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主人マクベス
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しおりを挟む「いい匂いだ。かなりお腹すいたけど、待っているからナツメも風呂に入ってきなよ」
ちょうどマクベスがお風呂からあがってきた。なんだかスッキリした顔ね?なのにパジャマ姿だとものすごい凡人に見えてしまうのはなぜかしら。
「冷めちゃうわよ。それに作りたてを食べてほしいし、あたしは寝る前に入るわ」
「なら俺からの――主人の命令だ。晩飯を食べたら話したいことがあるから、あとでゆっくりできるように先に入ってきなさい」
「ん、卑怯ね。わかったわよ。言っておくけど、つまみ食いしちゃだめよ?わかるんだからね」
マクベスはあたしの肩を押してキッチンから押し出す。逆らえないことをいいことに、こんな時ばっかり“主人命令”を使うんだから。
マクベスの口から放たれた“主人命令”はあたしの体から自由を奪う。本当はそんなことをしたくないんでしょうけど、本当に大事な話だから使った。
微笑んで手を振る彼にアッカンベーをして部屋に戻り、着替えを手にお風呂場へ。
わざわざ時間を確保してでも話したいことって何だろう?悪夢が怖いから一緒に寝てほしい?いつも一緒に寝てるし。
好きな人ができたから相談したい?有り得ないわね。逆に告白された?大いにあり得る。
身長は高いしイケメンだし優しいし強いし、誰もが格好いいっていうマクベスは女子に人気だもの。でも、告白されても全員断ってる。
だって彼は永久の鬼追い。宿命がある以上、彼もあたしも隣にいるのはお互い以外他にいない。それが当たり前。壊すことはできない。
最初は痛かった背中も、もう痛くない。完全に塞がったようね。体を洗って、鏡に映るピチピチで若々しい自分の姿に見惚れる。なんて、そんなわけないでしょ。
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