恋人以上、永遠の主人

那月

文字の大きさ
上 下
192 / 268
開戦再び

12P

しおりを挟む

 振り下ろされた刀身は戦鬼の左肩に突き刺さり、そのまま肉を、骨をも断つ。硬い。筋肉質でとても硬いけれど、あたし達ならやれる。


 スパンッ!と、戦鬼の左腕が斬り離された。鬼斬り丸の長さでは完全に断ち切ることはできないと思った。だけどね、刀身が伸びていたの。


 違うわね。刀全体が大きくなっていた。大量の力が集まって凝縮してそうなったんだと思うわ。


 噴水のように吹き出す真っ黒い血を全身に浴びたマクベスが近くの倒壊したビルに着地。する寸前、戦鬼の巨大な拳が彼の背中を殴りつけた。


 とんでもない勢いで地面に叩き落とされたマクベスは一時的に意識を失い、あたしは元の姿に戻った。


 うつぶせに倒れている彼を中心に、巨大クレーターが出現。かなり陥没してるし、とっさに受け身を取っていたとはいえあばらが数本折れているかもしれない。


「マクベスッ……」


 戦鬼はアキラさん達が引きつけてくれている。あたしはマクベスの元に駆け寄り、肩を揺さぶる。


 すぐに目を覚まして激しく咳き込むと、やっぱりあばらが折れているのね。血の塊を吐いたわ。力強くうなずいて「大丈夫だよ」って言うけど。


「行こう。アキラさんとセイさんだけじゃ危険だ」


 立ち上がったマクベスはあたしの手を引いて、鬼斬り丸に変身したあたしを手に走る。急がないと。次が来る。


 顔を上げるとミケさんがしたように、風を圧縮してできた巨大な拳がいくつも戦鬼を殴りつけているわ。お兄ちゃん、見ただけで習得しちゃうなんてすごいじゃない。


 しかも戦鬼のもう片方の腕は風と炎でできた巨大な手でつかんで動きを封じているなんて。


 なんて感心している場合じゃないわ。お兄ちゃんの魔法で炎をまとった金砕棒を戦鬼の左足に叩きつけたアキラさんの頭上から巨大な手が!


しおりを挟む

処理中です...