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悪鬼羅刹
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しおりを挟むそして羅刹。黒キツネのお面を取って、左右に酒吞童子と茨木童子の目を入れているの。
よく見えるようになったのが相当嬉しいようね。超ルンルンで不似合な銀色の瞳を輝かせているわ。
神ならではの神々しいオーラを放ちながらも、その両腕は酒呑童子のような鬼のもの。どうしてかって?悪鬼羅刹だからよ。
マクベスに聞いたんだけど。羅刹は唯一悪の立場にある神様。しかも彼は、前世が鬼だったらしくて鬼の神様――鬼神なんですって。
だから神と鬼の力を併せ持つ、だけど良心を失っているから悪鬼の羅刹、悪鬼羅刹。
最後の1人は、羅刹が失った一部、唯一の良心でもある彼。鬼死団には色んな生い立ちの人がいるから、記憶喪失でもそんなに気にならなかった。
でも、羅刹のことを知った今ならわかる。羅刹の失った一部が、本体へと帰るために人間へと姿を変えた彼になっているんだってね。
「カレスは絶対、じいじよりも下がってて!でもここにいて!ごめんね、何が何だかわからないでしょうけど……カレス、あなた何をしてっ!?」
「…………俺、記憶が戻ったんです。この人に見つかっていきなり引っかかれた時に、目が合って、それで思い出したんです。俺がこの羅刹の…………目、なんですね?」
羅刹が失ってしまった良心――瞳は、7年前の百鬼夜行で記憶喪失になった、医療班のカレス。
青緑色の瞳なんて特殊なの、この世界でカレスしか持っていない、はず。羅刹しか持ってないはずの青緑色の瞳、カレスがそうだったのね。
フラフラとした足取りで1歩、また1歩と足を動かすカレスにギョッとした。その青緑の目は、羅刹から離せないでいる。
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