ユキ・シオン

那月

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真実と嘘と現実

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「はぁっ!!?ち、違うし!あいつには恋人がいるんだぞ。そ、それにあいつは命の恩人ってだけで…………ううん。そう、本気で失いたくない、大切な人だ。だから今度は俺が助けたい」


「そうかいそうかい。そりゃあますます、嬉しいねぇ。なら、何があってもその人の手を離していけないよ。最後まで希望を捨てず、諦めないことが大事じゃ。わかったかね?」


「はい。ありがとうばっちゃん。俺、スッキリした。俺が今何をすべきなのか、この先どうすればいいのかがはっきりわかったぜ」


 入院する前も後も、ばっちゃんが俺の前で苦しむ姿は1度も見たことがない。ずっと我慢してたんだ。


 俺もばっちゃんも、お互いがかけがえのない存在だから、心配をかけないように気を使っていた。そして、お互いが心の支えになっていた。嬉しいな。


 あぁそうだな、俺は先生のことが好きなんだと思う。すでに彼女がいるが、奪ってまで先生と両想いになろうなんて思わない。


 伝えるだけでいい。今までの感謝の気持ちと謝罪、この胸の中で生まれた先生への熱い想いを。勝手に好きでいたい。


 先生からいい匂いがしたのも、保健室で俺がおかしな行動をとってしまったのも。たぶん、俺が先生に惹かれていて、フェロモン的な独特の匂いに敏感になっていたからなんだろう。


 ばっちゃんに話して、諭されて気付いた本当の気持ち。大事にするよ。



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