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復活
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しおりを挟む「――安心せい。少なくともわしは、羅刹達を倒して世界を救うことができると思うておる。永久の鬼追いに終が訪れるかどうかは、わからんがのう」
「終わらせますよ。俺達は長く生き過ぎた。羅刹を倒して、鬼の発生を止めて俺達は死ぬ」
そう言ってマクベスは、金色の瞳にあたしの不安そうな顔を映した。また酒吞童子と茨木童子と戦うのが、羅刹を相手にするなんて怖いわよ。
でも、あたし達がやらなきゃいけないの。あたし達しかできる人はいないから……
違う。あたし達は、こんな悲しい役目を背負っているからこそやりたい。あたし達にしかできないからこそ、この世界を守りたい。
長年生きてきて世界はあっという間に変わっていったわ。人間達の醜い争いもしょっちゅうで飽き飽きした。
だけど楽しかったの。嫌なことも辛いこともたくさんあったけど、そのぶん楽しいこともあった。だから、この世界が好き。
実に様々なことを体験したわ。ずっとただの式神のままで、永久の鬼追いになんてならずに晴明様と共に朽ち果てていたら何もわからなかった。
人間のことも人間の世界のこともわからなかった。ありがとう、晴明様。あたしに心を与えてくれて。
気が付くとマクベスがあたしの顔を見つめたまま首をかしげていたわ。目が合うと「また晴明様のことを考えてたでしょ」って読まれちゃった。
しょうがないじゃない、好きなんだもの。
ニヤッて笑ってやったらマクベスったらなぜか顔を真っ赤にして、にひゃーって感じの変な笑い顔。え、ナニソレ?キモいんだけど。
なのにあたしも頬のあたりに熱を帯びるのを感じて。びっくりして両手でその頬を隠す。あーあ、何やってんだろ。
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