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新生!華神一族の襲来
7P
しおりを挟む皆と同じ忍装束。胴体の部分は青みがかった濃い灰色で腕とひざから下の部分が黒、背中には丸の中に“風”と白で刺繍されている。
俺はこの家紋のような背中の刺繍が格好よくて大好きなんだ。肩甲骨の上のあたりに小さく刺繍されていて、あんまり見えないんだけどね。
俺も和之さんも髪が長いから、丁度結った髪で文様が隠れる。和之さんの髪をそっと避けて見ようとしたら「どうされましたか?」って振り向かれた。残念。
「いえ……俺がこの忍装束を着るのは、きっと最初で最後なんだろうなぁと思って」
「いいえ、決してそんなことはありませんよ。大丈夫です、自信を持ってください」
「……頑張ります」
和之さんは俺に柔らかく微笑むと、またすぐに険しい顔で前の襖と後の障子を交互に睨みつける。
どっちから来るか、もしくは忍らしく天井裏や床下から来るか。こればっかりは誰にも見当もつかない。
閉めきっているから、近づいてくる足音や気配を頼りにするしかない。だけどそれらを隠さずに来るなんてまずあり得ない。
あぁそうか、見えないんだったら――
「襖も障子も、全開にしてしまいましょう」
「な、な、なぜですか!?」
いきなり立ち上がったかと思えば庭側の障子をスパーンッ!と全開にした俺に、和之さんは慌てふためく。
振り返ってニッと笑った俺はさらに和之さんの前を通って母屋側の襖を同じように全開にすると、元の彼の背後に収まる。
「どうせここに敵が来るのが分かっているのなら、見えないよりも見えた方がいいでしょう?跳び具が来ても避けられます」
危険な行為だってことは百も承知だ。それでも、時には危険を顧みないことだって大事だと思うからこういう行動に出たんだ。
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