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開戦再び
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しおりを挟む数の問題じゃない。仲間だから。皆が鬼死団の団員だから、硬い絆で繋がっているから人数以上の力が生まれるのよ。
アキラさんが、先代の団長が育ててきた鬼死団は強い。負けない。戦鬼と災鬼なんかに負けない。
「…………っ、ぅおおぉぉぉおおおおぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉぉっ!!!!お前らぁっ!この世界の未来のために戦うぞッ!!戦鬼は左足を狙え!災鬼は飛ばれると厄介だ、翼を落とせ!行けぇッ!!」
「おぉぉぉッ!!」
アキラさんはユエさんに、お兄ちゃんはティンさんに腕を引かれて立ち上がった。
鬼死団の士気が一気にグンッと上がり、アキラさんの指示通りに飛び出していく。そして彼はあたしとマクベスに目を向け「こっちは任せてくれ」と笑った。
「なぁナツメ。お前達は全てが終わったら消えてしまうのか?」
アキラさんが去った後、残ったお兄ちゃんは珍しく寂しそうにそう呟いた。災鬼に捕まっていた時に折られた右腕を庇いながら、あたしの前に立った。
「そうなると思うわ。あたし達はあまりにも長く生き過ぎたんだもの。もう、終わりにしなきゃ……えっ」
温かくていい匂い。左手をあたしの肩に回し、力一杯抱き締められる。この腕で一体何人の女性を抱いてきたんだろうって思ったけど。
とても優しくて悲しくて、どうしようもない感情が湧き上がってきてあたしは、泣いた。
「ナツメは正真正銘、僕の妹だよ。たとえ永久の鬼追いでも、僕にとってはかけがえのない家族。ついこの前まではよちよち歩きだったのに、今ではこんなに生意気でイイ女になってさ」
「一言余計よ」
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