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ハートビート
10P
しおりを挟む「信じてるわよ。変に諦めが悪いし途中でやめることができないんだから、必ず“オレ”を見つけて“約束”を守ってくれるって信じてた。」
事実、彼は“オレ”を見つけてくれた。自分から率先して昔のアルバムを探ったって言っていたわね。
遅かれ早かれ、ノルは子供の頃のアタシとの“約束”に辿りついて果たしてくれる。でもその前に、彼はフライングをした。
「…………アタシね、子供の頃からノルが好きなの。最初は歳の離れた格好いいお兄ちゃんみたいな好きだったけど。この街を離れなきゃいけなくなった時に、この想いが恋なんだって気付かされた」
「その頃からすでに自分の体の性別に違和感があった?」
「強くて格好いい女性に憧れていたの。アタシ、メイクとか何もしなくても女と間違われるくらいだから。女の子に変身していると楽しいの。それに、どうしても綺麗で格好いい大人の女性にならなきゃいけないって思ってるから」
「ふぅん、なるほど。ならなきゃいけないって?周りの人達から女性として見てほしいってことじゃなくて?」
「自分がトランスジェンダーでも軽い方だってのはわかってるわよ。元々、子供の頃は今は女性としていたいとか男性としていたい時が気分であったから。どっちでもいたい。けど、ノルに出会ってからは女性でありたい理由が変わった。ノルは、容姿も性格も綺麗な大人の女性が好きだって聞いたから……」
「自分の体が男だからって諦めたくない。どうしても振り向かせたくて、彼の理想の女性になろうと、ね」
アタシは深くうなずく。ノルはイケメンの上の方にいるような人だから、女に困りはしない。実際そう。
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