ユキ・シオン

那月

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オモチャで遊んでやる

9P

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「ニャー……ニャー、ニャー」


「ん、なんだこのネコ?食いもんなら何にも持ってないぞ。オジサンはネコが苦手なんだ、あっちへ行け」


「ニャーッ!ニャッニャーッ」


「うおっ!?な、なんだよ急に飛びかかってきやがっ……お、追いかけてくんなっ!くそっ」


 ここは猫カフェじゃねぇし今は業務外。したがって、多少なら怪我をさせても良し。強硬手段だ。正しい道へと追い立てる。


 少しでも違う道に入ろうものならすぐに前に回り込んで引っ掻いてやる。俺は結構身軽だけどさ、つ、疲れがヤバい……


 すばしっこく動き回って、危うく踏まれかけたこともあった。その時はオッサンの方が早くてすぐに身を引いてくれたんだけどな。


 足元をチョロチョロして、追いかけ回して、たまに引っ掻いてきて、邪魔だろう?鬱陶しいだろう?


 なら正しい道を進みやがれっ!なぜか俺の攻撃への反応は素早いこのオッサン、運動神経と反射神経と動体視力はいいのか?なんてな。


 見ていて思ったんだが。このオッサン、本当はネコが苦手じゃないんじゃないか?本当に苦手ならもっと叫んだり、全力で嫌がるはずだろ。


 オッサンはそうではなく、不思議そうに俺を見つめる。猫カフェにいた時も、ネコを遠ざけてはいたが俺と遊んでいた時はどっちかというと楽しそうだったし。


「変な奴だ」


 それはこっちのセリフだ、アホ。つか、俺が白猫で良かったな?黒だったらこの夜の街じゃあ見えねぇだろ。



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