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バカ兄弟と真実の事故
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しおりを挟む「橘先生……?」
微笑を浮かべ3人に手を振る中年の女性。理科の担当教師の、橘由宇だ。御年51の彼女は大学を卒業してからずっとこの明里学園に勤務している超古株。
「なかなかに優秀、反吐が出るほどに。なかなかに相思相愛、反吐が出るほどに。あぁ……あぁ、実にくだらないな」
冷たい蛇が背中を這った、かのようにゾッと悪寒が走った。橘の顔からは微笑が消え失せ、憎悪に染まる。吐き出された言葉が真っ黒い泥のようだ。
そう、この橘由宇こそがナクシモノ探しの主催者。だが彼女はれっきとした人間。人を存在ごと消したり怪奇現象を起こしたりできるはずがない。
なら、黒いモヤから現れた橘は人間ではないのか?考えている時間はない。闇にまみれた溜め息を吐いた橘は、茜を指さした。
「私を欺こうなどもってのほか。お前達がなぜあの2人のことをまだ覚えているのかは理解したくもないが、まぁいい。じきにお前達も同じことになるのだから」
「お、お兄ちゃん達を返してくださいっ!」
「くだらない。まずは身の程知らずの君から消そう。お前達双子が1番大切なのはこの茜だとわかっている。最愛の人が少しずつ、じわじわと消えていく様を目に焼き付けろ」
「「っ!!」」
「きゃっ!何これ……手が、足が……っ!」
ピシッと、金縛りのように3人の体が動かせなくなった。そして茜の両手足が先から順に少しずつ透けていく。
人間であるはずの橘は最初から3人をこの世から存在ごと消すことを決めていた。茜の兄、一之助や双子の初恋の相手、沙恵のように。
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