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ハッピーバースデー
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しおりを挟む子供みたいにワンワン泣いて。「嬉しい」だとか「俺、こんなに幸せになっていいの?」だとか「夢みたい」だとか。他にも色々こぼして。
幸せになっていいさ。幸せにするために、俺と一緒に幸せになるために買ったんだ。夢なんかじゃないさ。なんなら深く口づけて、舌を噛んでやってこれが現実だってわからせてやろうか?
もらう方はそりゃあ嬉しいだろう。けどな、俺もすごく嬉しいんだ。シオンが全身で幸せだって言っていて、俺も幸せなんだ。
で、シオンは泣きながらリングケースにあるもう1つの指輪を取って差し出してきた。いや、泣き止んでからでいいぞ?
「グズッ……う、ズズッ……これ、俺の名前が入ってる。悠一の、俺が……」
「クスクス、震えてる。ほら、ここ……そうそう。そのまま入れていって………………あ」
涙に濡れた手で、俺の左手を持ち上げシオンのよりは大きい指輪を薬指へ。涙を止めるのを諦めたらしいシオンが真剣に、少しずつ指輪を奥へ押していく。
止まった。第二関節で。ギチッと、完全に止まった。
「え?」
「あぁー……いや、ほら。シオンの指のサイズとか手回しに必死になって自分の指を測り忘れてさ。ア、ハハハッ、ハハッ……」
笑って誤魔化せるか!?いや、うん、合わないんなら仕方ない。俺のだし、今日か明日にでも店に行って作り直してもらうさ。
痛いっ!?いっ、いたたったたたたたたっ!?なに、この激痛!?
「いけるいける。押し込めば何とかなる。関節を乗り越えればちょうどだろ。ローションでも使えば滑りやすくなるし、ほら、手伝えよ」
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