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バカ兄弟の兄、泉悠馬
7P
しおりを挟む「茜ちゃんって不思議だよね。というか変な子?ナクシモノ探しで失踪したお兄さんを探すためだとは言ってもさ、会ったこともない俺達の彼女になるために転入までするんだから」
「お兄ちゃんのことが大好きなんです。お母さんは私が小さい時に事故で亡くなって、お父さんは家計を支えるために難しい仕事をしているので、私のことはお兄ちゃんが育ててくれたから」
「兄であり親代わり。茜ちゃんにとってはなくてはならない存在だったんだね」
「私、お兄ちゃんに何も恩返ししてない。ありがとうも言ってない。だから、感謝を伝えるために探すんです」
「お兄さんに幸せになってほしいから。消えた2人……ううん、3人が生きていると信じて探すんだね」
「っ!……やっぱり、そのことまで知ってるんですね。悠馬さんと采鹿さんも私と同じようにナクシモノ探しのことを調べている。でも、まだ教えてはくれない?」
茜がウトウトし始めた頃。悠馬は彼女の頭を撫でながらポロリと呟いた。
一瞬にして目が覚めた茜は穏やかな表情の悠馬を見上げ、そしてうつむく。その悲しげな顔で「ごめん」と言われれば嫌でも悟ってしまう。
彼らは茜の兄のことを知っている。去年のナクシモノ探しのことを調べ、茜よりも真相をつかみつつある。
だからこそ、今はまだ茜には明かさない。その情報は茜を傷つけてしまうとわかっているから。好きだから、守りたい。
「聞きたい……知りたいです、知ってること。それに、本当の悠馬さんのこと。私も好きだから。話してほしい。私は、大丈夫……だから……次に起きた、ら……」
もう限界だった。ひとりでに閉じていく視界の中で、茜は最後まで愛しい悠馬の顔を見つめながら、けれど途中で力尽きて眠りに落ちた。
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