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酒吞童子と茨木童子
3P
しおりを挟む2人にとって羅刹は、死後の世界から呼び出した主人。元々抗うことはできないはずなのにあのビルであたし達を助けてくれたのは、2人の心が強いから。
きっとあのあと、あたし達を助けた後に羅刹に奪われたんでしょうね、目玉を。
酒呑童子は左目を、茨木童子は右目を奪われ、完全に体のコントロールを握られた。奪われた目玉はつまり……そこにあるんでしょ?
一気に間合いを詰めてきた俊足の茨木童子を蹴り飛ばし、鬼の拳を叩き込もうとした酒吞童子の脇をすり抜け、マクベスは羅刹に急接近。
首を狙って振り上げられた鬼斬り丸の切っ先は黒キツネ面の紐を斬り、お面が落ちて素顔が見えた。
よく似ているけど少し違う、2つの銀色の瞳。酒吞童子と茨木童子の瞳。その銀色の瞳にマクベスの顔が映った瞬間、マクベスは勢いよく横の壁に叩きつけられた。
酒呑童子の回し蹴りが炸裂したの。続けざまに茨木童子の長い爪が左肩に突き刺さる。壁ごと刺されて動けない。
「アッハッハッハハハハァッ!目が見えるってサイッコーにイイねェ!圧倒的な力に蹂躙され壊れて滅んでいくこの世界をこの目で見ることができるなんてェ、ワクワクするよォ!」
羅刹はね、ずっと目が見えていなかったの。なぜなら彼が失った一部というのが、特殊な色の双眼だから。
神の力を宿した青緑色の瞳なんて、知ってしまえばあたしにだって誰かわかるわ。誰が彼の瞳を持っているのか、すぐ近くにいたのよ。
……羅刹の瞳の化身ってことは、羅刹みたいに強い力が使えたりしないのかしら?
今の彼は自分がそうだなんて夢にも思ってないだろうけど、もしも自覚したら。なんか、漫画やアニメみたいに突然覚醒して、むしろ羅刹と一騎打ちなんかしちゃったりして。
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