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ずっと見ていた
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しおりを挟む力が強すぎて誰とも会えない、今のシオンは昔の俺。「ゴホッ!」と咳き込めば、シオンの口から血が飛び出し体からは衝撃波のような力が俺達に襲いかかる。
俺やドクトルでさえフラつくほどの、強い力。シオンの体全体を包むように発光している淡い光は、いまだに消えない。それに、足元の血だまりがどんどん広がっていく。
シオンが気を失い倒れるのは時間の問題だ。俺は、ドクトルを突き飛ばして手を伸ばした。
姿がまるで別人になってしまっても、俺の名前を呼ぶ声は変わらない。「悠一、助けて」と伸ばされた褐色の手を、つかんだ。
「まさかシオン君が“クロノオウ”じゃったとは。今まで表に出なかったのはシオン君のことを思うてか、あやつらしい。しかしまだ未熟。強い心の躍動に惹かれるじゃろうが、今はまだ大人しくしておれ……」
つかんだのは、俺じゃない。シオンよりも少しだけ背が高い、香さん。の、分身が手をつかみシオンを抱きしめた。
ドンッ!ドンッ!と何度もシオンの体から衝撃波が放たれるが、耐える。俺の前に立ち片腕でとおせんぼをする香さんの口の端から、ツウと赤が流れ落ちた。
「「香さん……俺、は……」」
「かの“クロノオウ”が我が主と同じことになっていようとは、驚きを隠せぬよ。よい。わしが全てを語るゆえ、ゆっくり休んでおれ。夢の中で、2人で自己紹介でもしておればよい」
擬人化種のカースト1位、ひいては擬人化種の王である香さんが押されるほどの力。香さんの分身の足が消えかかっている。
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