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動いた山は氷山の一角に過ぎない
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しおりを挟むカレスの上司、医療班長はかなりお年を召したおじいさん。皆からは「じいさん」とか「翁殿」とか、医療班の人達からは「班長」って呼ばれたりしてるわ。
腕以外の怪我は全てほぼ治ってるって。さすが、天才ドクター。本人の知識と技術も、医療魔法も凄腕なのよ。
病室に運ばれたラファルガ君は、麻酔が切れるあと1時間後くらいには目を覚ますらしい。
義手を作るなら腕のいい技師を紹介する、起きたら呼ぶようにと言って、じいじは病室を出ていった。あ、あたしは「じいじ」って呼んでるの。
ベッドの上で眠るラファルガ君。小柄だから、酸素マスクがやけに大きく見える。
「アキラさん大丈夫?急ぎたいのはわかるけど、今は非常事態よ。ラファルガ君が目を覚ましても、しっかり回復するまで待ってあげなきゃ」
「わかっている。わかってはいる、が…………どうにもだめだ。口を開けば余計なことを言いそうだ。俺はしばらく黙っている」
気持ちの整理がつかないんでしょうね。大きく息を吸い込んで、でも目を閉じて力なくうなだれ首を左右に振ったアキラさんは立ち上がり窓の外に目を向けた。
ねぇ、アキラさんにはあの雲が何に見える?あたしには真っ白なウサギに見える。前にしか進めない、壁があってもジャンプで飛び越えるの。あぁ、あたしなら高く飛べるほど強い足で壁なんて蹴り壊すつもりだけど。
リリちゃんや他の鬼死団員達にはもうすでにラファルガ君のことが通知されているんでしょうね。
コンッコンッて扉を叩く音が聞こえて、あたし達3人の視線が同じ方を向く。誰かしら?すぐに「シュノーティンです」と女性の声が聞こえたわ。
アキラさんが歩み寄り「入っていいぞ。どうした?」と扉を開けると、スラリとした高身長の美女。
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