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第25話 ラックサスカの頂点 対 底辺
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信じられないことが起きた……
マオが魔法を使った……
俺がグドラスに向けてファイアボールを放った後に同じようにおそらく俺をマネして放ったのだろう……
しかも威力は俺の以上だ……
マオのファイアボールの炎に包まれたまま、グドラスは身動きをしていない、倒してしまったのか。
家の中などで様子を伺っていた、街人達が次第に集まりだしてきた。
「ラジアムの子が侵入者を倒しちまったぞ」
「あの子まだ8ヶ月くらいだろ……とんでもない才能だぞ」
ざわついてきた。みんなマオのことで盛り上がっている……
抱っこしているマオは疲れたのか眠そうにしている。周りの視線なんて気にも止めない大物の風格ってやつか……
みんなお前のこと、すごいって言ってるんだぞ……
ララジアが俺の元に寄ってきた。
「すごいものを見せてもらったよ、マオちゃんはあの魔法よく使うのかい?」
「いや、さっきのが初めてです……その前に俺が使ったファイアボールをマネたのかも……」
「はぁぁぁ……たまげたねぇ、そりゃすごいや」
ラピュアが心配そうにマオを撫でた。
「マオ……こんな小さいのにすごい力持ってて、これから大丈夫かな……」
「そのために俺がいるんだ、マオはしっかり育ててみせる」
「お酒は程々にしてね」
ラピュアのツッコミに周りの住人が一斉に笑った……
団欒の中に先に捕まえた男も混じっていた。
ララジアさん、どうせ大丈夫だからって捕縛までといたのか……
その男も輪に入り笑っている。
「本当に人間も魔獣も変わらないんだな、今まで知らなかったよ」
男は笑顔で、俺にそう伝えてきた。
やっぱり一緒に居さえすれば人間と魔獣は分かり合えるんじゃないか……?
「なぁ、もしよかったら家族と一緒にここで生活を考えてみないか?」
もっと理解してくれる人が増えれば今後人種の壁をなくせるかもしれない……
「この街に? 家族でか……」
「みんないい奴らだし、悪く無いと思うぞ」
「うちの嫁さんがなんていうかな……でも考えて……」
男の表情が変わった。
「危ない!」
咄嗟に男は俺をかばうように俺を押し退ける。
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
悲鳴だ……
男に押されて反応が遅れてしまった……なんだ? 何が起きた?
男の方に顔を向けた。
「……!?」
男は背中から剣を突き刺され、剣先が腹から出ている。
「邪魔が入ったか……」
グドラスだ……生きてたのか……
マオの炎に飲まれたと思ってたがこんなことになるなんて……
グドラスは剣を振り払い、刺さった男を地面に投げ飛ばした。
「大丈夫か!?」
男の元に駆け寄った、回復が間に合うか?
《ヒーリング》
男の身体は白い光に包まれ、グドラスに刺された傷口は塞がっていく。
ゲホッ……ゲホッ……
男が血を吐いた。遅かったか……
表面的な傷は回復したが、致命傷になった内臓の治療か追いつかなかった……
「メルリナ……トマス……」
男は掠れるような声で呟いた、奥さんと子供の名前か……?
そしてそれが最後の言葉だった……
こいつ、俺を守るために……
待ってる家族もいたんだぞ……
「ラピュア、マオを頼む……」
「えっ、うん」
戸惑うラピュアにマオを預け、シルフィードを鞘から抜いた。
待人達は俺とグドラスから距離を置いて見守っている。
グドラスは剣を構え、俺と真っ向から戦うつもりのようだ。
俺が、もっと周りを見てれば、あの男はやられずに済んだのに……
もうこれ以上誰も失いたく無い……
俺がこの街を守るんだ!
身体がぼんやりと光だした。
これは……前に覚醒したとかと同じ感覚だ……
心臓から魔力が溢れてくる感覚。
今回はあの時以上に身体に力が溢れてくる感じがする……
「多少変化したところで所詮、レベル2だ! そんな奴にこの俺が負ける訳ないだろ!」
グドラスが向かってきた。
《三日月》
凄まじい速度と力で剣を振り下ろすことで、空間を切り裂き、三日月の様な跡を残させる、グドラスの得意技だ。
ラックサスカのハンターなら誰でも知ってる様なグドラスの代名詞的な技だが、今の俺なら……
足に魔力を込めて素早く横に移動した。
回避する俺をかすめる様に三日月の跡が真横の空間に残った。
間一髪だった……でもあのグドラスの攻撃をかわせた。
「舐めるな! 貴様ごときが!」
グドラスの怒号が俺に向かってきた。
ベテランのプライドか……
すごい気迫だけど、俺には守るものがあるんだ、絶対に負けられない!
「これで終わりだ!」
グドラスが大剣を両手で構える。
《新月》
三日月よりもさらに速く、超高速で剣を振り下ろしてきた。
これに合わせる。
俺の身体中の魔力を集中させ爆発させる。
グドラスの剣よりも速く、そして強い一撃を!
