ナクシモノ探し

那月

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バカ兄弟は興味津々

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「去年、私の兄がナクシモノ探しに参加したきり帰ってこないんです。お2人の1つ上、去年3年だった佐倉一之助という男子生徒、知りませんか?」


 全く興味がなくて自分のクラスの生徒の名前すらロクに憶えていない2人だが。一応記憶の中の顔と名前を思い出してみても“佐倉一之助”という男子生徒は記憶の中にいなかった。


「ただの家出とかじゃなくて?」


 そう問うてみても、茜は力なく首を横に振る。茜の兄、一之助はとても正義感が強くまじめで明るく優しい。満場一致で生徒会長にもなったくらいの、これぞ主人公的な人。


 そんな一之助が誘拐されることはあっても、家出なんてありえない。


「警察にも届け出は出しています。でも……兄の痕跡はもう何もないんです。全て。何もかも、私以外誰も、何もわからないんです。まるで皆、兄を知らないみたいに……」


「へぇ。なんだかミステリーだね。詳しく話を聞かせてよ」


 2人の表情が、ほんの少しだけ変わったのに茜は気づいただろうか?


 顔には微笑が張り付いている。けれどヒスイ色の瞳の奥には鋭い光。何か気になることがあったのか?それとも、茜の必死に話す姿に少しは同情し真剣に聞いて慰めてやろうかと考えているのか。


 震える唇が閉じ、グッと奥歯に力が入った茜は目を閉じた。小刻みに震える肩。自分がどれだけおかしなことを言っているのかはわかっている、それでもこれは事実。再び、唇が開いた。


 茜の兄の佐倉一之助という男はこの地球上には存在しない。それが、警察が導き出した結果だった。


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