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主人マクベス
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しおりを挟む「俺はイギリスで騎士をしていた。向こうでは突然現れるドラゴンと何年も戦っていたけど、ついに大国を巻き込んだ大きな戦争になって。相手国の人間とドラゴンを斬って斬って、斬り続けた」
「こっちでいう鬼ね。それに戦争って……」
「不眠不休。俺はほとんど意識もなく剣を振るい続け、気付いた時には人ではなくなっていた。ゴミのような人間を踏み潰し、つかんでは握り潰し口の中に放り込んでいた…………ドラゴンそのもの」
笑えない冗談ね。そう言ってやりたかったのに、彼の悲しげな金色の瞳が真実だとあたしを見つめる。
マクベスがドラゴン?ドラゴンなんてまだ見たこともないけど、そんな簡単に人間がなれるものじゃないでしょ!?
「俺が戦い続けていたドラゴンは、何らかの原因でドラゴン化してしまった国民だったんだよ。俺は、人間だった人達を殺していた」
当時のイギリスでは突然人間がドラゴンになってしまう病気が流行っていたってことになってるけど、どう考えても病気なんてレベルじゃないわ。
マクベスの場合はずっと長い間、戦争とドラゴンの討伐で戦い続けた疲労と。それから悲しみ、怒り、憎しみ。戦争とドラゴン化に対する感情の蓄積が爆発して変身しまったんだろうって。
自分自身がドラゴンになってしまった彼にも確証のある原因は未だにわからないらしいけど、彼が晴明様の元へ来てから少ししてイギリスでのドラゴン化は治まったんだって。
「でも、今も昔もマクベスはずっと人の形をしているわよね?」
「晴明様が鎮めてくださったんだよ。ドラゴンになってから俺は何百人も人間を、敵も味方も女子供も関係なく手当たり次第に殺し食らい続けた。仲間に銃を、剣を向けられ討伐される側に回った」
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