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バカ兄弟の秘めたるナクシモノ
11P
しおりを挟む「あーもーうるさいわコタさん。ほらほら、無駄吠えしとらんで体力温存せなあかんで?過去最速タイム叩き出したるんやっ」
「なっ奈緒!?ちょっ、やめ……く、首絞まる……っ」
嫌がらせで肘掛け扱いする悠馬にいちいちキレる虎太郎。大丈夫、いつものことだ。奈緒も慣れている。
身構えて悠馬に飛びかかろうとした虎太郎の首根っこをつかんで、奈緒は苦笑しながら引っ張り上げる。何とも情けない、かわいそう?
というか奈緒、過去最速タイムって。人間が消える恐ろしいものだが、これでも肝試し。ナクシモノ探しはするだろうが、移動を猛ダッシュでタイムを競うものではない。
それにカップルで参加するものなのだからもっとこう、ムードを意識して思い出作りとか。という茜の思いは、がっつり体育会系の2人には届かなかったようで。
「参加するんなら教えてくれたらよかったのに。え、急に決まったの?」
「部活の後輩達がな、『コタさんは夏休みのほとんど潰してきてるから」って気ぃ使うてくれたんや。今度行ったら何か差し入れせなあかんなぁ?」
「そうだな。まぁ、夏の大会も終わったし。全国行けなかったのは残念だけどさ、ちょっと気が楽になったぜ」
剣道部は男子女子、個人も団体も決勝敗退。去年の全国優勝校が今年も、連覇を狙って虎太郎達を叩きのめした。
そこで奈緒が「決勝の時のコタさん、なかなか格好良かったわぁ」と惚気だしたので虎太郎は赤面、茜は苦笑い。双子は一瞬驚いたのち、ニヤニヤ。
本当は奈緒自身も大会に、せめて県大会だけでも出たかっただろう。師範の隣で大声を張り上げて、全力で応援することしかできなかった。
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