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ユキ・シオン
8P
しおりを挟む俺は上げていた顔を下げて目を閉じ、ゆっくりたっぷり息を吸い込んだ。一旦止めて、ゆっくり息を吐く。もう1度繰り返して。やっぱりもう1回繰り返して、ようやく目を開け顔を上げた。
「俺も、猫屋敷悠一を死ぬまで愛するって誓う。幸せにしてもらうし、俺も悠一を幸せにする。悠一が1番だ。でも、俺は友達も大事だから、直也達の幸せのために頑張れることもやる。これからも、人間や擬人化種の友達を増やしていく。ニヒヒヒッ」
「せっかくちゃんと誓ってくれたのになぁ。最後がやっぱり、シオンらしいというか。まぁ、そういうブレないところも俺は好きだけどね」
笑った。
誓えた。ちゃんと誓いの言葉を、俺なりに言えた。お互いに、自分とお互いと、そしてばっちゃんへの誓い。
我慢して声も震えずに言えたけどさ、やっぱり最後に笑った時に涙がこぼれちまった。一筋、頬を伝い落ちて、俺は悠一の胸に飛び込んだ。
悠一が、握っている手をさらに上げたから。俺は「悠一、大好き!」なんて、心のままに叫んで。
普段なら外でなんて、近くに誰もいなくても人目を気にするから絶対に言わねぇけど。悠一が「あぁ、俺も大好きだよシオン」って、俺の体を受け止め包み込む。
お互いの背中に腕を回し、きつくきつく抱きしめる。ちょっと苦しいくらいだけどさ、温かくて、悠一の匂いがして。悠一の早い鼓動を感じて。
幸せだ。とにかく幸せで、笑顔が止まらない。
なぁ、ばっちゃん。俺達の近い、聞いてくれたか?今の俺達、見てくれているか?ばっちゃんがいなかったら、こうはならなかったんだぜ。
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