グドラスの振り落とした剣は地面に刺さり、剣技の威力で地面にヒビが入った。
俺はグドラスの背中側に立っていた。
手応えはあった……
街人は息を飲んで見守っている。
「まさか……この俺が、ラックサスカで一番の雑魚に……」
グドラスは倒れ込んだ。
グドラスが大剣を振り落とす前に胸部に一撃入れてやった。
「おい、やったぞ、ラジアムが侵入者を倒した!」
静かだった周りもざわざわと騒ぎ出した。
ようやく、俺は自分の『愛情』資質のことがわかってきた、この資質は誰かを守る時に本来の力を発揮する資質なんだ。
グドラスを倒せるほどの力が発揮できるのか……
ララジアさんが言ってた通りこの資質、強いのかもしれない。
マオが魔法を使った……
俺がグドラスに向けてファイアボールを放った後に同じようにおそらく俺をマネして放ったのだろう……
しかも威力は俺の以上だ……
マオのファイアボールの炎に包まれたまま、グドラスは身動きをしていない、倒してしまったのか。
家の中などで様子を伺っていた、街人達が次第に集まりだしてきた。
「ラジアムの子が侵入者を倒しちまったぞ」
「あの子まだ8ヶ月くらいだろ……とんでもない才能だぞ」
ざわついてきた。みんなマオのことで盛り上がっている……
抱っこしているマオは疲れたのか眠そうにしている。周りの視線なんて気にも止めない大物の風格ってやつか……
みんなお前のこと、すごいって言ってるんだぞ……
ララジアが俺の元に寄ってきた。
「すごいものを見せてもらったよ、マオちゃんはあの魔法よく使うのかい?」
「いや、さっきのが初めてです……その前に俺が使ったファイアボールをマネたのかも……」
「はぁぁぁ……たまげたねぇ、そりゃすごいや」
ラピュアが心配そうにマオを撫でた。
「マオ……こんな小さいのにすごい力持ってて、これから大丈夫かな……」
「そのために俺がいるんだ、マオはしっかり育ててみせる」
「お酒は程々にしてね」
ラピュアのツッコミに周りの住人が一斉に笑った……
団欒の中に先に捕まえた男も混じっていた。
ララジアさん、どうせ大丈夫だからって捕縛までといたのか……
その男も輪に入り笑っている。
「本当に人間も魔獣も変わらないんだな、今まで知らなかったよ」
男は笑顔で、俺にそう伝えてきた。
やっぱり一緒に居さえすれば人間と魔獣は分かり合えるんじゃないか……?
「なぁ、もしよかったら家族と一緒にここで生活を考えてみないか?」
もっと理解してくれる人が増えれば今後人種の壁をなくせるかもしれない……
「この街に? 家族でか……」
「みんないい奴らだし、悪く無いと思うぞ」
「うちの嫁さんがなんていうかな……でも考えて……」
男の表情が変わった。
「危ない!」
咄嗟に男は俺をかばうように俺を押し退ける。
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
悲鳴だ……
男に押されて反応が遅れてしまった……なんだ? 何が起きた?
男の方に顔を向けた。
「……!?」
男は背中から剣を突き刺され、剣先が腹から出ている。
「邪魔が入ったか……」
グドラスだ……生きてたのか……
マオの炎に飲まれたと思ってたがこんなことになるなんて……
グドラスは剣を振り払い、刺さった男を地面に投げ飛ばした。
「大丈夫か!?」
男の元に駆け寄った、回復が間に合うか?
《ヒーリング》
男の身体は白い光に包まれ、グドラスに刺された傷口は塞がっていく。
ゲホッ……ゲホッ……
男が血を吐いた。遅かったか……
表面的な傷は回復したが、致命傷になった内臓の治療か追いつかなかった……
「メルリナ……トマス……」
男は掠れるような声で呟いた、奥さんと子供の名前か……?
そしてそれが最後の言葉だった……
こいつ、俺を守るために……
待ってる家族もいたんだぞ……
「ラピュア、マオを頼む……」
「えっ、うん」
戸惑うラピュアにマオを預け、シルフィードを鞘から抜いた。
待人達は俺とグドラスから距離を置いて見守っている。
グドラスは剣を構え、俺と真っ向から戦うつもりのようだ。
俺が、もっと周りを見てれば、あの男はやられずに済んだのに……
もうこれ以上誰も失いたく無い……
俺がこの街を守るんだ!
身体がぼんやりと光だした。
これは……前に覚醒したとかと同じ感覚だ……
心臓から魔力が溢れてくる感覚。
今回はあの時以上に身体に力が溢れてくる感じがする……
「多少変化したところで所詮、レベル2だ! そんな奴にこの俺が負ける訳ないだろ!」
グドラスが向かってきた。
《三日月》
凄まじい速度と力で剣を振り下ろすことで、空間を切り裂き、三日月の様な跡を残させる、グドラスの得意技だ。
ラックサスカのハンターなら誰でも知ってる様なグドラスの代名詞的な技だが、今の俺なら……
足に魔力を込めて素早く横に移動した。
回避する俺をかすめる様に三日月の跡が真横の空間に残った。
間一髪だった……でもあのグドラスの攻撃をかわせた。
「舐めるな! 貴様ごときが!」
グドラスの怒号が俺に向かってきた。
ベテランのプライドか……
すごい気迫だけど、俺には守るものがあるんだ、絶対に負けられない!
「これで終わりだ!」
グドラスが大剣を両手で構える。
《新月》
三日月よりもさらに速く、超高速で剣を振り下ろしてきた。
これに合わせる。
俺の身体中の魔力を集中させ爆発させる。
グドラスの剣よりも速く、そして強い一撃を!
グドラスの振り落とした剣は地面に刺さり、剣技の威力で地面にヒビが入った。
俺はグドラスの背中側に立っていた。
手応えはあった……
街人は息を飲んで見守っている。
「まさか……この俺が、ラックサスカで一番の雑魚に……」
グドラスは倒れ込んだ。
グドラスが大剣を振り落とす前に胸部に一撃入れてやった。
「おい、やったぞ、ラジアムが侵入者を倒した!」
静かだった周りもざわざわと騒ぎ出した。
ようやく、俺は自分の『愛情』資質のことがわかってきた、この資質は誰かを守る時に本来の力を発揮する資質なんだ。
グドラスを倒せるほどの力が発揮できるのか……
ララジアさんが言ってた通りこの資質、強いのかもしれない。
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