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蛇は卵を丸飲みします
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しおりを挟むもう夜!?睡眠薬で眠らされていたのか。いつにも増して上機嫌の、いつもよりも少しキーが高い彼らしくない声。
ガサガサッとビニール袋の音が近くでして、千川原の気配が真横に。
「本当はもっと早くに戻ってきたかったんだけどさ。ドクトルが僕の血を飲んで監視するもんだから大隈さんのことも勘繰られて。せっかく、医学の知識がない香さんは事故死だと思い込んでくれていたのに。ドクトルがまた調べ出したから痕跡を消すのが大変だったんだよ」
「やっぱり、大隈さんが死んだのは、お前のせいか……!」
「そうだよ?だってあの人、僕がネコヤンさんのことが好きなんだって言ったら顔色が変わってさ。熊のくせに妙にピリピリして僕のあとをつけてくるもんだから、この部屋も知られちゃってね。僕、大隈さんに殺されかけたんだ。正当防衛、だよ。僕は悪くない」
この前研究所で事故死したとされていた大隈さんは事故死ではなく、千川原に殺された。
そんなことを俺にベラベラとしゃべるのは、俺がこの先自由になることはないと確信しているためか。毒が抜けて回復したらこんな拘束なんか打ち砕いてこいつを香さんに突き出してやるんだが。
俺に力ではかなうはずがないとわかっている千川原。誰よりも得意な薬を使って、俺から自由を奪う。
大隈さんは図体が壁のごとくデカいし顔も怖いからよく怖がられる。だが心はとっても優しいんだ。きっと、千川原の俺への想いを知って俺を守ろうとしてくれたんだろう。
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