。
ユウゾウから椅子一つ空けた店内の一番奥にいる女性。
ユウゾウは、仕事の疲れを酒で癒していた。
石塚ユウゾウ。
職業は探偵。
残念ながら、名探偵と呼ばれた事はない。
本人も自己評価をそこまで高くは見積もっていない。
身辺調査や"失せもの探し"を生業にしている探偵だ。
今週は夫の浮気を疑った女性の依頼で、依頼者の夫を尾行し続けて一週間。
夫は清廉潔白、ただの多忙で家庭を蔑ろにしていただけ。
明日は事務所で缶詰になって、追跡報告書を作成しないといけない。
毎日がこんな感じだ。
フィクションの世界に居るような探偵は、しょせん空想の産物だ。
このバーは、彼のいきつけ。
カウンター席だけの小さなバー。
広さは2、4畳程度。
入り口から奥へと伸びた、正に"ウナギの寝床"な店内。
そんな室内は黒一色に統一され、間接照明で仄かに照らされている。
基本的に来客は常連客ばかりで、大人数が来る様な事もない。
静かに邪魔されず、酒を嗜む店。
そんな雰囲気をユウゾウは気に入っている。
探偵の仕事終わりは、こうした大人の場所で物静かに酒を呑むものだ。
それが、探偵ユウゾウの心に隠した美学。
静寂さが売りの店だが、時には意気投合して呑み交わす事もある。
居酒屋で大学生たちが騒ぐような酒盛りではない。
"珍しい物"を手に入れた常連がバーへ持ち込む。
いつもは各々で好き勝手に過ごしていた客達が、それを肴に集まって呑む。
"珍しい物"といえば…。
名酒。
希少酒。
珍味。
一級品の食材。
そして、"会話のネタ"。
その晩、ソレを"持ち込んだ"のは誰だったか?
最初はマスターと誰かが、その話題で盛り上がっていた。
その輪は徐々に広がり、不意にユウゾウへマスターが話を振って来る。
"今まで出会った不思議な事。"
それが、バーカウンターに置かれた"今夜の肴"であった。
マスターが新しく仕上げたカクテルをカウンターへ差し出しつつ、ユウゾウへ声をかける。
「ユウゾウさんなら、あるんじゃない?
探偵だし、元は警察官だろ…?
心霊系とか、超常現象とか?
一度は経験してんじゃないの…?」
「…いゃぁ、まったく無いな。」
ユウゾウは、ウイスキーグラスを手の中で回しつつ、きっぱりと断言する。
寸胴で短いグラスの中で、丸く削られた氷が転がり、涼し気な音を響かせた。
「だいたいさぁ~、そんなの信じてないモン、俺。」
「ええー~っ?警察と探偵やってたら、こうした話のひとつやふたつあるでしょ…?」
手が空いたマスターは、ユウゾウの前に移動すると苦笑いをした。
「いや、ホントっ☆ 無いっ♪ 無いっ♪ これっぽっちもっ♪♪」
ユウゾウは拝む様に片手をあげ、何かを払う様に横へ振った。
「そうかぁ~…っ、つまんねぇなぁ~っ。」
片眉を上げて、マスターはユウゾウに意地悪そうな笑みを向けた。
「…じゃ、アミリさんは、何かエピソードあるぅ…??」
マスターはカウンターの端に座っている女性へ声をかけた。
ユウゾウから椅子一つ空けた店内の一番奥にいる女性。
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